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和都歴450年1月 日輪での初日の出

>愛しの僕の妻・紗矢へ


この地、日輪は偶然にも商業が盛んな土地で、僕も都の品々を売るのに持ってこいの場所みたいだ。ここ置田村の人は、どうやら隣村の黛村と紛争状態にあるらしい。とは言っても、安心して欲しい。しばらくは休戦状態で、ここ置田村の奥地、日輪まで敵兵は来ないみたいだ。ただ、東の地、秘八上も、商業が盛んで、より平和な土地らしい。ここ日輪である程度捌いたら、訪れてみようと思う。


先日、この日輪で初日の出を迎えたが、その時、偶然この地の副統轄を名乗る豊倉さんという人に会った。彼の商業の感性は鋭く、少し恐怖を感じた。刑務長も一緒で福本さんという人だ。この人も話さないせいか凄い威圧感を感じたよ。


ただ、お近づきの印ということで、料亭にも案内されてね。そこに居る芸者さんは紗矢の足元にも及ばないものの、都にはいない、自然な美しさを備えていたよ。店の名は…❝伊佐❞っていったかな。後半は酔っ払ってよく覚えていない。

豊倉さんにはまたお会いできると約束してくれた。良い商人さんと出会えたことを喜んでほしい。


紗矢、君にまた会えるのは、後何日先なのだろうか?

君の顔と言葉、温もりを今も忘れたことはない。


西岡商店・副店主

西岡 良二郎

宿屋・波 ー 449年


ーーーーー


愛しの良二郎さんへ


仮にも紛争状態の土地なら、直ぐにでも帰ってきて欲しいわ。

良二郎さんの身は一つなの。この子の父は彼方だけなの。それを忘れないで。

豊倉さんという豪商人が彼方の行商に大きく貢献したのは良いことだけど、信用できる人なのかしら?

会って間もない他所の人間に、そんなに親切にするのも嫌な気がするわ。


また、料亭に飲みに行って芸者さんと戯れるのも、今の私からしたら気持ち悪いわ。

良二郎さん、行商の為とはいえ、彼方の良い部分を汚していくことはありません。

彼方らしく商売できない土地なら、直ぐに帰還してください。


そういえば、この子が私のお腹を蹴るの。名前は二人で決めた、男なら、❝力❞、女なら❝蝶❞にしようと思います。早く、この子の顔を見に戻って来て下さい。


紗矢

次回2025/1/18(土) 18:00~「和都歴450年2月 紗矢からの手紙」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
紗矢の気持ちすごく分かります。そう簡単に人を信用するのは危険です。 本編に出てくる人物を考えながら読ませて貰ってます。
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