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2-1

この国の議会は、今日も盛大に何もしなかった。

いや、正確には「何かをしたような顔をして、何もしなかった」。

これは一種の伝統らしい。

小国というのは、行動より伝統が強い。伝統とは、怠けの別名でもある。


私はそんな議会を抜け出して、中庭で昼寝をしていた。

王が寝ていても、国はまわる。むしろ、私が起きていると邪魔になる。

ならば寝るのも、政治的判断というやつだ。


「理想の国家とは、王が寝ててもまわる国である。」


侍従が言った。「陛下、それはつまり民に任せるという意味で?」

「いや、どちらかといえば、民も寝ててまわる国だな。」

「それは……止まってませんか?」

「止まることが幸福かもしれん。だが得られないものがるのは事実だろう」


昼寝の合間、私は理想国家について真剣に考えた。

税も兵もなく、誰も競わず、誰も搾取されない国。

……それを思い浮かべた瞬間、私は笑ってしまった。

「それ、もう国じゃないな。」


民が「陛下、働かねば国が……」と言うたび、

私は「いや、そもそも“国”という概念が働きすぎている」と返す。

そのうち、「働かない思想の王」と呼ばれるようになった。

悪口だが、私は嫌いじゃない。


ただ、皮肉なことに——

この国、少しだけ豊かになったのだ。

働かないぶん、喧嘩もなく、略奪も減った。

皆が勝手に菜園をつくり、余ったものを交換し合っている。

「王の怠けが、民の自立を生んだ」とか書かれたら、なんか恥ずかしい。


ある夜、側近が言った。

「陛下、このままでは他国に見下されますぞ。」

「見下す側が疲れるなら、見下される側の勝ちだろう。」


彼は困った顔をしたが、

私はその顔を見ながら「この困惑こそ思想の第一歩だ」と密かに喜んだ。


——こうして私は今日も考える。

哲学とは、国が貧しくても精神が破産しないための遊びだ。

少なくとも、昼寝よりは建設的かもしれない。

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