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第七話 伝説のトライデント

「この先、道は険しくなるだろう。…だが、忘れるな。私もまた、かつては、お前たちのような若き勇者たちと共に歩んできたのだ。…今、あの伝説のトライデントを抜くための試練に挑むのは、あんたたちだ。どうか、迷うことなく進み、真の勇者としての覚悟を、その行動で示してほしい。…世界の未来は、あんたたちの手の中に託されているのだ。」


村長の厳かで、そして、どこか温かい言葉は、まるで父が子を送り出すかのような、深い愛情と、そして、未来への希望に満ちていた。その言葉は、部屋にいた全員の表情を引き締め、決意の光を、より一層強く輝かせた。


三人の勇者と、三匹の忠実なる仲間たちは、これから訪れるであろう、想像を絶する試練に立ち向かうため、互いに深く頷き合い、心を一つにしようと誓い合った。彼らの瞳の奥には、過去の痛みや、戦いの記憶、そして、失ったものへの悲しみと、それでもなお、未来への希望と、必ずや成し遂げるという強い覚悟が、確かな光となって、燃え盛る炎のように輝いていた。


こうして、村長の言葉は、新たな伝説の始まりを告げる、高らかなファンファーレとなった。果たして、あの二本の伝説のトライデントは、真の勇者たちの手によって、岩盤から引き抜かれるのだろうか。そして、その先に待ち受ける運命とは……。世界の未来を賭けた、過酷なる試練の幕が、今、まさに、静かに上がろうとしていた。


村長の言葉を、まるで聖なる誓いのように胸に深く刻み込みながら、霊夢たちは、村の北にあるという、古の遺跡へと向かった。村の外れに広がる、細く、そして、どこか寂しげな道を抜けると、そこは、鬱蒼とした森に囲まれた、神秘的な場所だった。


木々の間から差し込む、微かな光が、ぼんやりと地面を照らし、周囲には、まるで時が止まったかのような、静寂が満ちている。その静けさは、ただ静かなだけではなく、何か特別な力、あるいは、意志のようなものが、その空間全体を包み込んでいるかのようだった。


村長の言った通り、この場所には、長い間、誰も近づかなかったのだろう。苔むした石畳は、まるで古代の遺跡を思わせ、朽ちかけた石碑は、まるで忘れ去られた歴史の墓標のように、静かに佇んでいる。そして、その奥には、まるで大地そのものが隆起したかのような、巨大な岩盤が、そびえ立っていた。


その岩盤の中央には、二本の伝説のトライデントが、まるで古代の神々によって打ち込まれた楔のように、深々と突き刺さっていた。


「これが……、伝説のトライデント……。」


霊夢は、目の前の光景に、息を呑んだ。言葉を失い、ただ、立ち尽くすしかなかった。


岩盤は、ただの石ではなかった。長い年月を経て、風雨に晒され、風化しながらも、なお、その内側には、強固な意志、あるいは、結界のような、目に見えない力が、脈々と息づいているのを感じさせた。


そして、その中心にある二本のトライデントは、まるで、時の流れを超越し、永遠の存在であるかのように、神々しいまでの輝きを放っていた。


一本は、青白く、まるで極寒の氷河を思わせるような、純粋な水のエネルギーを宿した光を放ち、もう一本は、まるで稲妻をそのまま閉じ込めたかのような、黄金の雷のエネルギーを帯びて、激しく輝いている。


二本とも、普通の武器とは、明らかに一線を画す、圧倒的な存在感を放っており、ただ眺めているだけでも、その内に秘められた、強大な力、そして、何か、底知れぬ意志のようなものを、感じさせた。


「……本当に、これ、抜けるのか……? …冗談だろ…?」


魔理沙は、圧倒的な存在感を放つトライデントを前に、まるで子供のように、不安げに呟いた。普段の、自信に満ち溢れた彼女の姿は、そこにはなかった。


妖夢もまた、神妙な面持ちで、二本の武器を見つめ、静かに、しかし、力強く言った。「岩盤に、まるで、縫い付けられているように刺さっている……。…これは、ただの力ずくで、抜けるようなものではないでしょう。…きっと、何か、特別な条件、あるいは、資格のようなものが、あるのかもしれません。」


妖夢の言葉は、冷静な分析と、そして、これから始まる試練への、覚悟を示していた。


ルーク(白オオカミ)は、じっと岩盤の周囲を観察し、まるで古代の遺跡を調査する考古学者のように、慎重に、そして、注意深く、その場に漂う空気を感じ取っていた。そして、低く、唸るように言った。「……この場所には、確かに、特殊な魔力の波動が満ちている。…それも、尋常ではないほど強力な…。適合しない者、あるいは、資格のない者が、不用意に触れれば、…拒絶される、それどころか、…消滅させられてしまう可能性さえあるな。」


