第十話 再来エリートスケルトン戦
死神の足音
黒曜石の兜を深く被ったエリートスケルトンは、まるで死神を思わせる威圧感を漂わせ、隊列の先頭を黙々と進んでいた。彼の背後には、無言の兵士、…いや、生ける屍と言うべきか、数体のスケルトンたちが、まるで墓場から蘇った亡者のように、無機質に、しかし、異様なまでに統率の取れた動きで続いていた。
彼らが踏みしめる森の地面は、湿気を帯びた落ち葉で厚く覆われ、スケルトンたちの骨の足が踏み込むたびに、カサカサと、乾いた、まるで死を告げるかのような音を立てる。微かに、腐葉土と、そして、どこか血腥い香りが、彼らの鼻腔…、いや、彼らに鼻は無いのだが、長年の経験で培われた、獲物の匂いを嗅ぎ分ける、本能をくすぐった。
昼なお暗い森の中、木々の間から差し込む陽光は、弱々しく、まるで彼らの行く末を暗示するかのように、頼りない。周囲は、深い緑と、そして、得体の知れない闇のコントラストに包まれ、まるで世界そのものが、彼らの存在を拒絶しているかのようだった。
スケルトンたちの骨の足音は、静寂を切り裂くように、カチカチと、乾いた、まるで骨が擦れるような音を立てる。しかし、彼らは、長年、暗黒竜に仕えてきた精鋭。訓練された兵士のように、その足音さえも、極限まで抑え、まるで森の一部、…いや、森に潜む悪霊のように、気配を完全に殺して進んでいた。
エリートスケルトンの赤い眼窩は、まるで高性能な機械仕掛けのように、左右に、そして、上下に、細かく、そして、絶え間なく動き、周囲のわずかな変化、…ほんの僅かな異変も見逃さない。風に揺れる木の葉の、不自然なざわめき、遠くで鳴く鳥の声の、微かな乱れ、そして、空気中に漂う、獲物の匂い…。全てが、彼の高性能な警戒レーダーに、確実に引っかかっていた。
スケルトンAが、まるで墓場から漏れ聞こえる声のように、低く、そして、少しばかり不安げな声色で囁いた。「隊長…、日が暮れ始めてきました。…我々は、もう何日も、この薄暗い森の中を彷徨っていますが、…いまだに、あの人間ども、…例の勇者たちの、決定的な痕跡を、掴むことができておりません。」
スケルトンBも、それに同意するように、カチカチと、まるで骨を鳴らすかのように、首を傾げた。「本当に、…奴らは、この森の中に潜んでいるのでしょうか…? …もしかすると、我々が、この森を捜索している間に、…既に、別の場所へと、…移動してしまったのでは…?」
スケルトンたちの言葉には、不安と、そして、任務が長引くことへの、焦りが滲み出ていた。
エリートスケルトンは、足を止めることなく、まるで墓石が喋るかのように、低い、そして、冷酷な声で答えた。「……焦燥は禁物だ、愚か者ども。…人間どもの足跡は、紛れもなく、この森へと続いている。…微かだが、…奴らが通った痕跡は、…確かに残っているのだ。」
彼は、以前に偵察部隊が発見した、不自然に折られた木の枝、…まるで何者かが無理やりへし折ったかのような痕跡、そして、踏み荒らされた草むら、…まるで獣が争ったかのような痕跡のことを思い出していた。それは、微細な、…人間であれば、決して見逃してしまうような、小さな証拠だった。しかし、長年、追跡と暗殺を生業としてきた、熟練したスケルトンたちにとっては、十分すぎるほどの手がかりだった。
スケルトンCが、ふと思い出したように、まるで古い記憶を呼び覚ますかのように言った。「…そういえば、村の噂も、…この森の周辺で多く聞かれるようになりました。…特に、最近、我々が襲撃し、…壊滅させた村の生存者たちは、…口々に、『勇者様』、…『救世主』などと、…意味不明なことを喚いていた、と報告されています。」
エリートスケルトンは、その言葉に反応し、僅かに、…本当に僅かに、黒曜石の兜の下で、眉をひそめた。まるで、腐肉に群がるハエを追い払うかのように。「勇者様、…救世主、だと…? …フン、人間どもは、いつの時代も、…大げさな物語、…それも、自分たちに都合の良い、…空想の物語を好むものだ。」
彼は、過去に人間たちの集落を襲撃した際、彼らが作り上げてきた、英雄譚や伝説を、嘲笑していた。しかし、今回の件は、…どこか過去の出来事とは異質な、…何か、得体の知れない、不気味なものを感じさせた。
スケルトンDが、推測するように、まるで墓石が擦れるような声で言った。「しかし隊長、…村人たちが、それほどまでに熱狂的に、…噂しているということは、…本当に、その『勇者』とやらが、…この近くの村に、滞在している可能性も、…否定できないのでは…?」
