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和都歴450年9月 ずっと僕。傍に、ずっと。俺は祖柄樫山

>凄い時間が。かなりの。悠久とは。紗矢よ、許せ。

俺が見えるか。夢に映るか。ロボットという存在が。

俺には無い。もう、俺は無い。俺の1人。1人きりの。蓮麻呂は死んだ。

俺には妖が、極楽浄土が、全てだった。

それが無くなった。もうわらない。何もわからない。


哀れな兄上だ。泣き叫ぶがいい!力。すべて壊れる。

紗矢、君に会いに行く。今直ぐに、この瞬間に。

力は俺のモノだ。誰にも渡さない。

どうだい?見えるかい?

今来たと伝えてくれ。

いや、伝えるな。


紗矢、許せ。助けて。1人にしないで。手紙を送るよ。


極楽浄土だ。来てくれ。見えるだろう?


怖いよ。恐ろしいよ、紗矢。紗矢、君しか良次郎を助けられない。見つけて。

蓮麻呂は死んだ。俺を、僕を見つけ出してくれ。

祖柄樫山が言う。待っている。そこに。待っていた。そうだろう。


ーーーーー


最愛の夫・良次郎さんへ


この手紙が届く頃、彼方はもうこの世にいないと言っていいでしょう。

こんな目に合わされても、私は恨まないし、愛しています。

お義父様も、この縁談は無くしていただくことを了承してくれました。

1年待って、私はお義兄様の元へ嫁ごうと思います。

彼方がまだ私の知っている男性だった時、何か困ればお義兄様を頼るよう、助言を下さった。

彼はとても良識のある男性。力も大好きみたい。


彼方はあらゆる苦しみと束縛で悩んでいたのでしょう。

私はそれに気がつけなかった。

その苦しみから解放されると思い、彼方の意思を尊重します。

彼方の良い部分は力に引き継がれ、きっと優しい男性に成長すると思います。

それでも、彼方を諦めなければならない気持ちが、今も目を潤ませます。


さようなら。私たちはお互い離れて過ごすけど、彼方に永遠の安らぎが訪れることを、切に願います。


愛をこめて

紗矢

「祖柄樫山からの手紙」は、この配信にて完結となります。


読了いただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
何とも言えない結末ですね。それでも紗矢は最後まで良二郎を気にかけているのが凄いです。
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