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筋肉が往くVRMMO  作者: 多摩季 熊
第一章:幕開
16/23

15.彼の日常

 



◇◇◇






 おはよう、諸君。

 今日も朝陽が眩しいね。



 今、私はウォーキングをしているところだ。ああ、ゲーム内ではないよ。

 やはり、ゲームばかりでは筋力が落ちてしまうのでね。



 愛用のバーベルも2kgほど増やしておいたし、この美しい筋肉の管理は万全だが、たまには筋トレではなく外に出て運動しないと体が鈍る。いやぁ、実に気持ちが良いね。筋肉に良い感じに乳酸が溜まっていくのを感じるよ。



 店の前の通りを始点とした約7kmのコースを歩き終え、裏口から自室へと戻る。



 時刻は現在6時12分。一昨日の閉店後に両替は済ませてあるし、仕込みも万端。豆の焙煎は開店後にするから……店内の掃除の時間を加味しても、開店までは20分ほど時間があるね。少し筋トレをしてからシャワーを浴びてこようか。



 ちなみに、私の好きなトレーニングは、私の自慢の大胸筋が輝くベンチプレスだね。自分の筋肉の限界を知り、更なる高みを目指すことのできるベンチプレスは、非常に素晴らしいものだと思うよ。




 筋トレとシャワーを済ませた私は制服……といっても、白いシャツに蝶ネクタイとV字のカフェエプロンをしただけの服装だ……に着替えて、店の掃除を始めた。テーブルとカウンター席、キッチンの一部を丁寧に拭いた後、床にモップをかける。通りに面する窓を内外から綺麗に磨き上げ、店先の看板を『営業中』にしておけば、準備は完了だ。



 飲食店は清潔が第一。掃除は念入りにやらないとね。



 さて、時刻は午前7時。開店時間になると同時に、店の扉が開かれた。





「店長、おっはよーございまーす!!」



「いらっしゃい、リュウジ君。相変わらず来るのが早いね」



「そりゃ近所ですし。何より、今月は『無料券』があるんで……常識の範囲内でガンガン食べますよ!!」



「はっはっは。若い子は遠慮せずにどんどん食べなさい。でないと、筋肉がつかないからね」



「どんだけ筋肉推すんですか……あ、店長。今日は『スペシャルサンド』と『搾りたてフルーツジュース』で」



「うむ、了解した。ちなみに今日の搾りたては梨とリンゴがあるが、どちらにするかね?」



「断然リンゴでお願いします」




 はっはっは。リュウジ君は梨が苦手だったね。すまないすまない。



 で、リンゴのジュースか。果汁100%でも良いが、人参とレモンを混ぜたのも美味しいね。

 よし、今日はそれにしようか。




 まずは人参を丁寧に水洗いしてから皮を剥き、小さめに切る。そして切った人参の3分の1ほどを低速のジューサーにかける。



 人参ジュースができるまでにだいたい2分くらいかかるから、この間にリンゴを絞っておこう。



 用意しておいたリンゴをボウルの上で右手で包み込む。そして……握り潰す。

 この時、指を立てるとリンゴにめり込んでしまうから、要注意だ。



「え、えええ!?!?リンゴってジューサーにかけるんじゃないんですか!??てかそんな簡単に握り潰せるんですか!!??」



「ああ、このリンゴはあらかじめ冷凍してあったものを解凍した……つまり凄く柔らかくなっているものだからだね。普通のリンゴはこうはいかないよ」



 果汁以前に、果肉ごと木っ端微塵になってしまうからね。はっはっは。



 で、この果汁を先ほどの人参ジュースに混ぜ、レモン汁を数滴と秘伝の隠し味を加えれば『搾りたてリンゴ人参ジュース』の完成だ。



 人参は入っているけれども、フルーツジュースということにしておこうか。



 で、次にスペシャルサンドだが……これはハムとサラダ菜の普通のサンドイッチだ。違いがあるとすれば、厚みが普通のものの2倍ほどある点だけだね。



「食べ応えがある上に安いから男子学生たちに大人気ですよね。俺も大ファンです」とはリュウジ君の言葉だ。



 簡単なのでささっと作って大皿に盛り付ける。ジュースと一緒にカウンターに出し、調理は終了だ。



「はい、リュウジ君。お待ちどおさま」



「やっぱりいつ見ても美味そうだ……いただきまーす!!」




 美味しそうにサンドイッチを頬張るリュウジ君を眺めながら、朝は過ぎていった。












リンゴ人参ジュース、美味しいですよ



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