エリートスケルトンは、再び足を止め、今度は、まるで獲物の匂いを嗅ぎ分ける獣のように、ゆっくりと周囲の空気を嗅ぎ取るように、鼻…、もちろん、彼に鼻は無いのだが、…長年の経験と、死者の勘が、微細な空気の動きや、そこに混じる匂いを、感知させるのだ。
腐葉土の匂い、湿った土の匂い、そして、微かに焦げ付いたような木の匂い……。その中に、確かに、微かながらも、「人の匂い」が混じっていた。それは、単なる人間の匂いではなく、もっと複雑で、…形容しがたい、…何か、特別な、…そして、どこか、忌まわしいものを感じさせた。
「……間違いない。」エリートスケルトンは、まるで死刑宣告のように、低い、しかし、確信を込めて言った。「微かだが、…確かに、人の匂いがする。…そして、焚き火の煙の匂いも…。…おそらく、それほど遠くない場所に、…村がある。」
スケルトンEは、喜びを隠せない声で、まるで骨が軋むような音を立てて叫んだ。「村ですか…! ついに、…ついに、あの人間ども、…勇者とやらを、見つけ出したのですね、隊長!」
スケルトンFも、興奮気味に、まるで獲物を前にした獣のように、続けた。「これで、…これで、ようやく、…偉大なるエンダードラゴン様に、…良い報告ができます…!」
エリートスケルトンは、高揚する部下たちを、まるで虫けらを見るように、冷たく見渡し、静かに、しかし、有無を言わせぬ威圧感で制した。「早まるな、愚か者ども。…喜ぶのは、まだ早い。…村が、本当に人間どもの隠れ家、…あるいは、拠点であるかどうかは、…まだ断定できない。…慎重に、…慎重に、状況を見極める必要がある。」
スケルトンGが、焦れたように、まるで反抗期の子供のように、反論した。「しかし隊長、…村の位置が特定できたのであれば、…今すぐにでも、村に突入し、…人間どもを捕縛すれば、…手っ取り早いのでは…? …我々、エリート部隊の力ならば、…村の人間など、…容易く…。」
エリートスケルトンは、冷徹な、まるで氷のような視線を、スケルトンGに向け、静かに、しかし、有無を言わせぬ威圧感で、まるで死刑宣告のように制止した。「愚鈍な考えは捨てろ、スケルトンG。…我々が追跡している人間どもは、…ただの人間ではない。…伝説のネザライト装備を所持し、…我々エリート部隊の精鋭を、…一撃で葬り去るほどの力を持つ、という報告だ。…下手に刺激すれば、…我々エリート部隊とて、…無傷では済まん。…それに、…偉大なるエンダードラゴン様からの御命令は、…あくまで『調査』だ。…今は、…不必要な戦闘は、…極力避けるべきだ。」
スケルトンたちは、エリートスケルトンの冷徹な、そして、絶対的な言葉に、背筋を凍らせた。彼らは、隊長の圧倒的な実力と、冷酷なまでの冷静沈着さを、誰よりも理解している。逆らうことなど、…考えもしなかった。
エリートスケルトンは、再び歩き出し、まるで死神が獲物へと近づくように、森の奥へと、ゆっくりと進み始めた。「……村への接近は、…慎重に行う。…まずは、選抜した偵察部隊を先行させ、…村の内部状況、…そして、人間どもの正確な位置を、…特定する。…お前たちは、…ここで、後方待機し、…私の合図があるまで、…決して動くな。…決して、単独で行動するな。」
スケルトンたちは、一斉に、カチカチと、まるで骨を打ち鳴らすかのように、音を立てて敬礼した。「御意、隊長!」
エリートスケルトンは、選りすぐりの、俊敏で、隠密行動に長けたスケルトン数体を、偵察部隊として先行させ、自身は、残りの部隊と共に、ゆっくりと、しかし、着実に、…まるで死神の足音のように、村へと近づいていった。
森の木々の隙間から、夕日に照らされた村の輪郭が、まるで蜃気楼のように、ぼんやりと見え始める。煙突から立ち上る、細く、白い煙、家々の屋根、そして、遠くから聞こえてくる、人々の生活音、…洗濯をする音、子供たちの笑い声、家畜の鳴き声……。
それは、一見すると平和で、穏やかな、…まるで絵画のような村の風景だった。しかし、エリートスケルトンの赤い眼窩は、その平和な仮面の下に隠された、…未知の脅威、…そして、血腥い戦いの予感を、…確かに捉えようとしていた。
村は、もはや、目と鼻の先まで迫っていた。そして、スケルトンたちの漆黒の影は、まるで死神の鎌のように、静かに、しかし、確実に、…そして、冷酷に、運命の勇者たちへと、…忍び寄っていた――。
エリートスケルトンとの戦闘
村長から、古より伝わる預言の詳細を聞き、そして、村人たちからの温かい、まるで家族を迎えるかのような歓迎を受けた霊夢たち。その歓待は、疲弊した彼女たちの心と体に、深く染み渡るようだった。村人たちは、温かい食事と、ふかふかの寝床を用意し、休むように勧めてくれた。しかし、霊夢たちは、自分たちが持つ強大な力と、そして、それ故に迫り来るかもしれない未知の脅威を考えると、じっとしているわけにはいかなかった。…休んでいる場合ではないのだ。