ルークの言葉は、警告であり、そして、この試練の危険性を、改めて示すものだった。


ガロン(黒オオカミ)は、ルークの言葉に、低く唸りながら付け加えた。「預言に示されし勇者でなければ、このトライデントは、決して抜けない……。…つまり、ここで、我々が、真に勇者であるかどうかが、試される、というわけだな。」


ガロンの言葉は、冷静ながらも、どこか挑戦的な響きを持っていた。


フィン(灰オオカミ)は、緊張と、そして、微かな興奮が入り混じった様子で、尻尾を小刻みに振りながら、言った。「すごい……! 本当に、伝説の武器なんだね…! …でも、もし、抜けなかったら…、どうなるんだろう……?」


フィンの言葉は、純粋な疑問と、そして、これから起こるであろうことへの、不安を表していた。


霊夢は、フィンを見つめ、ふっと優しく微笑んだ。「大丈夫。…もし、抜けなかったら……、その時は、その時よ。…でも、ここまで来たんだもの。…やるしかないわ。」


霊夢の言葉は、優しく、そして、力強かった。彼女は、不安がないわけではない。しかし、それ以上に、この試練に立ち向かう、強い決意を抱いていた。


魔理沙は、霊夢の言葉に、力強く頷きながら、腕を組んで言った。「ああ、そうだな。…クヨクヨしてたって、始まらねぇ。…やるしかねぇんだよ、結局は。」


魔理沙の言葉は、ぶっきらぼうながらも、霊夢への信頼と、そして、自分自身を鼓舞するための、決意表明だった。


妖夢も、意を決して、背中に背負っていた二刀の柄を、力強く握り直した。「ええ、そうですね。…行きましょう、霊夢さん、魔理沙さん! …私たちなら、きっと、できるはずです!」


妖夢の言葉は、静かながらも、強い決意と、そして、仲間たちへの信頼に満ちていた。


霊夢は、深く、深く深呼吸をし、心を落ち着かせ、静かに岩盤の前に立った。


目の前には、青白く輝くトライデント──まるで、太古の昔から、この時を待っていたかのように、静かに、しかし、圧倒的な存在感を放ちながら、岩盤に突き刺さっている。それは、まるで、清らかな水の精霊が、その中に宿っているかのようだった。


「……いくよ。」


霊夢は、まるで、これから神聖な儀式を始めるかのように、ゆっくりと、そして、慎重に、トライデントの柄に手を伸ばした。


そして、しっかりと握りしめた。


その瞬間──


トライデントが、まるで生きているかのように、微かに震え、周囲の空気が、まるで水面のように、ざわめき始めた。それは、まるで、トライデントが、霊夢の力を、試しているかのようだった。


そして、次の瞬間──


ドクン……!!!!


まるで、大地の心臓が、鼓動を始めたかのような、低く、そして、力強い振動が、大地全体に響き渡った。その振動は、霊夢の手を通して、彼女の全身を駆け巡り、まるで、彼女の魂を、揺さぶるかのようだった。


「くっ……!」


霊夢は、思わず、声を漏らした。


トライデントは、抜けるどころか、まるで岩盤と一体化しているかのように、びくともしない。それどころか、霊夢の力を試すかのように、ますます強く、抵抗を始めた。まるで、「お前は、本当に、この私を扱うに相応しい、選ばれし者なのか?」と、問いかけているかのようだった。


「負けるもんか……! …私は、負けない…!」


霊夢は、歯を食いしばり、全身の力を込めて、トライデントを、力強く引き抜こうとする。


ズズズ……!!!!


トライデントと岩盤が擦れ合う、重く、そして、不気味な音が、周囲に響き渡った。


突然、トライデントが、まるで太陽のように、眩いばかりの青白い光を放ち始め、その光は、まるで生き物のように、霊夢の体を包み込んだ。


その光は、優しく、そして、温かく、まるで、母の胎内にいるかのような、安心感を与えてくれた。


そして、霊夢の心の中に、まるで、遠い昔の記憶のような、鮮明な映像が、次々と流れ込んできた──。


荒廃した世界、絶望に打ちひしがれる人々、そして、巨大な闇の力に、果敢に立ち向かう、勇者たちの姿……。


「これは……、過去の記憶……? …それとも、未来の…?」


挿絵(By みてみん)


霊夢は、混乱しながらも、その映像の中に、何か、重要な意味が隠されていることを、感じ取っていた。


不思議な幻影の中で、霊夢は、自分が、何か、とても大きな運命の流れの中にいることを、悟った。そして、今こそ、その運命を受け入れ、立ち向かう時なのだと、心の底から理解した。


「……私は、…負けない。…私は、…預言の勇者なんだ!」


霊夢が、そう強く決意した、その瞬間──


ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!!!!!


