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掌編小説

怠業人生

作者: 斎藤康介

 「人生はただの暇つぶし」と友達が言った。私はその言葉をさらりと口にした友達が羨ましく、そして同時に憎くらしく思った。彼女には特別に深い意味などなく、感想か、はたまた単なる見栄だったのだと思う。それでも私は簡単に言い切った友達が羨ましかった。


 中学生時代の私はそんな感傷的な危うさの中にいた。


 その後、中学を卒業し高校に進学。

 高校生になって変わったことと言えば通学が徒歩から自転車になったくらいで、人の価値観が劇的に変わらることなどない。中学生の延長線上に高校生の自分がいた。

 制服が替わり、群れる人たちの顔が変わったぐらいで変わってやるかものかという決意もあった。

 まったく子供のまま成長していた。それが本当に成長と呼べるかは疑問があったが、たまに会う親戚に「○○ちゃん大きくなって」と言われるのだから、間違いなく身体だけは大きくなっていたのだろう。


 しかし、私はそんなことで浮かれてなどしない。それどころか悲しい気持ちでいっぱいだった。

 私は日々拡大していた。それは宇宙の膨張のようなものだった。けれども膨張するにつれ中心部はどんどん薄くなった。まるでピザ生地のように。


 人は成長というものを上方部への絶え間ない進化だと思っている。積みあがっていく階段を日々登る。植物が幹を伸ばしていくように、成長という概念からすればそれは正しいのかもしれない。

 ただ私にはその感覚が致命的にない。平面に広がるだけの存在。過去を振り返り、時おり私は「遠くまで来た」と想う。私は森林伐採を目的にした拡張するだけの人間なんだと思う。

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