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「どうだー!この攻撃的水着は!これで、男は、イチコロだ」
「コメントしづらいわ!」
今度は、アイリと、プールデートということになった。
順番なんて、決めてないのだが、そう言われると、従ってしまうのが、しのぶの、不憫なところだろう。
「よくもまあ、お前のサイズに合う、そんな水着があったな」
「フフ~ン。オーダーメードってヤツだ。うちの国では、これくらい、あたりまえだと、うそついて、手に入れたんだぞ」
「あらゆる意味で、水着の選び方、間違っとる!」
ケンカ口だが、別に、怒ってるわけではない。
逆に、アイリと、なんの気兼ねもない会話がてきて、嬉しそうだ。
あの事件を思えば、当然か。
その後は、どんな暮らしをしているのか?
新しい、保護者とは、うまくいってるのか?
尋ねてみたい気持ちはあったが、そういうことは、もっと他の、大人に任せることにした。
「さて、遊ぶにしても、何にしようかな?お前だと、滑り台とか、トンネルとか、あるところの方が、よかったか?」
「バカにするなー!ウォータースライダーに、アクアドームだろ。ちゃんと、下調べ、してきたんだからな」
「・・・・・・」
やっぱり、そっちの方が、楽しみだったんじゃないか。
「それに、わたしには、これがある」
そう言って、アイリは、後ろ髪から、オモチャの魚雷を取り出した。
「・・・ほかの、お客さんに、迷惑かけないようにね」
「それに、もう一つ」
ザバッと、プールから、ひらべったいロボットが、顔を出した。
タイル磨きと、水質チェック、ろ過を同時に行う、プール清掃ロボットだ。
「ホントに、迷惑かけないようにね」
そういえば、アイリのメカを操る能力・・まだ残ってたっけ。
それから、一志は、アイリと、水かけ合ったり、水中で、ジャンケンしたりと、他愛のない遊びに、つきあった。
いや、一志も、楽しかったが。
生意気なぐらい、元気であるのが、好ましい。
「いいこと、思いついた。ここにいる、ロボットたちを全部、飛び込ませて、プールをかき回してやれば、流れる、プールができる」
・・・限度は、あるが。
「やめときなさい」
そんなこんなで、アイリの興奮も・・いや、欲求も、満たされてきたころ・・・
また、変なモノを見つけた。
河童の方・・・いや、スパで、横になってるしのぶを眼鏡ごしに凝視する、功一だった。
しのぶの方は、気をなだめるために、半ば、強引に、茉璃香か、沙江子かに、連れてこられたのであろう、なんだか、むくれてるみたいだが。
「性懲りもなく・・」
「なに!?つまんない、顔して」
今、そう思わせてしまって、アイリを傷つけたと思うのは、いささか、うぬぼれであろうか?
「いや、ちょっと、不審者が・・いやいや、気にしないように。それより、そろそろ、疲れないか?上がって、なにか、食べよう」
「うん、そっちから、誘ったんだから、そっちの、おごりな」
「ははは・・」
一志は、苦笑いする。
ラウンジに向かおうと、水から上がり、プールサイドを歩き出すと、柱の陰に差し掛かった時、一志は、ちょっとした、イタズラを実行した。
「ほいっと」
「うにゃあ!」
先行する、アイリの、そのむき出しのおなかを猫でも、捕まえるにたいに、無造作に、掴んだのだ。
「なにをするー!」
ホントに、なにをするのだろう?
一志は、自分でやっといて、生意気ぶっていた女の子の、可愛い悲鳴に、どぎまぎする。
「いや、ちょっと昔に、あっただろう。ちょっと驚いただけで、自販機、ぶっ壊したり、ポスター、エラーさせたり。あれは、大丈夫かな~って」
「なっ!?ちょっ!人のこと、なんだと思ってるんだーーーっ!こうなったら、大盛り、注文してやるー!」
真っ赤な顔して、息巻くが、今の、セクハラが、そんなもので許されるなら、お安いものだ。
材質は、同じはずなのに、どうして、こんなにも、違うのだろう?
混じっているものの比率ぐらいでは、説明がつかない。
その柔らかさは、手のひらどころか、心まで、吸い付きそうで、幼いながらも、両手に残るエロティックな感触は、現在も、これからの成長も、両方、期待してしまう。
きっと、アイリは、茉璃香とは違うタイプの・・あるいは凌ぐほどの、美女になるに、違いない・・・・・・・・・・
「ぐわ~~~~~~!目が!目が~~~~!」
なんだか、顔は押さえて見えないが、苦しそうに転げまわってる、若い男がいた。
「なんだなんだ?」
柱の裏から、出てきた男に、アイリは、怪訝な顔をする。
「どっかの、アニメごっこでも、やってるんだろ。割れた色眼鏡なんて、そのまんまじゃないか」
「そうなの?」
そう言われると、アイリも気にしないことにした。
大きく避けて通る。
「じゃあ、約束どおり、ジャンボパフェだぞ。それも、トッピングぜんぶ入れて」
「アイリちゃんが、休憩ってことなら、次は、私でいいかしら」
ラウンジの前で、今度は、茉璃香が出てきたのだった。




