第五話 ファイアドラゴンとの戦闘
その時──
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
突如、耳をつんざくような、世界そのものが引き裂かれるかのような轟音が、天を割り、頭上から響き渡った。鼓膜が破れるのではないかと思うほどの音圧、そして、全身の細胞が粟立つような根源的な恐怖が、霊夢たちを貫いた。
反射的に、ほとんど本能的に空を見上げた霊夢たちの目に飛び込んできたのは、信じられない光景だった。
まるで、太陽が地上に堕ちてきたのかと錯覚するほどの、眩いばかりの光。その中心には、明るいオレンジ色の巨大なドラゴンが、全身から文字通り炎を噴き上げながら、威圧感たっぷりに、そして、まるで怒れる神の降臨のように、ゆっくりと舞い降りてきたのだ。
それは、単なる生物の降下ではなかった。空間そのものが歪み、大気が悲鳴を上げ、まるで世界の終焉を告げるかのような、圧倒的な存在感。
ルーク(白オオカミ)「……間違いない。この禍々しい気配、そして、この圧倒的な熱量……この巣の主だ! 全員、最大限に警戒しろ! あれは、ただのドラゴンじゃない! …それ以上の、何かだ!」
ルークの言葉は、警告というよりも、むしろ絶望の響きを帯びていた。長年、森で生きてきた彼の本能が、このドラゴンが、通常の生物とは一線を画す、極めて危険な存在であると告げていた。
ガロン(黒オオカミ)「くそっ…! 全員、即座に戦闘態勢! …だが、決して油断するな! 相手の力量は、未知数だ…!」
ガロンは、冷静沈着な彼らしからぬ、焦りの混じった声で指示を出した。歴戦の猛者である彼でさえ、このドラゴンを前にしては、冷静さを保つのがやっとだった。
ファイアドラゴンは、まるで山脈がそのまま動き出したかのような巨大な翼を、一度、二度と、ゆっくりと、しかし力強く羽ばたかせ、地響きと共に、ゆっくりと着地した。その衝撃は、単なる着地というよりも、まるで大地そのものが怒りに震えているかのようだった。地面は震え、足元が揺らぎ、霊夢たちは立っているのがやっとだった。
その体躯は、これまで霊夢たちが出会ってきた、どんなモンスターとも比較にならないほど巨大だった。まるで燃え盛る太陽の欠片を、そのままドラゴンの形に鋳造したかのような、明るいオレンジ色の鱗。その一枚一枚が、まるで生きているかのように脈動し、鱗と鱗の隙間からは、絶えず灼熱の炎が噴き出し、周囲の空気を陽炎のように揺らめかせていた。その熱は、離れた場所にいる霊夢たちの肌を、まるで火で炙られているかのようにジリジリと焦がす。
フィン(灰オオカミ)「や、やばい……、めっちゃ強そう……。っていうか、強そうどころじゃない……! 足が、勝手に震える……!」
フィンの言葉は、恐怖で震えていた。彼は、本能的に、このドラゴンが、自分たちの手に負える相手ではないことを悟っていた。
ファイアドラゴンの眼差しは、獲物を狙う猛禽類のように鋭く、冷酷で、そして、圧倒的な知性と、明確な敵意を宿していた。その瞳は、まるで地獄の業火を凝縮したかのように赤く燃え盛り、霊夢たちの魂の奥底まで見透かすように、じっとりと見つめていた。
黒焦げの巣を調査していた霊夢たちの前に、想像を遥かに超える巨大な、そして圧倒的な力を持つ、明るいオレンジ色のドラゴン──ファイアドラゴンが、ついにその真の姿を現したのだ。
「愚かなる人間どもよ……。貴様ら、何故、我が聖域たる縄張りに、無断で踏み入った…? その無礼、万死に値するぞ…! …その矮小な命、我が業火で、灰燼に帰してくれるわ!!!」
ファイアドラゴンの咆哮は、単なる声ではなかった。それは、まるで世界の終焉を告げる雷鳴のように、周囲の空間を震わせ、大気を震動させ、霊夢たちの脳髄を直接揺さぶるような、圧倒的な力を持った波動だった。
咆哮と共に、大地が激しく揺れ、まるで巨大な地震が起きたかのように、周囲の岩々が崩れ落ちた。ファイアドラゴンは、その巨大な前足を、まるで大木を地面に叩きつけるかのように、力強く踏み鳴らした。
その瞬間、霊夢たちは、これから始まるであろう、想像を絶する激戦の予兆を、全身で感じ取っていた。ファイアドラゴンは、その巨体から、四つの強力な、そして、絶望的な炎の技を、次々と繰り出そうとしていた…!
