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第四話 黒焦げの巣

霊夢たちは夜の戦いを終え、モンスターたちを撃退した。しかし、倒れた一体の異様な存在──エリートスケルトンが印象に残った。モンスターたちはその姿を見て、一斉に逃げ去ったのだった。


「あのスケルトン、何だったんだ?」霊夢たちは疑問を抱えながら、戦いの後片付けを始めた。


魔理沙が言った。「さて、とりあえず寝る場所を確保しないとな。」


戦いの最中、ゾンビやクモを倒したことで糸をいくつか手に入れていた。


妖夢が提案する。「この糸……クラフトすれば羊毛にできますよね?」


霊夢が頷いた。「そうだね。作業台を使えば、ベッドを作れそう。」


魔理沙が作業台を設置し、糸を使って羊毛をクラフトする。


魔理沙が羊毛を見せる。「よし、羊毛が3つ完成!」


霊夢と妖夢もそれぞれ羊毛を作り、木材と組み合わせてベッドを作った。


霊夢が嬉しそうに言った。「これで休めるね。」


ガロン(黒オオカミ)が疑問を投げかける。「この世界では、ベッドを使えば安全に夜を明かせるのか?」


フィン(灰オオカミ)が答える。「うん! プレイヤーはベッドで寝ると、リスポーン地点も設定されるし!」


ルーク(白オオカミ)が納得する。「なるほど……。ならば、少し休んでおくといい。」


霊夢たちは簡単な囲いを作り、ベッドを並べて横になった。眠る前に、三人と三匹のオオカミは、エリートスケルトンの正体について話し合った。


霊夢「結局、あのスケルトンって何だったんだろう?」


魔理沙「ただのスケルトンじゃないのは確かだな。」


妖夢「通常のモンスターよりも、装備も強かったですよね。」


ルーク「あのスケルトン……おそらく、“特別な存在”だったのかもしれない。」


ガロン「普通のスケルトンとは違う雰囲気を持っていた。まるで、何かの指揮官のような……。」


フィン「うーん……もしかして、ボスモンスターの手下だったとか?」


その言葉に、霊夢たちの間に緊張が走った。


霊夢「……もし、エンダードラゴンがこの世界を支配しているなら、モンスターの中にも階級があるのかもしれない。」


魔理沙「つまり、あのスケルトンはエンダードラゴンの軍勢の中でも、上位にいる存在ってことか?」


妖夢「でも、私たちはあっさり倒しちゃいましたよね?」


霊夢たちは顔を見合わせた。自分たちの強さ…それは確かに、常識では考えられないレベルなのかもしれない。しかし、それは同時に、新たな脅威の始まりを意味しているのかもしれなかった。


ルーク「……お前たちの強さが、それほど異常だということだ。」


ガロン「だが、もしエリートスケルトンが指揮官クラスの存在だったとすれば、奴らの本拠地にはさらに強い敵がいるだろう。」


フィン「そ、それって……ヤバいんじゃない?」


夜が明け、東の空が白み始める。森には朝露が降り、木々の葉が静かに輝き始めた。


霊夢はゆっくりと体を起こし、伸びをした。朝日が彼女の顔を優しく照らし、新たな一日の始まりを告げている。


霊夢「よし、今日こそ村を探そう。」


魔理沙も欠伸をしながら起き上がった。「村があれば、もっと情報も手に入りそうだしな。」


妖夢は静かに頷いた。「それに、安全な場所も確保できますね。」


霊夢たちは手早く荷物をまとめ、オオカミたちと共に、希望を胸に新たな旅へと出発した──。


霊夢たちは村を探すために歩き続けていた。


しかし、道中で異様な光景を目にすることになる──。


草木はまばらに、まるで生気を失ったかのように点在する岩場。その中心に、異質な黒い塊が、まるで世界の傷跡のように重く鎮座していた。


フィン(灰オオカミ)「ねえねえ、あれ、何かあるよ!」


フィンの鼻が敏感に何かを捉えたのだろう。興奮気味に駆け出すその視線の先には、焦げ付いたような黒色が、周囲の灰色がかった岩肌の中で異様に際立っていた。まるで、この世のものではない何かが、無理やりこの場所に押し込まれたかのように。


魔理沙「……これは、一体……?」


目の前に広がるのは、巨大な鳥の巣、いや、もっと禍々しい何かの抜け殻だろうか。黒焦げになったそれは、まるで生命の痕跡を拒絶するように、一切の温かみを失っていた。巨大な洞窟の入り口が、力ずくで地面に押し潰されたかのような、歪で不自然な形状をしていた。


巣の周囲は、まるで巨大な炎に長時間晒されたかのように、深く黒焦げになっていた。炭化した地面はひび割れ、まるで血管のように黒い亀裂が走り、その異様な光景は、まるで世界が熱病に冒されたかのようだった。焦げ付いた土からは、微かに硫黄の臭いが漂っていた。それは、鼻を突くような刺激臭ではなく、もっと深く、ねっとりとまとわりつくような、不快な臭いだった。


妖夢「何かの巣……ですよね? でも、こんなにも人工的な造形美を感じさせる巣を作るモンスターなんて、聞いたことがありません……。」


妖夢の声は、疑問というよりも、言いようのない不安の色を帯びていた。目の前の異質な物体は、彼女の知識や経験を遥かに超え、理解の範疇を超えた存在であることを告げていた。


ルーク(白オオカミ)「これは……ただの動物的な巣とは違うな。土や木、焦げ跡の匂いとは別に、何かが意図的に、強い意志を持って作り上げた…… そういう、作為的な匂いがする。」