夜の帳が、まるで巨大な黒い布のように、ゆっくりと、しかし確実に、村全体を覆い始めた。昼間の活気は完全に影を潜め、村は、深い静寂に包まれようとしている。家々の窓からは、暖炉の火だろうか、温かみのあるオレンジ色の光が、まるで星のように、ぽつりぽつりと漏れ出し、時折、家の中から、家族の優しい話し声や、子供たちの無邪気な笑い声が、微かに聞こえてくる。それは、まるで、平和な日常の象徴のようであり、霊夢たちの心を、僅かに癒した。
しかし、その平和な光景とは対照的に、霊夢、魔理沙、妖夢、そして、ルーク、ガロン、フィンは、村の入り口付近に建てられた、粗末な、しかし、重要な役割を担う見張り台の上に立っていた。彼らの表情は、緊張と警戒の色を濃く滲ませ、まるで、これから起こるであろう戦いに備えているかのようだった。
夜の森は、昼間のそれとは全く違う顔を見せる。昼間の穏やかな雰囲気は消え失せ、闇に紛れて、得体の知れないモンスターたちが蠢き出す、危険な時間帯となるのだ。
霊夢は、ネザライトの剣を、まるで自分の体の一部であるかのように、しっかりと手に持ち、村の外に広がる、暗闇に包まれた森を、じっと見つめていた。夜の闇は、深く、そして、底知れない。木々の影は、まるで生きているかのように、不気味に蠢き、まるで、闇の中に潜むモンスターの姿を、想像させるかのようだった。
「……本当に、…静かだな……。」
魔理沙は、大きな欠伸をしながら、まるで独り言のように呟いた。その言葉は、緊張を紛らわせるための、虚勢のようにも聞こえた。
「モンスターの一匹や二匹、…出てきてもおかしくない時間帯なのに、…拍子抜けだな。」
魔理沙は、そう言いながらも、ネザライトの斧を肩に担ぎ、周囲を警戒する視線は、決して緩めていなかった。
妖夢は、魔理沙の言葉に、静かに、しかし、力強く反論した。「油断は禁物です、魔理沙さん。…夜は、これからが本番です。…モンスターたちは、闇に紛れて、我々の隙を窺っているかもしれません。」
妖夢の言葉は、冷静沈着でありながらも、強い警戒心を孕んでいた。彼女は、常に最悪の事態を想定し、準備を怠らない、用心深い性格だった。周囲に気を配り、微かな物音や気配にも、注意深く耳を澄ませている。その姿は、まるで、闇夜に潜む狩人のようだった。
ルーク(白オオカミ)は、まるで風の匂いを嗅ぎ分けるかのように、鼻をひくつかせ、深く、そして静かに、夜の闇に漂う微かな気配を探っていた。「……森の奥…、深い闇の中から、何かが近づいてきている。…数は少ないが、…これは…、ただ事ではない気配だ。最大限の警戒が必要だ。」
ルークの言葉は、静かながらも、強い警告を含んでいた。長年、森で生きてきた彼の本能が、危険を察知しているのだ。
ガロン(黒オオカミ)は、まるで獲物を前にした獣のように、低い声で唸り、牙を剥き出しにした。「……間違いない。スケルトンの臭いだ。…それも、ただのスケルトンではない…、…エリートスケルトンの、…あの独特の、…死臭とも違う、…魔力を帯びた臭いが混じっている…。」
ガロンの言葉は、確信に満ちていた。彼は、かつて何度もスケルトンと戦ってきた経験があり、その臭いを嗅ぎ分けることができるのだ。
フィン(灰オオカミ)は、その言葉を聞き、まるで怯えた子犬のように、耳をピクピクと小刻みに動かし、不安そうな声で呟いた。「エリートスケルトン…? …やっぱり、来るんだ…、…私たちのことを、…探しに来たんだ…。」
フィンの言葉は、恐怖と、そして、避けられない戦いの予感を含んでいた。
霊夢は、手に持つネザライトの剣を、まるで自分の体の一部であるかのように、しっかりと構え直した。その瞳には、静かな、しかし、揺るぎない決意の光が宿っている。「やっぱり来たか…。…村を襲いに来たのか、…それとも、偵察か…。…どちらにしても、…ここで迎え撃つしかないわね。」
霊夢の言葉は、冷静沈着でありながらも、強い意志と覚悟を示していた。彼女は、この村を守るために、そして、自分たちの使命を果たすために、戦うことを決意していた。
魔理沙は、ネザライトの斧を、まるで遊び道具のように、軽く肩に担ぎ、ニヤリと、挑戦的な笑みを浮かべた。「へっ、…ちょうど退屈してたところだぜ。…上等じゃねぇか。…夜の運動会、…ってな! …派手に、暴れてやろうぜ!」
魔理沙の言葉は、軽口を叩いているようだが、その瞳の奥には、闘志の炎が、激しく燃え盛っていた。彼は、この戦いを、まるで遊びのように楽しもうとしているのだ。