「火炎竜息!!」
ファイアドラゴンは、まるで地獄の門が開くかのように、ゆっくりと、しかし確実に、その巨大な口を大きく開いた。その瞬間、周囲の空気が一変した。空気が重く沈み、まるで巨大な掃除機に吸い込まれるかのように、周囲の熱気がドラゴンの口の中へと収束していく。
ドラゴンの喉の奥では、赤黒い炎が、まるで意思を持つ生物のように蠢き、ゴボゴボと不気味な音を立てていた。それは、単なる炎ではなく、まるでマグマそのものが意思を持ってうごめいているかのようだった。その熱量は、離れた場所にいる霊夢たちの肌を、まるで針で刺すようにチリチリと刺激する。
そして、次の瞬間──
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!
ファイアドラゴンは、まるで世界の全てを焼き尽くすかのような、灼熱の炎の奔流を、霊夢たちめがけて解き放った。
それは、炎のブレスというよりも、むしろ、太陽そのものが地上に落ちてきたかのような、圧倒的な光と熱の奔流だった。炎は空間そのものを焼き焦がし、大気を震わせ、まるで生き物のようにうねりながら、霊夢たちへと襲いかかる。
その熱は、岩をも溶かし、鉄をも蒸発させるほどの超高温。触れるもの全てを一瞬で灰燼に帰す、まさに地獄の業火だった。
霊夢「くっ……!! …熱い…!!!」
霊夢は、炎が放たれるコンマ数秒前に、直感的に危険を察知し、咄嗟に地面を強く蹴り、横方向へ跳躍した。彼女の巫女としての直感と、長年の鍛錬によって培われた反射神経が、彼女の命を救った。
しかし、紙一重で炎の直撃を避けたものの、その凄まじい熱風は、まるで巨大なハンマーで殴られたかのように、彼女の全身を容赦なく襲った。掠めただけでも、熱気に触れただけでも、肌は焼け付くように熱く、まるで生きたまま火炙りにされているかのような激痛が走る。霊夢の長い黒髪は、毛先からチリチリと音を立てて焦げ始め、肌は赤く腫れ上がり、水ぶくれができ始めている。
妖夢「地面が……! 地面が溶けて……マグマみたいになってる!?」
妖夢は、信じられない光景に、思わず叫び声を上げた。ファイアドラゴンのブレスが直撃した地面は、黒焦げになるどころか、ドロドロと溶け、まるで火山が噴火した後のように、赤熱したマグマ溜まりへと変貌していた。そのマグマ溜まりは、まるで生き物のように脈打ち、ボコボコと不気味な音を立てながら、周囲に灼熱の熱気を撒き散らしている。
ルーク「…この熱量…、並の炎じゃない…! まともに受ければ、骨すら残らず一瞬で消し炭だな……! 霊夢! 妖夢! 絶対に油断するな! 少しでも気を抜けば、即死だぞ!!」
ルークの叫び声は、警告というよりも、むしろ悲鳴に近かった。彼は、この炎の恐ろしさを、誰よりも理解していた。
炎の奔流は、なおも止まることなく、霊夢たちを追い詰める。それは、まるで意思を持った死神のように、彼女たちの命を刈り取ろうと、執拗に、そして残酷に迫ってくるのだった……。
「炎爪撃!!」
ファイアドラゴンは、先ほどの火炎竜息の余韻も冷めやらぬうちに、咆哮と共に、新たな攻撃を繰り出した。その巨体からは想像もつかないほどの、まさに電光石火の速さで、巨大な前足を振り下ろしたのだ。
狙いは、先ほどまで霊夢たちが立っていた場所、その一点。
