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「よう、お兄様。今朝も、派手に、やらかしたそうじゃねえか」
ところ変わって、ここは、学校の廊下。
憤怒の形相で、一志は、呼び止められたのだった。
「功一清隆・・」
ひとくくりにしたが、一応、対象は二人。
もはや、親友という、偽りの仮面をかなぐり捨てた、二人組であった。
「ご心配どうも。言っとくが、やらかしたのは、俺じゃないからな」
原因ではあるが。
「なんだ!?イヤミか!今度は、金髪ガールまで、手籠めにしたそうじゃねぇか!」
「しとらんわっ!」
言い捨てて、立ち去るつもりだったが、さすがに、踏み止まった。
「邪推も、いい加減にしろ!俺は、しのぶになにもしない、お前達も、なにもしない。それで、話はついたはずだぞ!」
「話はついても、引っ込みがつかんわ!なんで!お前のところばかり、可愛い子が集まる!」
「知るか!俺だって、逆に、困ってんだ!」
「ギャー!一度は言ってみたい、異世界のセリフ!」
なんか、禁句も、まじっているような・・・
熱はあっても、まったく不毛な議論であった。
「なんの、お話し、してるの?」
そこに、相変わらず、会話が、読めないみたいに、きょとんとした、しのぶが、話しかけてきた。
まあ、わからないものには、まるでわからない会話ではあるが・・
「なんでもねえよ。すぐ終わるから、引っ込んでなさい」
「それじゃあ、それじゃあ、放課後。水着、買うのに、お兄ちゃんも、つきあってくれるよね」
「「水着っ!!」」
バカ・・・一志は、そう、つぶやきそうになったが、もう、手遅れだ。
「うん、今度のお休み、お兄ちゃんと、どこかの、プールに行くんだよ」
「奇遇だね~、ぼく達も、今度のお休み、プールに行こうかと思って、誘ってたんだよ」
「思い出、いっぱい作るために、カメラ持ってね」
仮面だけあって、付け外しは、簡単らしい。
「うんうん、思い出は、だいじだよね~」
反対するかと思ったが、やっぱり、茉璃香や、アイリを拒絶するのは、『お兄ちゃんとらないで~』みたいな感覚なのだろう。
「よーし、じゃあ、みんなで、たのしく、遊んじゃおう」
なんの屈託もない、晴れ晴れとした笑顔で、しのぶがそう言うと、二人は『お~』と、場所もわきまえず、盛り上がるのだった。
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後日、その日の市営プールは、学園中の男子が乗り込んで、イモ洗い状態になるのだが、
一志たちは、茉璃香の父の許可がいただけず、高級ホテルのリゾートプールに招待された。