ルークは鼻をひくつかせ、微かな差異を嗅ぎ分けようとしていた。彼の言葉は、オオカミとしての本能的な直感に基づいているだけでなく、長年、森で生きてきた経験からくる確信に満ちていた。


巣の内部を注意深く覗き込むと、無数の巨大な爪痕が、まるで悪意ある落書きのように壁面に刻まれていた。それは、ただ引っ掻いたというより、巨大な鉤爪を持つ何かが、怒り狂ったように、執拗に、そして規則的に地面や壁を抉り続けた結果のように見えた。


ガロン(黒オオカミ)「この異様な大きさ、そして、この作為的な痕跡……。普通のモンスターの、縄張り意識や単なる生存本能だけでは、到底説明がつかない。これは、もっと高度に組織化された、知的な存在の…」


ガロンの声は、普段の冷静さを失い、僅かに震えていた。彼は、この巣がただのモンスターの縄張りではない、もっと危険で、予測不能な何かの根城である可能性を感じ始めていた。


霊夢は、言葉を発することなく、黒焦げの巣の痕跡をじっと見つめていた。焦げの深さ、煤の広がり、そして鼻腔を刺激する焦げ臭さ……。彼女は巫女としての直感と、妖怪退治で培った経験を総動員し、目の前の異質な物体から、隠された情報を読み取ろうとしていた。


霊夢「……まさか、ドラゴンの巣……? それも、ただのドラゴンじゃない。この焦げ跡の深さ、熱量……炎を操る、それも極めて強力な炎を……」


霊夢の声は、自分自身に言い聞かせるように、囁くように小さかった。しかし、その言葉は、重い雷鳴のように、彼女たちの心に響いた。


霊夢たちの間に、目に見える緊張感が電流のように走った。ドラゴンの巣。それだけでも十分に脅威的だが、それが炎を操るドラゴンとなると、話は別だ。ましてや、この世界を支配するエンダードラゴンの眷属である可能性も、脳裏をよぎる。ドラゴンの巣という、最悪のシナリオが、現実として、彼女たちの肩に重くのしかかってきた。


魔理沙「ドラゴンの巣って……まさか、エンダードラゴン本人がこんな所に? いや、でも…そんな、ありえないだろ…?」


魔理沙の言葉は、疑問と否定が入り混じり、普段の自信ありげな口調は影を潜めていた。最強の存在であるエンダードラゴンが、このような場所にいるはずがない。そう信じたかった。


妖夢「私もそう思います。エンダードラゴンは通常、エンドにいるはずです。こんな開けた場所、それも草木もまばらな岩場に巣を作るなんて、生態的にも考えにくいです……。」


妖夢の言葉は冷静に分析しようと努めているが、その声は僅かに震えていた。彼女の知識と常識が、目の前の異様な光景によって揺らいでいることを示していた。


ルークは低く唸るように言った。「確かに、エンダードラゴンはエンドの支配者だ。しかし…、この世界では、我々の知る常識が、必ずしも通用しないのかもしれない。…何か、途轍もなく大きな力の歪みを感じる。」


ルークの言葉は、冷静ながらも重い警告を含んでいた。長年、森で生きてきた彼の本能が、この場所の異常性を感知しているのだ。


ガロンは、鋭い嗅覚で周囲の空気を嗅ぎながら言った。「焦げ跡…それも尋常じゃない熱量だ。並の炎では、ここまで広範囲を、徹底的に焼き焦がすことは不可能だ。…これは、炎属性の生物…、それも極めて強力な炎を操る存在の仕業と考えるのが自然だろう。」


ガロンの言葉は、論理的な分析に基づいているが、その結論は、彼らの不安をさらに煽るものだった。


フィン「えっ…? じゃあ、普通のドラゴン…? それとも、もっとヤバい、エンダードラゴンに匹敵するような…ブレスを吐くモンスター…!?」


フィンの声は、恐怖で上ずっていた。彼は、未知の脅威の正体を想像し、その恐ろしさに震え上がっていた。


霊夢たちは顔を見合わせ、それぞれの表情には、未知の脅威への警戒心と、抗いようのない恐怖、そして、微かな好奇心が複雑に絡み合っていた。


魔理沙は、強がって見せるように、荒々しく言った。「と、とにかく、中を調べてみるしかねぇだろ! こんな所で立ち止まってても、何も解決しねぇ!」


魔理沙の言葉は、恐怖を振り払うための虚勢だった。しかし、その声には、僅かな震えが混じっていた。


緊張と、言いようのない胸騒ぎを抱えたまま、霊夢たちは、まるで死神の口のようにぽっかりと開いた黒焦げの巣の奥へと、足を踏み入れた。


巣の内部は、外から見た印象を遥かに超える、地獄絵図のような光景だった。熱風が吹き荒れた跡は生々しく残り、壁面は熱でただれ、まるで溶けた蝋のように歪んでいた。焼け焦げた骨は、原型を留めず炭の塊と化し、それが何であったのか、もはや知る由もない。溶け落ちたネザライトの破片は、本来の漆黒の輝きを失い、赤黒く変質し、まるで血の涙のように、地面にこびりついていた。黒く変色したエンダーパールは、光を失い、煤を被ったガラス玉のように虚ろな光を放ち、まるで、死んだ生物の眼球のように、霊夢たちを見つめ返しているようだった。


その光景は、まるで、何かがここで生まれたかのように……そして、その誕生の際に、周囲の全てを、跡形もなく焼き尽くしたかのように、凄惨で、そして冒涜的だった。

次回から本格的に戦闘シーン入れます

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