その前足は、ただ大きいだけではない。鋭利な爪は、まるで巨大な剣のように研ぎ澄まされ、その表面には、ドラゴンの魔力によって生み出された灼熱の炎が、激しく燃え盛っていた。炎は、まるで意思を持つ生物のようにうねり、その熱は、周囲の空気を焦がし、大気を歪ませる。
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
まるで、大地そのものが爆発したかのような、想像を絶する轟音が、周囲の空間を揺るがした。その音は、単なる衝撃音ではなく、世界が悲鳴を上げているかのように、霊夢たちの鼓膜を、そして魂を、激しく揺さぶった。
ファイアドラゴンの爪が地面に接触した瞬間、大地はまるで豆腐のように、いとも容易く引き裂かれた。巨大なクレーターが形成され、そこから爆風と衝撃波が、まるで巨大な津波のように、周囲一帯へと放射状に広がっていく。
その衝撃波は、ただの風圧ではなかった。それは、まるで巨大なハンマーで殴られたかのような、物理的な衝撃を伴っており、霊夢たちの体を容赦なく吹き飛ばした。
霊夢は、咄嗟に地面に伏せ、衝撃に耐えようとしたが、その体はまるで木の葉のように宙を舞い、地面に叩きつけられた。全身に激痛が走り、息が詰まる。
魔理沙も、衝撃波を避けきれず、吹き飛ばされながら叫んだ。「クソッ、た、たまらねぇ…! 攻撃の規模が、デカすぎるんだよ! こんなの、まともに食らったら、本当に…、マジで死ぬぞ!!」
魔理沙の言葉は、恐怖と絶望の色を帯びていた。彼は、このドラゴンの攻撃が、単なる脅しではなく、本気で自分たちの命を奪いに来ていることを理解していた。
霊夢たちは、炎の爪の直撃はかろうじて避けたものの、その凄まじい余波によって、全身にダメージを受け、息も絶え絶えになりながら、反撃の機会を窺っていた。しかし、ファイアドラゴンの巨体は、圧倒的な存在感を放ち、攻撃の隙を全く見せない。まるで、鉄壁の要塞のように、霊夢たちの前に立ちはだかっていた。
周囲の状況も、一変していた。先ほどまで、かろうじて草木が生えていた岩場は、今や、まるで地獄の釜の底のように、荒涼としたクレーターへと変貌していた。地面は抉れ、岩は砕け散り、まるで世界の終焉を告げるかのような、絶望的な光景が広がっていた。
「炎突進!!!」
ファイアドラゴンは、まるで天空の覇者たる威厳を示すかのように、その巨大な翼を、一度、二度と、力強く広げた。翼膜は、まるで巨大な太鼓を打ち鳴らすかのように、バサバサと音を立てて震え、周囲の空気を激しく震わせる。
そして、次の瞬間──
ファイアドラゴンは、まるでロケットのように、一気に空中へと舞い上がった。その巨体からは想像もつかないほどの加速力。あまりの急上昇に、周囲の砂礫が巻き上げられ、まるで巨大な竜巻が発生したかのように、渦を巻いて空へと昇っていく。
ドラゴンの全身は、瞬く間に灼熱の業火に包まれた。それは、単なる炎ではなく、まるで太陽の中心核から噴き出したかのような、超高温のプラズマの塊だった。その熱は、周囲の空気を焼き焦がし、大気を歪ませ、まるで世界そのものが燃え尽きてしまうかのような、圧倒的な威圧感を放つ。
そして、ファイアドラゴンは、燃え盛る炎の塊、まるで隕石が如き勢いで、霊夢たちめがけて、一直線に突進してきた。その速度は、まさに音速を超えるほど。空気は引き裂かれ、爆音が轟き、まるで世界が終焉を迎えるかのような、絶望的な光景が繰り広げられる。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!
