1話 出会い
「何やってんだ?お前」
その日、僕は君と出会った。
ここはプラテナ。
まあ俗に言う異世界である。
僕がここにいるのは、父がこちらの出身で、母が亡くなり、移住したからだ。
この世界は魔法を使う。勿論、地球では考えられないような、龍とかもでてくる。ファンタジーなのだ。
「ショウくん、今日も学校かい?がんばるねー」
「はい、セイサさんもいつもお仕事お疲れ様です」
「ありがとねー!また帰りにパン買いにおいで!好きなの置いとくからさ!」
「ありがとうございます!帰りに寄りますね!」
商店街のパン屋のセイサさんは母の知り合いだったらしい。僕のことを本当の息子のように可愛がってくれている。
父はこの世界の高位魔術師で、結構位が高い。僕はそこまで魔法が出来るというわけではなく、少し悲しいが…
学校に着くと、いつも通り僕は教室で本を読み、授業が始まるのを待つ。仲のいいアオイは僕の貴重な読書時間を邪魔しに来るが。
「おっはよー、ショウ!今日は何読んでんだ?」
と、こんなふうに。こいつ、アオイ・デルモンティスは僕の友人でありクラス内のムードメーカーだ。はっきり言ってうるさいが。
アオイと話していると、授業が始まるベルが鳴る。そして、僕らは勉強を始めるのだった。
昼休みや放課後は僕はいつも図書室にいる。少しでも父の恥にならないよう、勉強だけはトップクラスにいようと思い、調べものをしたり、小説を読んだりするためだ。だが今日は閉館していた。司書の先生がお休みらしい。仕方ないから僕は今日は屋上で読むことにした。
屋上には誰もおらず、壁に背中を預け、書物を読んでいた。そんな時────
ガタッ
…何かが落ちたような、変な音がした。気になったので書物から顔を上げると…
「何やってんだ?お前」
銀髪に赤い瞳。そして僕と同じ制服で同じ学年を表す緑のネクタイ。
そう、これが僕と彼…リョウとの出会いだった────