9 ハル観察日記
お墓を作って、ワーウルフの人を埋葬した。
大変だったが1番大変だったのは、黒柴を洗ったことだ。
いくら洗っても真っ黒なまま。6回ほど洗ってから不自然だと思った。
よく見ると、黒柴の子犬で驚いた。でも、なぜか目が紅だった。
不思議だ。
◇◇◇
師匠が戻ってこない。何かあったのだろうか。師匠が強いのはよく知っているが、心配だ。
そんなことより、今日もハルは可愛い。
最近のハルは、俺の周りをグルグル回ってから鳴き、腹に突っ込んでくる。
あばら骨に当たって結構痛いけど、突っ込んだ後の顔がすっごく可愛い。
『ごめんね...痛かったよね...ごめんなさい。』
と言っているような顔をすることがある。
それが可愛いけど、ちょっと申し訳なくて。
でもその顔を楽しみにしているときがある。
だって可愛いんだもん。
◇◇◇
ハルが構って欲しいのか、俺の周りをうろうろしている。
それを見て俺はモフッたが、
『そうじゃない。そうじゃない。』
というような目をする。
なんだろう。何をしてほしいんだろう。
...もしかして、遊んでほしいのでは!?
でも何で遊んであげればいいんだ?
とりあえず、ボールを作った。桜色のだ。ハルにはぴったりだろう。というか桜色のボールで遊んでいるのを俺が見たかった。
制作時間に何時間もかけてしまった。
遊ぶのは、明日かな...。
◇◇◇
今日は、桜色のボールでハルと遊ぶんだ。
早速ハルの方へボールを投げる。
......無反応だった。
何時間もかけて作ったのに。
もしかして、遊び方がわかってない?
そう思って聞いてみた。そうしたら、
『ごめんね。せっかく何時間もかけて作ってくれたのに...本当にごめんなさい。』
というような目をして頷いた。
ものすごくしょんぼりしているのを見て、申し訳なく思った。
その後、遊び方を教えてやると毎日のように、遊ぼうと言ってきた。
遊んでやるとすっごく喜んでくれる。
作った甲斐があった。
◇◇◇
今日もハルはボールで遊ぼうと言ってくる。
可愛いけど、あきないの?
別にいいけどね。可愛いし。
◇◇◇
ハルが、1人でできるボール遊びにハマってしまった。
だから最近、ボール遊びをしようと言ってこない。
すごく寂しい......
◇◇◇
寂しさで、どんどん弱っていく俺を心配しているのかハルが、
「キューン...キューン...」
と鳴いている。まるで、
『だいじょうぶ?だいじょうぶ?』
と言っているようだ。
ちょっと元気になった。
◇◇◇
昨日から、ハルが俺から離れない。
可愛いけど、歩きにくいな。
◇◇◇
ハルがずっと、俺から離れなかったお陰ですごく元気になった。
でも、ハルは俺から離れない。心配しているのあろう。
可愛いし、嬉しい。
◇◇◇
ハルと会ってもう1ヶ月。
早いもんだなぁ。
1ヶ月前まで子犬だったのにもう成犬サイズだ。
成犬サイズも可愛いけど、子犬サイズが懐かしくなってくる。
まぁ、可愛いからいいか。