まるで、世界が誕生したかのような、爆発的な光が、トライデントから放たれ、周囲の空間を、青白く染め上げた。


そして、ついに、トライデントは、長い沈黙を破り、岩盤から、ゆっくりと、しかし、確実に、抜け始めた。


それは、まるで、新しい時代の幕開けを告げる、祝福の光のようだった。


同時に、魔理沙もまた、雷を纏う金色のトライデントを、力強く握りしめ、全力で引き抜こうとしていた。霊夢の成功を目にした彼女は、ニヤリと、挑戦的な笑みを浮かべた。


「へへっ…、霊夢に先を越されちまったが…、こっちだって、負けてらんねぇ…! …さあ、行くぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


魔理沙は、まるで、これから大一番の勝負に挑むかのように、気合を入れ、叫んだ。


バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!!!!!!!!!!!!!!!


まるで、雷神が怒り狂ったかのような、激しい雷鳴が轟き、金色の雷光が、空に向かって、まるで龍のように、激しく立ち昇った。


魔理沙が、全身の力を込めて、トライデントを引き抜いた瞬間、雷のような光が、彼女の体を駆け巡り、周囲に、強大な魔力エネルギーを、解き放った。


ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!!!!!!


まるで、大地が割れるかのような、轟音が響き渡り、金色のトライデントが、ついに、魔理沙の手の中に納まった。


その光景は、まるで、天空の神が、彼女を、真の勇者として認めたかのような、神々しく、そして、感動的な瞬間だった。


妖夢は、二人の姿を、まるで、誇らしい姉たちを見守る妹のように、静かに、しかし、温かい眼差しで見つめながら、微笑んだ。「……やっぱり、…あなたたちは、本物の勇者ですね。…私、信じていました。」


妖夢の言葉は、静かながらも、深い感動と、そして、仲間たちへの、揺るぎない信頼に満ちていた。


ルーク、ガロン、フィンもまた、目を丸くし、まるで、信じられない奇跡を目撃したかのように、その光景を、静かに、しかし、感動の面持ちで見守っていた。


「すごい……!! 本当に、…本当に、伝説が現実になったんだ……!」


フィンは、まるで子供のように、興奮した様子で、呟いた。


霊夢と魔理沙が、伝説のトライデントを手に、岩盤から引き抜き、元の場所に戻ると、それまで、固唾を飲んで見守っていた村人たちは、まるで、長い間、待ち望んでいた奇跡が、ついに現実のものとなったことを確信したかのように、驚きと、そして、歓喜の声を上げた。


「伝説のトライデントが……、ついに、抜かれた……!!」


「預言は、…預言は、本当だったんだ!!」


「これで、…これで、この世界は救われるんだ!!」


「本当に、…本当に、勇者様が現れたんだ!!!」


村人たちは、涙を流し、抱き合い、そして、まるで神を讃えるかのように、霊夢たちを、心から歓迎し、賞賛した。


村長もまた、深く、深く頷き、まるで、我が子の成長を見守る父親のように、優しい眼差しで、霊夢たちを見つめながら、静かに、しかし、力強く言った。


「見事だ……。…見事という他ない。…あんたたちこそ、…あんたたちこそ、真に、この世界を救う、預言の勇者たちだ。」


村長の言葉は、祝福と、そして、感謝の気持ちに満ちていた。


村全体が、祝福と、歓喜と、そして、希望の光に包まれ、霊夢たちは、自分たちが、ついに、伝説の武器を手に入れ、新たな力、そして、新たなる使命を得たことを、改めて実感した。


しかし、これは、まだ、始まりにすぎない。


この先には、さらなる試練、乗り越えなければならない困難、そして、…この世界を闇に染める、暗黒竜(エンダードラゴン)との、最終決戦が待ち受けているのだ。


そして今、伝説の武器を手にし、真の勇者として覚醒した彼女たちは、希望を胸に、新たなる戦いへと、力強く踏み出すのであった――。

ちなみに伝説のトライデントはエンチャントがたくさんついています。

ダメージ増加、火属性、修繕、忠誠、召雷、激流(ゲームだと忠誠、召雷と競合する)

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