空気を切り裂く轟音、炎が燃え盛る爆音、そして、地面を焦がす灼熱の熱風。全てが混ざり合い、まるで地獄の交響曲のように、霊夢たちの鼓膜を、そして魂を、激しく揺さぶった。
妖夢「やばい…! あんなの、まともに受けたら、絶対に…! 絶対に…死ぬ…!! 避けるしかない! 霊夢さん!!!」
妖夢の叫び声は、恐怖と絶望に染まっていた。彼女は、この攻撃が、回避しなければ確実に死に至る、必殺の一撃であることを、本能的に理解していた。
霊夢「分かってる! …でも、このままじゃ…! 全員、散開! とにかく、少しでも距離を取るのよ!!!」
霊夢は、恐怖に震える声で叫びながら、全員に指示を出した。しかし、その声は、ドラゴンの咆哮と炎の爆音にかき消され、ほとんど届いていないようだった。
霊夢たちは、まるで死神から逃れるかのように、悲鳴を上げながら、全力で回避行動を取った。しかし、ファイアドラゴンの突進は、あまりにも速く、そして、あまりにも広範囲だった。
ドラゴンの突進によって生じた衝撃波は、大地を揺るがし、地面を直径数十メートルにも及ぶ巨大なクレーターへと変貌させた。灼熱の炎は、まるで噴火口から噴き出した溶岩のように、周囲に吹き荒れ、地面を抉り、岩を溶かし、全てを焼き尽くしていく。
周囲の温度は、急激に上昇し、まるでサウナの中にいるかのような、息苦しいほどの熱気が、霊夢たちを襲った。肌は焼け付き、呼吸は困難になり、まるで生きながら地獄に落ちたかのような苦痛が、彼女たちを襲う。
ガロン「ぐっ…! どれもこれも、一撃必殺級の威力か…! 厄介だな…。こんな攻撃、一体いつまで避け続けられるっていうんだ…!?」
ガロンの言葉は、冷静さを装っているが、その声には、僅かな焦りが混じっていた。歴戦の猛者である彼でさえ、この絶望的な状況に、心が折れそうになっていた。
フィン「攻撃の…隙…? そんなの、見当たらないよ…! 何か、弱点はないの!? このままじゃ、…ジリ貧だよ…!」
フィンの言葉は、ほとんど泣き声だった。彼は、恐怖と絶望に打ちひしがれ、半ばパニック状態に陥っていた。
霊夢は、ギリギリのところでファイアドラゴンの炎を避けながら、空中で体勢を立て直した。そして、まるで風に乗るように、素早く空へと舞い上がる。風を読み、巧みに翼を操り、まるで上昇気流に乗った鳥のように、竜巻状に空高くへと上昇していく。
霊夢「翼があるからって、上から好き勝手に攻撃できると思うなよ! …こっちだって、空は飛べるんだ!」
霊夢の言葉は、決意に満ちていた。彼女は、恐怖に屈することなく、反撃の機会を窺っていた。
彼女は、ファイアドラゴンの巨体の死角を、まるで縫うようにすり抜け、ネザライトの剣を、まるで雷光のように一閃させた。渾身の力を込めたその一撃は、ドラゴンの炎の鱗を切り裂き、深手を負わせることを狙った、捨て身の攻撃だった。
ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!!!!!!!!
ネザライトの剣と、ファイアドラゴンの炎の鱗が激突する。金属同士がぶつかり合う、耳をつんざくような高周波音が、戦場に響き渡り、火花がまるで小さな星のように周囲に飛び散った。
霊夢の鋭い剣撃は、ファイアドラゴンの巨大な翼を、ほんの僅かに切り裂いた。しかし、それは致命傷には程遠い。ドラゴンの鱗は、想像を絶するほど硬く、そして、その下には、強靭な筋肉と骨が、鉄壁の防御を形成していた。
ファイアドラゴン「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
怒りと、そして、僅かな痛みを感じたのだろう。ファイアドラゴンは、まるで火山が噴火したかのような、凄まじい咆哮を上げた。その声は、単なる怒りだけでなく、傷つけられたことへの屈辱と、敵への憎悪を込めた、獣の叫びだった。
傷口からは、血液ではなく、灼熱の炎が、まるで溶岩のように噴き出した。それは、ドラゴンの魔力が、傷口から漏れ出していることを意味していた。