妖夢は、背中に背負っていた二刀を、まるで流れる水のように、滑らかに抜き放った。そして、静かに、しかし、力強く、闘志を燃やしながら、呟いた。「…来ます…! …皆さん、…準備を…!」
妖夢の言葉は、短く、しかし、強い決意と、覚悟を示していた。彼女は、この戦いに、全力を尽くす覚悟を決めていた。
張り詰めた緊張感が、夜の見張り台を、まるで凍りついた空気のように、包み込んでいた。
見張り台の下、静寂を保っていたはずの森の闇が、まるで生き物のように蠢動を始めた。
カサ…、カサ…、カサ……。
微かに、しかし、確かに聞こえる、草を踏みしだく音。乾いた枯れ枝が、何者かの重みに耐えかねて折れる音。それらの音が、静寂を支配していた夜の闇を、まるで薄い氷を砕くように、ゆっくりと、しかし確実に切り裂いて近づいてくる。
音は、一つではない。複数だ。まるで、闇の中に潜む何かが、徐々にその数を増していくかのように。そして、その音には、生命の温かみ、…生きているものの気配が、微塵も感じられない。それは、まるで、死者が奏でる葬送曲のようだった。
「……来たわね。」
霊夢は、まるで自分に言い聞かせるように、低い声で呟いた。そして、手に持つネザライトの剣を、まるで儀式を行うかのように、ゆっくりと、静かに、そして、確実に月の光に翳した。
月の光を浴びた漆黒の刃は、まるで闇そのものを凝縮したかのように、鈍く、そして、重々しく光を放つ。それは、美しさよりも、むしろ、静かな、しかし、圧倒的な威圧感を放っていた。
闇の中から、まるで地獄の灯火のように、赤い光が、点滅するように現れた。それは、一つ、二つ……、まるで意思を持つかのように、ゆっくりと、しかし確実に、その数を増やしていく。赤い光は、まるで獲物を狙う獣の目のように、不気味に揺らめきながら、そして、まるで死神の足音のように、静かに、しかし確実に、近づいてくる。
「エリートスケルトン……。やはり、偵察などではない…、…完全に、我々を…、…村を、襲撃するつもりで来たようだな。」
ガロンは、まるで獲物を前にした獣のように、低い唸り声を上げた。その声には、怒りと、警戒心、そして、…微かな興奮が混じっていた。彼は、鋭い牙を剥き出しにし、全身の筋肉を硬直させ、いつでも戦闘態勢に入れるように、身構えている。
闇が、まるで意思を持つかのように、ゆっくりと晴れていく。そして、その中から、ついに、スケルトンたちの姿が現れた。
先頭に立っていたのは、黒曜石で作られた、禍々しい兜を深く被ったエリートスケルトンだった。他のスケルトンたちよりも、一回り、いや、二回り近く大きく、全身を、まるで闇そのものを纏ったかのような、漆黒の鎧で覆っている。その姿は、まるで、死神の騎士のようだった。
その眼窩に灯る赤い光は、他のスケルトンたちのものよりも、明らかに強く、そして、鋭く、まるで、その奥底に、冷酷な知性と、狡猾さ、そして、…絶対的な自信を宿しているかのようだった。
エリートスケルトンは、見張り台の上の霊夢たちを捉えると、カチカチと乾いた音を立てながら、弓を構えた。その弓には、毒々しい紫色のオーラが纏わりついている。
「……人間どもよ。」エリートスケルトンは、嗄れた声で言った。「貴様らが、この地に現れた異世界の勇者か。」
霊夢は剣を構えたまま、静かに答えた。「それがどうしたの? 私たちが勇者だろうがそうでなかろうが、あなたたちには関係ないでしょう?」
エリートスケルトンは、嘲笑するように言った。「フン、強がりはよせ。貴様らの存在は、暗黒竜エンダードラゴン様の御計画を阻害する。故に、ここで排除する。」
「御計画…?」魔理沙は斧を構えながら、鼻で笑った。「くだらない。あんたらのエンダードラゴンとやらの計画なんて、知ったことじゃないね。私たちは私たちのやりたいようにやるだけだ。」
「ならば、死ね!」
エリートスケルトンの号令と共に、背後のスケルトンたちが一斉に弓を構えた。無数の矢が、夜空を切り裂き、霊夢たちに向かって殺到する。
「来るぞ!」妖夢は叫び、二刀を構えた。
霊夢は剣を前に突き出し、叫んだ。「全員、散開! 迎え撃つわよ!」
「弓花爛漫!」
エリートスケルトンは低く唸りながら、凛々しく弓を引き、その瞬間、戦場は一変した。彼の弓から放たれた矢は、まるで無数の花弁が一斉に咲き乱れるかのように、次々と増殖し、夜空を覆い尽くす弾幕となった。赤く輝く毒のオーラをまとった矢は、風に乗って軽やかに舞いながらも、容赦なく敵陣へと向かっていく。
「うわっ、すごい数!」魔理沙は驚きながら、ネザライトの斧を振り回し、迫りくる矢を弾き飛ばす。「まるで弾幕ごっこじゃないか!」
妖夢は二刀を高速で回転させ、桜の花弁のような剣閃を作り出し、矢の雨を斬り払う。「桜花閃影!」
