幕間Ⅱ
昼寝から目を覚ました王の耳には、遠くの風の便りが届いた。
正確に言うと、届いたのは報告書でも、手紙でもなく、旅人のうわさ話である。
大陸の北にある大国では、国境付近で軍隊が動き出したという。
旗が翻り、兵士たちが列をなして行進する。
だが民は、戦争の意図を誰も理解していない。
「陛下が怒ったのだろう」「いや、単に退屈だからでは」
理由はいつも不明。だが、噂は速く広まる。
さらに遠く、別の大陸では、どうやら核といわれているものが応酬されているらしい。
破壊の光は、私の国の空には届かない。
しかし、旅人の話では街も森も燃えて灰となり、
人々は地下に潜って生活しているという。
「文明とは、愚かさの記録なのかもしれぬ」と、私はぼんやり思った。
南の大陸では、ある強国が複数の小国をまとめて侵略しているという。
王国は消え、民は逃げ、地図上では国境が毎日のように変わる。
「大きな国は常に忙しい。小さな国は呑気だ」と、侍従がつぶやいた。
私の国からは、これらの混乱の詳細を知ることはできない。
でも、噂を聞く限り、世界はいつも通り、秩序より混乱のほうが勝っている。
「遠くの大国が騒ごうと、核が飛び交おうと、
我が国は今日も平和だな。」
哲学とは、時に距離感を測ることでもある。
そして、王の国は今日も、気づけば少しずつ強くなっている——
理由も、意図もなく、ただ自然に。
ここでいう核は水爆やMARVを含まないです。