魔理沙は、ファイアドラゴンが一瞬、バランスを崩した隙を見逃さなかった。彼女は、ドラゴンが着地する瞬間を狙い、ネザライトの斧を、まるで巨大な杭を打ち込むかのように、力強く構えた。
魔理沙は、自身の魔力を、斧の刃先へと集中させていく。斧は、魔力の奔流を受け止め、まるで生き物のように脈動し、赤黒い光を放ち始める。その光は、まるで魔力そのものが凝縮されたかのような、圧倒的なエネルギーを秘めているように見えた。
魔理沙「このデカブツ、上から見下ろしやがって…! …地面に叩き落として、目に物見せてやるぜ! 覚悟しやがれぇぇぇぇぇ!!!」
魔理沙の叫び声は、戦場に響き渡り、彼女の決意と闘志を示していた。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
魔理沙は、渾身の力を込めて、ネザライトの斧を地面に叩きつけた。その衝撃は、まるで巨大な隕石が落下したかのように、大地を激しく揺るがした。
斧が地面に激突した瞬間、強烈な衝撃波が、まるで巨大な津波のように、周囲へと放射状に広がっていく。その衝撃波は、ファイアドラゴンの足元を捉え、その巨体を、ほんの僅かに揺るがせた。
しかし、ドラゴンは、容易には倒れない。その巨体は、まるで巨大な岩山のようであり、並大抵の攻撃では、びくともしないのだ。
その時、妖夢が動いた。
彼女は、魔理沙の攻撃によって生じた、ほんの一瞬の隙を突き、ファイアドラゴンの足元へと、まるで韋駄天のように、素早く駆け込んだ。その動きは、まるで風のように速く、そして、まるで蝶のように軽やかだった。
妖夢は、二刀を構え、研ぎ澄まされた集中力を、一点に集中させた。彼女の狙いは、ドラゴンの巨大な足の関節。硬い鱗に覆われていない、唯一の弱点だ。
妖夢「今です……!!!! …この一瞬に、全てを…!!!」
妖夢の言葉は、まるで祈りのように、静かに、しかし力強く響いた。
シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!
妖夢の二刀が、まるで閃光のように、目にも止まらぬ速さで連続して閃いた。それは、単なる剣の動きではなく、まるで舞踊のような、芸術的な動きだった。
刃は、ドラゴンの足の鱗の隙間や、関節部分を、正確無比に切り刻んでいく。それは、まるで熟練した外科医が、メスで患部を切り開くかのような、精密な動きだった。
ルークは、この連携攻撃の好機を逃さなかった。彼は、低く唸り声を上げ、ガロンとフィンに指示を出した。
「ガロン! フィン! 今だ! 奴の注意を引きつけろ!!」
ルークの号令を受け、ガロンとフィンは、まるで訓練された狩猟犬のように、素早く、そして、連携して飛びかかった。彼らは、オオカミならではの俊敏な動きで、ドラゴンの周囲を駆け回り、その注意を自分たちへと引きつける。
ガロンは、その巨大な顎を開き、鋭い牙で、ドラゴンの首筋に噛みつこうとした。しかし、ドラゴンの鱗は、あまりにも硬く、牙は、まるで鋼鉄に歯を立てるかのように、滑ってしまい、決定的なダメージを与えることはできない。
フィンは、ガロンとは対照的に、小柄な体を生かし、ドラゴンの尻尾を狙って、ちょこまかと動き回った。彼は、尻尾に噛みついたり、引っ掻いたりして、ドラゴンを撹乱し、その注意を自分たちへと引きつけようとする。
これらの連携攻撃は、ドラゴンに致命傷を与えることはできなかった。しかし、その動きを鈍らせ、妖夢の攻撃をサポートし、そして、わずかながらも、ドラゴンの体力を削ることに成功した。
戦いは、まだ始まったばかり。しかし、霊夢たちの連携攻撃は、巨大なファイアドラゴンに、確実にダメージを与えつつあった。
ファイアドラゴン「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!」
それは、単なる咆哮ではなかった。苦悶、怒り、そして、敗北を悟った獣の、断末魔の叫び。霊夢たちの連携攻撃によって、ついに、鉄壁の防御を誇っていたファイアドラゴンの動きが、目に見えて鈍り始めたのだ。
しかし、それは同時に、更なる、そして、絶望的な反撃の兆しでもあった。
最大にして最後の技! 「火焔爆裂」!!
