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筋肉が往くVRMMO  作者: 多摩季 熊
第一章:幕開
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5.ギルド

 



 ギルドへ向かう道中、私は考え事をしていた。



 ……先ほどの2人と会話をした時にも思ったが、本当に生きているかのようだった。女子からは薄甘く良い香りがした。彼女の挙動も、ミス・マリアの動作も、私となんら変わらない『人』だった。

 ミス・マリアに叩かれた場所はほのかに熱を帯びていて、若干痒い。感覚も、現実とまるで変わらない。



 これがゲームであるとは、本当に信じられないね。

 私からすれば、道行く彼らと私たちの間に、違いなど無いように思えるよ。




 科学の凄さについて改めて考えていると、一際大きな建物が目に入った。



 あの、屋根のみならず外壁までもが赤で構成されている巨大な建物こそが、ギルドだ。ギルドは、この街の中心部に位置し、東西南北のどの門からも等距離にある。それにしても赤くて目立つね。これなら迷子にはならなそうだ。



 ちなみにチュートリアル君曰く、ギルドとは『依頼をこなしてお金を稼ぐ場所』なのだそうだ。他にも、素材の買い取りや傷薬などの販売も行っているらしい。



 とりあえず、中に入ろうか。






 ギルドの内部は、駅に似ていた。

 券売機の代わりに窓口があり、そこで依頼を受けるといった感じか。窓口には長蛇の列ができており、受付に辿り着くまでには少し時間がかかりそうだね。うむ。



 ロビーには様々な武器や服装をした人物がおり、中には私と同じような装備を身につけている者も見られた。

 おそらく、私と同じ初心者プレイヤーであろう。何故か、彼らは上衣を着ているけどね。はっはっは。何故だろう。




 ともかく、まずは依頼でも見てみるとするかね。



 と、列が比較的短めの列に並び、受付の順番を待とうとしたところ、皆が順番を譲ってくれた。



 皆の優しさに感謝をしつつ、出来るだけ早めに終わらせようと決意する。



「お次の方、どうぞ」



 凛とした声に窓口を見やると、綺麗な女性がいた。ギルド職員としての赤い制服を身に纏い、微笑を浮かべて椅子に座っている。美しい青い瞳に整った顔立ち、金髪のロングヘアも相まって、非常に美人であるといえよう。

 ちなみに私は、筋肉がしっかり付いている健康的な女性が好みだがね。




「どのような依頼をご希望ですか?」




 若干、冷たいような気のする声……ふむ。失礼なことを考えていた私が悪いね。すまない、レディ。……で、確かギルドの依頼は大まかに分けて、『討伐』・『納品』・『調査』・『雑用』の4種類に分類されるとチュートリアル君が言っていたな。

 となると、私が望むのは……。



「街周辺のモンスターの討伐依頼を受けたい」



「かしこまりました、少々お待ちください。……はい、こちらが条件に適合する依頼の一覧です。この中からお好きなものをお選びください」



 と言って、受付嬢が依頼書の束を差し出す。



 おお、割とあるね。

 何々……ビッグコッコ5羽の討伐を始めとして、フォレストウルフ10匹の討伐……オーガとやらの討伐まである。



 うーむ。予想以上に数があるな。ここはもう少し条件をつけ、数を絞るすべきか。




「依頼を『東の草原』でできそうな依頼に絞ってくれ」



 始まりの街の東側は草原になっている。ここが、初心者プレイヤーの狩場らしい。西が丘陵、南は森林、北は山だ。難易度は、東<西<南<北の順で高くなっていくらしい。



 受付嬢は、かしこまりました、と言うや否や、依頼書の束から数枚抜き取ってこちらに渡してきた。



 うむ、仕事が早いな。素晴らしい。



 内容は……ふむ。先ほどのビッグコッコの依頼と、ツノウサギとやらの討伐、ゴブリンの駆除の3つか。



 なるほど。うむ。




「全部受けよう」




「……かしこまりました。ビッグコッコ5羽の討伐、ツノウサギ3匹の討伐、ゴブリン20匹の駆除、ですね。ギルド依頼ですので契約金の発生はございません。気をつけて行ってらっしゃいませ」




【難易度1:ビッグコッコの討伐 0/5 を受注しました】




【難易度1:ツノウサギの討伐 0/3 を受注しました】




【難易度2:ゴブリンの討伐 0/10 を受注しました】




 と、何やら表示されたが、邪魔だねコレ。

 手を横に薙いでテキストを消す。



 というか、危ないとところだった。ギルドからの依頼じゃなかったら、上衣が買えなくなるところだったよ。

 チュートリアル君、少し説明が足りないんじゃないかい?



 受付嬢に礼を言ってから、ギルドを出る。



 さてと、上衣が出来上がる時間まであと1時間以上もある。何をして時間を潰そう。



 いっそ、『東の草原』に行ってしまおうかと考えていたところ。




「あ!!店長さん見っけ!!」




 不意に耳に届いた聞き覚えのある声に振り向けば、そこには店の常連でもあり、私にゲームを譲ってくれたその人でもあるリュウジ君とその友人たちがいた。






次回、待ちに待った彼のスキルが判明。

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