妖夢が静かに、しかし決然たる声で技名を叫ぶと、彼女の両手に握られた二刀が、一瞬にして桜色の閃光となって舞い上がった。その光は、まるで桜の花びらが風に舞うように、柔らかくも鋭い軌跡を描きながら、迫りくる矢の雨を切り裂いていく。妖夢の剣が振るわれるたびに、周囲に一瞬の静寂と共に、小さな保護空間が生み出され、その中は彼女の意志と技の力で守られているかのようだった。
しかし、戦場に降り注ぐ矢はあまりにも多く、その数はまるで夜空を覆い尽くす群星のように絶え間なく、妖夢の防御の限界を突きつける。桜色の閃光は、その一部の矢を見事に払いのけるが、どうしても全てを防ぎ切るには至らなかった。矢が、妖夢の作り出した小さな空間の隙間から、鋭い音を立てて外へと逸れていく。風に乗って、散乱する矢は、時に妖夢の装備をかすめ、時に地面に鋭い音を立てながら散っていく。
「チッ、きりがないわね!」霊夢は剣を構え、体中に霊力を漲らせた。「夢想天生!」
霊夢の身体は、一瞬にして眩い光に包まれた。まるで光の海に溶け込むかのように、彼女の周囲の空気が柔らかく、そして緩やかに流れ始める。普段なら一瞬で過ぎ去るはずの時間が、今、彼女の意識の中ではまるで映画のスローモーションのように、詳細な動きの一つ一つがはっきりと映し出される。
迫りくる矢の軌道が、空中でゆっくりと舞いながら、霊夢の目の前に浮かび上がる。矢はその冷たい光とともに、彼女に向かって一直線に進み、風の囁きさえも、その音に吸い込まれるように静寂に変わっていく。霊夢は、最小限の動きでその攻撃を読み取り、必要な瞬間だけに体をかしげたり、剣を一振りで矢を弾き飛ばしたりする。
「ルーク、ガロン、フィン! 援護を!」霊夢はオオカミたちに指示を飛ばした。
ルーク、ガロン、フィンは、霊夢からの指示に従い、戦場の混沌の中から一斉に三方向へと突撃を開始した。
白い毛並みが輝くルークは、まるで風のように素早く走り抜け、敵のスケルトンたちの足元に忍び寄った。彼はその俊敏な身のこなしで、獲物にとどめを刺すかのように鋭い牙を突き立て、スケルトンの足を噛み切ると、瞬時にその動きを封じ込めた。ルークの動きは、影が滑るように軽やかで、彼の冷静な眼差しは、まるで戦場を読み解くかのようだった。
一方、黒い毛並みを誇るガロンは、その圧倒的な巨体を活かし、敵の前線に容赦なく突進した。ガロンは、無骨な体躯でスケルトンたちを次々と薙ぎ倒し、その激しい一撃はまるで大地を揺るがすかのように、敵に衝撃を与えた。彼の重厚な攻撃は、敵に立ちはだかるものすべてを押し流すかのようで、戦場における一陣の荒波となった。
そして、灰色のフィンは、戦況を撹乱するために、巧妙に敵の周囲を駆け巡った。フィンはその俊敏さと機敏な動きで、敵の不意を突くタイミングを計り、混乱と恐怖を撒き散らす。彼は、スケルトンたちの注意を自らに引き寄せることで、ルークやガロンが隙を突いて決定的な一撃を与えるための好機を作り出していた。
オオカミたちの援護を受け、霊夢はエリートスケルトンへと一直線に向かう。
エリートスケルトンは、霊夢が弾幕を突破して迫ってくるのを見て、僅かに驚愕の色を浮かべた。しかし、すぐに冷静さを取り戻し、新たな技を繰り出す。
「疾風一閃・乱弓撃!」
エリートスケルトンは低く呟くように技名を放つと、地面を強く蹴り、一瞬で空中へと跳躍した。その動きはまるで風そのもの――鋭く、しなやかで、音すらも置き去りにするかのような速度だった。漆黒の鎧をまとった彼の姿は、闇夜に溶け込み、次の瞬間、漆黒の弓が不気味な光を帯びながら、静かに構えられる。
「喰らえ……!」
エリートスケルトンの赤い双眸が一閃し、その指が弦を引き絞る。その瞬間――通常の弓とは比べものにならない、圧倒的な魔力の奔流が弓の中央に収束し、一度に無数の矢が放たれた。
放たれた矢は、ただの矢ではなかった。ショットガンのごとく拡散される矢の群れは、各々が異なる力を宿していた。爆発の魔力を込めた矢は、着弾と同時に地面を大きくえぐり、炎の柱を立ち上らせる。灼熱の炎を纏った矢は、空気を焼き切りながら飛翔し、軌跡の先に燃え広がる道を作る。氷の魔力を帯びた矢は、触れたものすべてを瞬時に凍結させ、大地すらも白い霜で覆い尽くしていく。
「危ない!」妖夢は叫び、霊夢の身を案じた。
しかし、霊夢は微動だにしない。夢想天生の力で、迫りくる矢の軌道を完全に把握している。彼女は、矢と矢の間を縫うように、最小限の動きで回避していく。
「甘いわ!」霊夢はエリートスケルトンの射撃を全て回避し、一気に距離を詰めた。ネザライトの剣を振りかぶり、渾身の一撃を放つ!
