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2-3

最近、この国が妙に元気だ。

市場には人があふれ、子どもがパンを売り、大人が笑っている。

誰も命令していないのに、なぜか町が整いはじめた。

……不安である。


私の知る歴史では、「うまくいってるときほど、あとで崩れる」。

つまり、この幸福は、たぶんバグだ。


「陛下、国庫の収入が増えました!」

「それは困るな。」

「は?」

「お金が増えると、人は考えなくなる。」


臣下は目を白黒させた。

私はスープをすすりながら言う。


「貧しいときは、世界を見上げる。

豊かになると、鏡を見る。

どちらが先に飽きるか、という話だ。」


結局、税を増やすでも減らすでもなく、

“気づいたら払ってた”という曖昧な制度を採用した。

結果として、皆それぞれ勝手に税を払った。

額はバラバラだが、なぜか収支は合っている。


その頃、周辺の国々がざわついていた。

「小国が静かに繁栄している」という噂は、

大国にとってはホラーである。


ある使者が来て言った。


「貴国はどんな秘策を?」

「昼寝と対話だ。」

「……冗談でしょうか?」

「いいや、哲学だ。」


彼は帰り際まで困惑していた。

私は少し罪悪感を覚えた。

しかし、笑いながら気づいた。


「混乱させるのも、立派な外交だな。」


午後、私は庭で昼寝をした。

遠くで民の笑い声がした。

それは、権力よりも深い安心の音だった。


この国は、王の哲学ではなく、民の惰性で動いている。

だがそれでいい。

思想とは、きっと「何もしない勇気」のことだから。


「明日もきっと何かが変わる。

だが、私は変わらない。

それが王という仕事だ。」


そしてその隙に、国はさらに豊かになっていた。

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