ファイアドラゴンは、まるで自らの死を悟ったかのように、最後の力を振り絞り、その巨体を、内側から膨張させ始めた。それは、まるで風船が破裂する寸前のように、不気味なほどゆっくりと、しかし確実に進行していく。
ドラゴンの体内では、制御不能な炎の魔力が、暴走を始めていた。それは、まるで超新星爆発の前触れのように、中心核から強烈な光を放ち、周囲の空間を歪ませる。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
全てを破壊し、全てを焼き尽くす、超広範囲の大爆発。それは、ファイアドラゴンの最後の抵抗であり、全てを道連れにする、自爆攻撃だった。
爆発の瞬間、世界は白く染まった。まるで太陽が地上に落ちてきたかのような、圧倒的な光と熱が、周囲の全てを飲み込んでいく。
その爆発は、単なる爆発ではなかった。それは、まるで世界の終焉を告げるかのような、絶望的な光景だった。大地は揺らぎ、空は裂け、全てが破壊されていく。
霊夢は、爆発に巻き込まれる、まさにその寸前、ファイアドラゴンの攻撃の中心点、爆発のエネルギーが最も集中する場所を、本能的に見抜いていた。
そして、彼女は、まるで死神の鎌をかわすかのように、その中心点を突破し、最後の力を振り絞って、渾身の一撃を放った。もはや、防御など考えていない。全てを攻撃に賭け、この一撃で、全てを終わらせる覚悟だった。
「ネザライト剣・全力一閃!!!! これで…! これで終わりだああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
霊夢の叫び声は、爆発の轟音にかき消され、ほとんど聞こえなかった。しかし、その声には、彼女の決意と、覚悟と、そして、この世界を救いたいという、強い願いが込められていた。
ザシュッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
剣が肉を貫き、骨を砕く、鈍い音が、爆発の轟音の中で、微かに響いた。それは、まるで死神の宣告のような、重く、そして、決定的な音だった。
霊夢のネザライトの剣は、ファイアドラゴンの胸部、心臓があると思われる場所に、深々と突き刺さっていた。それは、まるで運命の糸を断ち切るかのように、正確に、そして、確実に、ドラゴンの急所を貫いていた。
心臓を貫かれたのだろうか。ファイアドラゴンの巨体が、まるでスローモーションのように、ゆっくりと、しかし確実に、痙攣し始めた。その動きは、まるで巨大な山が崩れ落ちるかのように、重く、そして、悲壮だった。
ファイアドラゴンは、最後の力を振り絞り、天に向かって咆哮を上げようとした。しかし、その声は、途中で途切れ、まるで風船から空気が抜けるように、急速に力を失っていった。
そして、次の瞬間──
ファイアドラゴンは、まるで巨大な岩が崩れ落ちるかのように、地面に崩れ落ちた。その衝撃は、大地を揺るがし、周囲に砂塵を巻き上げた。
爆発の炎と、ドラゴンの巨体が地面に激突した衝撃によって、周囲は、まるで地獄絵図のような、荒涼とした焼け野原と化していた。
しかし、ファイアドラゴンが倒れた場所だけは、奇妙な静寂に包まれていた。まるで、そこだけが、世界の終焉から取り残されたかのように。
霊夢は、ネザライトの剣を杖のようにして地面に突き、荒い息を整えていた。激しい戦いの余韻が、彼女の全身を、まるで鉛のように重くしていた。心臓は、まだ激しく鼓動を続け、まるで、彼女の体に、まだ戦いが終わっていないことを告げているかのようだった。
「ふう……、これで…終わり、かな? …本当に、終わったのか…?」
霊夢の言葉は、疑問というよりも、むしろ、自分自身に言い聞かせるような、不安げな響きを帯びていた。彼女は、ファイアドラゴンが完全に沈黙したのかどうか、まだ確信が持てなかった。
周囲には、砂煙が、まるで巨大な生き物のように、ゆっくりと、しかし確実に、立ち込めていた。その砂煙は、視界を遮り、まるで、まだ何かが潜んでいるかのような、不気味な雰囲気を醸し出している。
砂煙が、ゆっくりと晴れていく中、霊夢は、ネザライトの剣を杖のようにして地面に突き立て、荒い息を整えながら、周囲の状況を確認していた。
「はぁ…はぁ…、終わった…、本当に…終わったんだ…」
霊夢は、まるで自分自身に言い聞かせるように、何度も何度も、同じ言葉を繰り返した。
魔理沙は、ネザライトの斧を肩に担ぎ、周囲を見回しながら言った。「…とんでもねぇ威力だったな…。派手にやりすぎたか…? おかげで、辺り一面、焼け野原だぜ…。」
魔理沙の言葉は、軽口を叩いているようだったが、その声には、疲労と、安堵と、そして、僅かな虚しさが混じっていた。
ice and fire Modのファイアドラゴンをイメージしてみました。
必殺技はラテン語です。
Eruptio flammae
Flamma halitus
Unguis flammeus
Ignis Charge