ザシュッ!!!
漆黒の刃が、エリートスケルトンの鎧を切り裂き、骨まで断ち切る。ネザライトの剣の圧倒的な破壊力が、エリートスケルトンを一撃で沈黙させた。
「隊長!」スケルトンたちは悲鳴を上げた。リーダーが一瞬で倒されたことに、動揺が広がった。
「隙あり!」魔理沙は好機を逃さなかった。エリートスケルトンに気を取られているスケルトンたちに向かって、ネザライトの斧を振り回す。
「スパークカッター!」魔理沙は叫び、ネザライトの斧を振りかざした。斧の刃先から放たれた魔力のエネルギーが、空気を切り裂きながらスケルトンたちに向かって飛んでいく。その瞬間、鮮やかな光の刃が放たれ、スケルトンたちを一瞬で薙ぎ払った。スケルトンたちは、その刃の威力に驚き、吹き飛ばされながら次々と地面に倒れ込んだ。スパークカッターは、広範囲の敵を一掃する強力な技であり、その光景はまるで魔法の嵐が巻き起こったかのようだった。
斧から放たれた魔力の刃は、まるで生き物のように自由自在に動きながら、敵を見つけては次々と薙ぎ倒していく。スケルトンたちは反撃する間もなく、その魔力の刃に捕らえられ、まとめて吹き飛ばされていく。スパークカッターの威力は絶大であり、その場にいたすべての敵を一瞬で無力化するその技の破壊力は圧倒的だった。
妖夢もまた、二刀を構え、スケルトンたちの群れに突進していく。「二刀流剣術・桜花閃影!」妖夢が叫び、二刀を振るった。その瞬間、彼女の剣から放たれた斬撃が、まるで桜の花びらが風に舞うように優雅に、しかし確実にスケルトンたちを切り刻んでいく。彼女の剣技は、速度と精度を極限まで追求しており、一振りごとにスケルトンたちの骨を粉々に砕き、次々と地面に倒れ込んでいく。
桜花閃影の技は、美しさと恐ろしさを兼ね備えたものであり、妖夢の動きはまるで舞踏のように優雅でありながら、凶器の如く鋭い。斬撃の刃先は風を切り裂き、敵の防御を無効化している。彼女の剣技は、まるで生き物のように自在に動き、スケルトンたちの隙を見逃さずに的確に攻撃を加えていく。
スケルトンたちは妖夢の驚異的な速さと正確さに対処する間もなく、その場に次々と倒れ込んでいく。桜の花びらが一斉に散りゆくかのようなその光景に、他の仲間たちは息を飲む。妖夢の剣技は、まさに舞踏と呼ぶにふさわしいものであり、彼女の姿はその場にいる者たちに深い印象を残していた。
「グオオオオオ!」ガロンは雄叫びを上げ、スケルトンたちに体当たりをかます。その巨体に弾き飛ばされたスケルトンたちは、バラバラに砕け散る。
ルークとフィンも、巧みな連携でスケルトンたちを翻弄し、一体ずつ確実に仕留めていく。
霊夢は、倒れたエリートスケルトンを一瞥し、残りのスケルトンたちに向き直った。「まだいるわね。まとめて片付けるわよ!」
スケルトンたちは、リーダーを失い、士気が大きく低下していた。勇者たちの圧倒的な力に、恐怖を感じ始めたのだろう。後退しようとするスケルトンも現れ始めた。
しかし、その時、倒れたはずのエリートスケルトンが、ゆっくりと立ち上がった。その動作はまるで無機質な人形が命を吹き込まれたかのように、ぎこちなくも力強かった。乾いた骨が擦れ合う音が夜の静寂を破り、その異様な光景に、霊夢たちは戦慄を覚えた。
「まだ…終わらんぞ…」エリートスケルトンの眼窩の赤い光が、まるで炎のように輝きを増す。その光は、恐怖と威圧感を増幅させ、闇の中で一際目立っていた。スケルトンの体からは黒いオーラが滲み出し、その異様なエネルギーは空気を歪ませ、周囲の温度さえも下げるように感じられた。
その姿は、まるで地獄の底から這い上がってきた悪霊のごとく、圧倒的な存在感を放っていた。エリートスケルトンの目の赤い光は、獲物を狙う猛禽類の如く鋭く、彼の意志が未だ強固であることを示していた。
「まさか…まだ動けるの!?」魔理沙は驚愕した。ネザライトの剣の一撃を受けたはずなのに、エリートスケルトンはまだ生きていた。
エリートスケルトンの頭蓋骨が、不気味な光を放ち始めた。目の奥から赤い光がますます強まり、その異様な姿に、霊夢たちは一瞬足を止めた。「貴様ら人間に、我が奥義を見せてやる…」低く響く声が、夜の静寂を打ち破った。
