2話 自己紹介
「え、と…本、読んでるんだけど」
彼が急に現れたから、少し挙動不審になってしまった。内心は。多分行動では表されてないはず。そうであると思っておこう。というか見てたら本読んでいることくらいわかると思うのは僕だけだろうか。
「あ、わりぃ。そうじゃなかった。なんの本読んでんだ?」
どうやら僕がなんの本を読んでいるのか気になったらしい。最初からそう聞けばいいのではと思ったけど、僕もやりそうだなと思ったから触れないことにした。
「魔道学の専門書だよ」
「ほぉ…勉強熱心なんだな」
なんかすっごく話しかけられるんだが…僕今日彼と会ったばかりだよな?というか、名前も知らない…
「あ、ありがとう…?と、ところで、君の名前を聞いても?」
やっと言えた…
「あ、すまない、忘れていた。俺はリョウ・セレシウス。A組だ。よろしく頼む、ショウ・ユウギリ」
なぜ僕の名前を知っているのだろうか、というか、A組!?隣クラスだ…て、それ特別魔導強化クラスじゃないか?!すごいんだなぁ…
「なんで僕の名前を?というか、すごいね、特別魔導強化クラスでしょ?」
「まあ、なんとなくってことにしておいてくれ。そうか?ありがとう」
そこから僕らは少し話をした。
リョウは特別魔導強化クラスの中でもトップクラスだとかも聞いた。
そういえば噂で聞いたことがある。銀色の髪、赤いつり上がった目。彼に睨まれた者は全員恐れをなすが心優しい狼少年…とかどーとか。
「リョウ、噂で聞いたんだけど…知ってる?」
僕はついリョウに噂になっていることを言った。リョウは別に気にしていないようで、
「ははっ、確かにそう言われてるらしいな、俺は気にしねぇけど」
と、笑いながら言っている。実はこの噂には続きがあって、彼はこの世界を束ねる王族の1人、そして次期王だとか…
流石に今日会ったばかりの人に詮索されたくはないと思うので、やめておいた。
「邪魔して悪かったな、またな」
リョウはそう言うと、屋上を出て行った。