茜空にV字フォーメーション!
春の彼岸を前にした今よりももっと日暮れの早かった、2月の始めの頃のことだ。
仕事帰り、いつもの国道をひた走り家路を急いでいた。
広い交差点で右折待ち。信号機の奥は見事な夕焼け空だ。信号を見つめてると、眼前に拡がる茜雲を背景にして今夜のねぐらへと突き進む、鳥たちの一群が視野に入ってきた。
あー鳥だあ、キレイに並んでるなあ…どこまで行くのかなあ…
んんん?
ゆったり空を横切っていく彼ら。その美しい隊列に、思わずハンドルを引き寄せフロントウィンドーに顔を寄せて目を凝らした。
黒く細長い鳥たちのシルエットは、まるで定規で線を引いたみたいにかっきりと見事な直角(V字形)を描いていた。一糸乱れず矢のように整然と、滑るように飛んでいく。
右折信号が点灯しアクセルを踏み、私の視界が右に振れると隊列も視界端の茜の中へと消えていった。
おお…!なんとうつくしい‥‥‥!( ゜Д゜)°˖✧
以前投稿動画で見た体育大学や自衛隊の「集団行動パフォーマンス」みたいな幾何学的美しさだなと、思わず目が釘付けになってしまった。
えええ、なにあの形、すっげえ・・・・・!!
なんであんなに綺麗な編隊になるの?まるでドローンの編隊飛行だよ‥どうやったらあんなふうに飛べるの???
えー、すごくない??
彼らは一体何を基準にして、何を考えて飛んでるんだ?
あんまりにも見事な編隊飛行に感動と沢山の「なぜ?」がぶわーっと湧き上がった。
帰宅後も彼らの姿が目に頭にこびりついて、なんとなくソワソワ落ち着かない。
急いで夕飯の支度を始めるが頭の中は「なぜ?」で埋め尽くされており、フライパンを握りながら航空力学的視点でちょっと考えてみた(何にもしらんけど 笑)。
前を飛ぶ鳥の羽ばたきが起こす風=気流に乗ることによって、自分のエネルギー消耗を最小限に抑えて効率よく飛ぶことができるから……とか、か?
支度が済むと食べるより前にPC、オン!
キーワード検索して、それらしい記事を開いてみる。ざっと斜めに読み進めると…。
ほほお~~ふむふむ、どうやら当たらずとも遠からず、らしいぞ?
こういうのを渡り鳥のV字フォーメーションと呼ぶんだそうだ。
一団で飛ぶことで外敵から身を守るのはムクドリとかの小さい鳥たちも一緒なんだけど、雁とか白鳥とか長い距離を移動する翼長ある渡り鳥達によく見られる飛行隊形なのだ、とあった。
これだと仲間を絶えず視界に入れることができ衝突を防ぎ、斜め前方の仲間から生じる風を活かしてエネルギーを節約できる。という事なんだそうだ。
へええええ~~~そうなのかあ、知らなかった!すごいな、渡り鳥!!
とはいえ、理屈は解ったけど、じゃあ先頭を飛ぶ鳥はめっちゃ重労働ってことじゃないか!
長い長い渡り鳥の旅路。リーダーは重責だろうなあ~、先頭を行くきみは本当の勇者だな!みたいに称える気持ちが思わず湧き上がる。
さらに読み進めると、答えらしきものが見つかった。
先頭は順次交代していくらしい!
ははあ、そうなんや!Σ(゜Д゜)
みんなで協力、支え合い労を分かち合って飛んでいくんだ~すばらしいな!
…なんて感動がまたしても一瞬過ったのだが、いやいや、先頭を飛ぶ鳥は消耗が激しいから必然的に疲れて後退する、それ故、次の者が否応なしに先頭になってしまうという事らしい‥‥‥。
そっか なるほどそりゃそうだよな~(^▽^;)
いやっ!まてよ! ( ゜д゜)
とはいえもしかして鳥たちの中にも色んな性格のやつがいて、隊列組んで整然と飛んでるように見えても実は「俺が先頭行っちゃる‼!!みんな俺に続け―!」みたいなめっちゃ熱っついやつとか、
「めんどくせえ…俺ずっと後ろで楽して飛んでやろ」みたいなお調子のいいヤツとか、
「しょうがないよねー旅は長いし!みんな仲良く協力していこ―!」みたいな ゆるポジなやつとか、
いろーんなキャラの奴らがいるんじゃないか?
きっと一羽一羽に個性があってチーム全体でトータルバランスとってんじゃないか?……みたいについつい人間視点で思っちゃったりして、鳥たちのキャラ顔を勝手に想い描いてちょっと可笑しくなる。
さらにググると、群れの鳥たちの消耗度ってやつは見事に一律同じ程度、均等なんだそうだ。
ポジショニングを交代しながらいかに安全に効率よく皆が目的地にたどり着くか。本能に従って羽ばたき続けた結果、見事な美しいバランスがそこに生じていたってことみたいだ。
すごいなあ。なんと美しい、無駄なく整った世界なんだろうなあ。誰が手を加えたわけじゃなくとも、自然に生まれ出でた理というか、整った世界。ほんとよく出来てるなあ。
人間たる私達が持つ物差しなんて、きっと本当に本当に僅かなもの。まだまだ全然測りきれないものってそこにもかしこに溢れるほどにいっぱいあるんだよなあ。
夕焼け空に見事な隊列を組み
悠然と飛び行く鳥たちの美しくも逞しい姿
何と言うか。ほんの一歩だけ踏み込むというか覗いてみただけだど、チラッと見えた自然の摂理その不可思議さや奥深さ?みたいなものに驚きと感動がいくつもあって。先の見えなさに不安の霧が立ち込める世界でも、まだ隠れてる微かな希望や光をちょっと感じた……そんな嬉しさがあった。
時短調理であわあわしながら作った夕ご飯は、テーブルの上ですっかり冷めてしまってたけど。そんなわけで、嬉しさのスパイスがちょっぴり載っかって。
まあまあ、おいしくいただけました。
渡り鳥、最近は鳥インフルエンザに絡み巷ではあまり歓迎されない風な話も漏れ聞こえてきます。彼らに何ら罪はないのになあ…人間の引き起こした環境変化に鳥たちは否も応もなく巻き込まれてしまってるだけで、といって現実問題としての困難をどうしたらいいものなのか…ニュースを耳にするとなんとも切ない、遣る瀬無い心持ちになってしまうことも。
専門知識は何ら持ち合わせていませんので、見て知って感動して、の率直な想いだけをつらつら書くのみになってしまいましたが。言葉足らず知識不足の点等多々、ご容赦賜りますようお願いいたします。
最後までお読み下さりありがとうございました。