「爆裂頭蓋骨連光線!」エリートスケルトンが詠唱すると、その頭蓋骨から無数の光線が一斉に放たれた。赤黒い光の筋が空を駆け、まるで無数の彗星が落ちてくるかのようだった。光線は広範囲に拡散し、その凄まじい速度と量は、まさに避けようのない弾幕となって霊夢たちを襲いかかる。
「な、なんだこれ!?」魔理沙は悲鳴を上げた。あまりの奇妙な光景に、言葉を失う。
妖夢は、光線の雨を二刀で弾きながら、必死に回避する。「避けきれません! 広範囲攻撃です!」
ルーク、ガロン、フィンも、光線の雨に晒され、悲鳴を上げながら退避する。
霊夢は、夢想天生の力で光線の軌道を見切ろうとしたが、あまりの光線の数に、完全に回避することは不可能だと悟った。
「…仕方ない、正面から突破するしかない!」霊夢は覚悟を決め、ネザライトの剣を構え直した。
「マスタースパーク!!」魔理沙の叫び声が森の静寂を破り、彼女はネザライトの斧を高く掲げた。その瞬間、斧の先端が眩いばかりの輝きを放ち、周囲の空気が震えた。彼女の体全体から魔力が溢れ出し、そのエネルギーが斧へと集中していく。まるで雷鳴が轟くかのように、斧の先端から巨大な魔力の奔流が放たれた。
斧から放たれた光の奔流は、目を焼くような閃光となって広がり、闇夜を一瞬にして昼間のように照らし出した。その威力は圧倒的で、まさに魔力の奔流が全てを焼き尽くすかの如く、周囲の木々や地面を薙ぎ払いながら進んでいく。光線の雨は正面から打ち破られ、エリートスケルトンたちに向かって一直線に進んだ。
ズドォォォォン!!!!
マスタースパークが、エリートスケルトンに直撃した瞬間、爆発的な魔力が炸裂し、まばゆいばかりの白光が一帯を包み込んだ。巨大なエネルギーが解放され、その威力はまさに圧巻。光は一瞬にして周囲の影を消し去り、闇夜を昼間のように輝かせた。
爆発の中心から放たれる衝撃波が、霊夢たちの体をも激しく揺さぶる。地面が震え、足元がぐらつき、まるで大地そのものが悲鳴を上げているかのようだった。爆風が霊夢たちを襲い、彼女たちは必死に踏ん張りながら、その強烈な力に耐えた。
爆煙が晴れると、そこには、完全に沈黙したエリートスケルトンの姿があった。今度こそ、完全に倒したようだ。
「はぁ…はぁ…やった…か…?」魔理沙は息を切らしながら、斧を杖のようにして地面に突いた。
妖夢もまた、額の汗を拭いながら、安堵の息を吐き出した。「…なんとか、倒せましたね。」
ルーク、ガロン、フィンも、怪我はないようだったが、疲労の色を隠せない。
霊夢は、ネザライトの剣を鞘に納め、周囲を見回した。「…まだ、油断はできないわ。敵はまだいるかもしれない。」
その時、背後から、不気味な唸り声が聞こえた。
「グ…グオオオオオ…」
霊夢たちが振り返ると、先ほど倒したはずのエリートスケルトンが、ゆっくりと立ち上がろうとしているのを目撃した。骨の擦れる音が静寂を破り、その不気味な姿は、まるで生き返ったかのように蠢いていた。しかし、その姿は先ほどとは明らかに異なり、何か異様な力に侵食されたように見えた。
スケルトンの体は黒いオーラに包まれ、そのオーラはまるで生き物のように波打ちながら揺れている。骨は以前よりも黒ずみ、硬質な光を放っている。眼窩の奥からは赤い光が狂気じみた輝きを放ち、まるで彼の魂が闇に完全に飲み込まれたかのようだ。彼の立ち姿は不安定でありながらも、威圧感が漂っていた。
「ま、まさか…まだ生きてるの!?」魔理沙は絶句した。
エリートスケルトンは、よろよろと立ち上がり、重苦しい声で言った。「…まだだ…まだ…終わらん…」
「|闇に堕ちし骸の妄想狂舞!」エリートスケルトンは、低く不気味な声で暗黒の呪文を唱え始めた。その瞬間、彼の周囲に黒い魔力が渦巻き始め、地面から無数の骨が蠢き出す。骨はまるで意思を持っているかのようにうねり、絡み合いながら巨大な骨の塊へと変貌していく。その光景はまさに悪夢のようであり、見る者に恐怖を与えた。
「な、なんなのあれは!?」妖夢は恐怖の色を隠せず、声を震わせた。巨大な骨の塊はまるで生きているかのように蠢動し、その威圧感は圧倒的だった。骨の塊からは冷たい風が吹き出し、周囲の空気が一気に冷え込んだ。
骨の塊から無数の骨の槍が飛び出し、それはまさに骨の雨のように広がった。槍は鋭く、全てを貫き突き刺す死の雨となって霊夢たちに襲いかかる。槍の一つ一つがまるで生き物のように動き、避けることが難しい。
