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第1話:プロローグ
夜の光に照らされたモニターの中で、赤い領土がじわじわと広がっていく。
自分はそれを眺めながら、寝ぼけた頭で「あと一ターンだけ」と言った。
いつものセリフだ。いつも、それが最後になったためしはない。
マップの端には、小さな国。
人口:2.3k、資源はほぼない。
AI国家の攻撃を受けて、毎ターン領地が削られていた。
僕はこの国を「タタカレ公国」と呼んでいた。
でも、なぜかその夜だけは、赤い境界線がやけに生々しく見えた。
……次に目を開けたとき、僕は王冠をかぶっていた。
まぶしい陽光、石の天井、背筋を伸ばした兵士たち。
玉座の前で、ひとりの男が膝をついて言った。
「陛下、北部国境が再び侵攻を受けております。
このままでは物資の供給が——」
——物資? ああ、資源の話か。
数字じゃない、現物の。そして物としての
僕は笑ってしまった。
「……これ、まさか、OpenFront.ioか?」
男は一瞬だけ眉をひそめ、しかし真剣な顔で答えた。
「陛下、そのような名の国は存じ上げません。」
その瞬間、僕はようやく悟った。
どうやら“傍観視点”を奪われ、今度は“責任”を与えられたらしい。
——戦略ゲームの世界に転生したのに、セーブもロードもない。
さて、何をしろと言うのか。




