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うおお!!今度は、飛んできた!」
遺跡の内部である。
所狭しと飛び回る円盤型のジャマーに、一志は、健闘していた。
「おっと!やあっ!」
足下に撃ってくるレーザーをかわして、一足飛びに切り伏せた。
「うわ~~~!気持ちいい!」
足が着いてる物を切るのとは、また、違う爽快感がある。
「違うのが来た!!」
気分よくなってたら、次は、足が幾つもある昆虫型が、ワサワサと、やって来た。
「刀じゃ、不利だ!」
今度は、飛び上がりながら、足下に刀を振るう。
それからも、獣型だったり、魚型だったりしたジャマーを切り裂きながら、なんとか、次の扉にたどり着いた。
「しのぶ!聞こえるか!?」
『うん!聞こえる!』
『新たに立ちはだかるのは、新たな試練。それは、知恵と思いを試されるとき。さあ、信じるままに、操り、築き上げて、心を形にしょうじゃないか』
次の扉は、パズルゲームだった。
「俺は、こうだな」
『わたしは、こう』
一志としのぶで、交互にモニターを操作して、完成させる。
完成したのが、ハートマークだったのは、いささか恥ずかしかったが・・
ウイーーーーーン
「開いた!なんだこれ?」
扉が、上にスライドして、通路と台座が現れ、レンズが緑で四角い片眼鏡が乗っていた。
「付けるのか?」
すると、カチリと元から付けていたインカムと合体して、レンズに何かが映し出された。
「なんだ?ここの地図か!?」
そのようだった。
これで、先のわからない不安から、いくらか解消される。
「しのぶ!お前の方は・・また聞こえなくなった」
続けて、次のジャマーが向かってきたので、進むしかなかった。
『目覚めの時は近い。だが、未だコードが揃わない。それは、二人の記憶だ!二人の絆が確かなら、迷うことはない。歴史を刻み、思いを繋げて、遺跡を覚醒させるのだ!』
次の扉は、クイズだった。
それも、二人に関することの。
『初めてであった場所は?』とか、『初めてもらったプレゼントは?』とかだが・・
それで、「施設」は、ともかく、「時限爆弾」は、さすがにエラーを食らったが。
なんやかんや答えて、なんとかCOMPLETEをもらった。
『お兄ちゃん!そこにいるの!?』
「ああ、いるぞ!近いな!」
すると、片眼鏡に、赤い点滅が現れた。
ここが、しのぶのいる位置なのだろう。
『ああ・・おにいちゃん・・ここにいるんだね・・・』
しのぶの声は、感極まって泣きそうだ。
インカム越しにもわかった。
たまらず走り出したみたいだ。
「慌てるなよ!」
心配して、一志も駆け出した。
通路を抜けて、広い空間に出たとたん、聞き間違えようのない声を聞いた。
「お兄ちゃん!!!」
「しのぶ!?」
斜め上、クリスタルで仕切られた足つき場を駆けている、しのぶを見つけた。
一志も併走を始めると、バン!バン!とクリスタルを叩いて、すぐに、飛び降りそうなことをやり出した。
「まてまて!この先だ。次が、ラスボスみたいだ。あれを二人で、倒すんだ!」
一志が指さした先、二人の合流地点。
身の丈が倍はありそうな、巨大なジャマーが現れた。
牙だらけで粘液をし垂らせた口、人体など握りつぶせそうな手に、宇宙船の甲板にも貼り付けそうな蹄・・・虫と恐竜を組み合わせたかのような、グロデスクなエイリアンだ。
「挟み打ちするんだな」
門いっぱいに体を展開させていて、再会を果たすには、あれを倒すしかなさそうだ。
「奥義のかぎりを尽くしてやる」
GyaOOOOOーーーーーー!!!
こちらを視認したとたんに、耳を引き裂くような咆吼をしてきた。
最終戦だ。
もう、刀を鞘に収める気もなく、振りかぶった。
プチュンッ!
その時!周りが、暗転した。
一瞬、視界が眩むが、非常灯に気づいて、持ち直した。
それだけじゃなかった。
前から、何かが飛んできた!
「痛っ!」
とっさによけたが、かすめた頬から、血が滴る。
「避けたか・・・ひと思いに、頭を飛ばしてやるつもりだったのに・・」
「そして、しのぶちゃんは、僕たちがもらう」
「お前らか・・・」
一志は、大きく息を吐く。
真の大ボスとして、立ちはだかったのは、功一と清孝だった。




