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応酬Ⅱ

沈黙の帝国による不可解な一撃──海を白く塗りつぶす光の雨──

は、両国にそれぞれ七十隻撃沈、二十隻半壊という損害を刻み込み

海の軍律をすべて吹き飛ばした。


その余波の中、戦いは単純化された。

例の帝国は半狂乱としか言いようのない四十隻を北東方面へぶつけ

まだ形を保つ主人公の国の北東艦隊──疲弊しつつも二十七隻を残す──と激突した。


同時に、遠方から迫る二つの巨流がある。

沈黙の帝国が解き放った上陸部隊──それぞれ七百隻規模──が、

・一方は例の帝国の沿岸へ向かい、

・もう一方は主人公の国の沿岸へと迫る。


例の帝国本国側では、残存百十隻の艦隊が七百隻の影に押しつぶされまいと立ちはだかり、

主人公の国では、二百隻の主力が、同じく七百隻の濁流を前に静かに陣形を組み替えていた。


海は、もはや波ではなく数字と死の密度で満ち始めていた。

そしてその戦いを制御している誰もが、心のどこかで理解していた。

三つの思想、三つの恐怖によるものだと。

やがて、それは避け得ぬ螺旋へ続いた。


最初の光柱は例の帝国の北湾で昇った。

次の光は主人公の国の西岸を照らした。

そのつぎは沈黙の帝国の南の港をえぐり抜いた。


理由は、どの国にもあった。

理由は、どの国にもなかった。


光は思想を焼き、海水を瞬間で蒸発させ、

沿岸都市を互いに抉りあい、

海上の艦隊は補給を失って沈んでいった。


戦いはもはや「勝ち負け」ではなく、

「いつ終われるか」という問いだけが存在していた。


そして、誰も答えられなくなった頃、

三国はほぼ同時に撃つことをやめた。


そして戦後、三国は息を合わせたかのように、

まるで競い合うように同じ方向へ走り始めた。


MIRV──

ひとつの器に複数の“光”を抱え、

大気の中で枝分かれし、

目的地をいくつも持つ兵器。


三国はそれをこう語った。


「より強固な抑止のためだ」

「次こそ沈黙ではなく均衡を得るためだ」

「破局から学んだのだ」と。

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