「まずいわ! 防御!」霊夢は叫び、ネザライトの剣を盾のように構えた。
しかし、骨の雨はあまりにも激しく、防ぎきれない。骨の槍は、霊夢たちの体を容赦なく突き刺していく。
「ぐっ…!」霊夢は痛みに顔を歪めた。ネザライト装備は強力だが、無敵ではない。骨の槍は、鎧を貫通し、確実にダメージを与えてくる。
魔理沙もまた、斧で骨の槍を弾きながら、苦悶の表情を浮かべる。「くそっ、まるで無限に湧き出てくるみたいじゃないか!」
妖夢は、二刀を高速で回転させ、骨の槍を斬り払うが、その勢いは衰えない。「このままでは…押し切られます!」
ルーク、ガロン、フィンも、骨の雨に晒され、悲鳴を上げながら退避する。
絶体絶命の状況。霊夢たちは、最後の力を振り絞り、反撃に出るしかない。
「…やるしかないわね!」霊夢は覚悟を決め、剣を天高く掲げた。「これが、最後の力よ!」
霊夢の体から、眩い光が溢れ出す。それは、まるで太陽そのもののような、圧倒的な光だった。
「夢想…天生…最終奥義…!」霊夢は、ありったけの力を込めて叫んだ。その声は夜の静寂を切り裂き、彼女の決意と覚悟がその声に込められていた。
「夢想天生・万象一閃!!」霊夢の叫びと共に、剣から極限まで凝縮された光の奔流が放たれた。その光はまるで太陽の光が一点に集まったかのように輝き、周囲の暗闇を一瞬にして消し去った。剣先から放たれる光の刃は、まさに一閃の如く鋭く、全てを切り裂き、打ち砕く力を持っていた。
光の刃は、骨の雨を切り裂きながら突き進んだ。骨の槍や塊はその光に触れるや否や粉々に砕け散り、まるで塵となって消えていく。光の刃は、そのまま巨大な骨の塊に向かって突き進み、壮絶な光景が広がった。骨の塊はその光に飲み込まれ、砕け散る音が響き渡った。
光の奔流は止まることなく、エリートスケルトンへと一直線に向かう。その光がエリートスケルトンの体を貫いた瞬間、全てが終わった。
エリートスケルトンの体からは黒いオーラが消え失せ、まるでその存在そのものが消し去られたかのようだった。骨の塊もまた、光の中で塵となり、闇の力は完全に消滅した。霊夢の一閃によって、闇の力が完全に浄化されたのだ。
光が消え去ると、そこには、静かに崩れ落ちるエリートスケルトンの残骸だけが残っていた。
霊夢は、剣を杖のようにして地面に突き、荒い息をついた。「…終わった…本当に…終わったのね…?」
激しい戦闘の余韻が、村の静寂の中にじわじわと広がっていく。夜の闇は、再び静けさを取り戻し、まるで先ほどの激しい戦いが夢であったかのような錯覚を覚えさせた。夜風が木々の間を通り抜け、かすかな葉擦れの音が聞こえる中、村全体が静寂に包まれていた。
霊夢たちは、戦いの後の静けさに身を委ねながら、重い息を整えていた。心臓の鼓動が未だに速く、アドレナリンが抜けきらない。剣を握る手には、戦闘の余韻が残っている。
「……やっと終わったか。」魔理沙が斧を肩に担ぎながら、深い溜息をついた。「まったく、こんな激戦になるとは思わなかったぜ。」
妖夢もまた、疲れた表情を浮かべながら二刀を納めた。「夜の闇が、こんなにも静かだなんて…。でも、これで村は少しは安全になったはずです。」
ルーク(白オオカミ)は耳をピンと立てながら、周囲を見回した。「戦いの跡が残っているが、これ以上の脅威は今のところ感じられない。しばらくは静かだろう。」
ガロン(黒オオカミ)は深い唸り声を上げながらも、安心したように言った。「今夜はもう休めるな。村の者たちも、ようやく安眠できるだろう。」
フィン(灰オオカミ)は尻尾を振りながら、霊夢たちに寄り添った。「みんな、よく頑張ったね! 村を守ることができて、本当に良かったよ!」
霊夢は剣をゆっくりと納め、仲間たちに感謝の意を込めて微笑んだ。「これで一安心だね。でも、これからも警戒を怠らないようにしよう。まだまだ、戦いは続くんだから。」
夜の静寂の中で、彼らはしばしの休息を取ることにした。星々が静かに瞬く夜空の下、霊夢たちは新たな決意を胸に、次なる戦いに備えるのであった。
ミュータントModのミュータントスケルトンとアンダーテールのサンズをイメージしてみました。
必殺技はラテン語や英語と造語です。