6 四年後の自分
あれから4年の月日が経った。
師匠が考えた修行は大変で辛かったものの、出来るようになっていくと楽しかった。
多分、俺の技術力とステータスは大分上がっている。
師匠が言うには、ワーウルフの里にいる聖獣か街の冒険者ギルドでしか、ステータスが調べられないらしい。
聖獣は会ってくれるかわからないし、ギルドでは初回だけ無料らしいが、次からの値段がとても高いらしい。
だから、ステータスを調べることはできる。
でも、ギルドに登録しないといけないらしい。
ギルドに登録するためには、この森からでないといけない。
だから、どっちにしろステータスは調べられないのだ。残念。
だが、成長はしていると思う。理由はいくつかあるが二つだけ挙げよう。
一つ目は、師匠と少し打ち合えるようになったからだ。最初の頃だったら筋肉も体力も全然なかったので一瞬で気絶し、叩き起こされていただろう。
二つ目は、知識や実技のテストで簡単に百点が取れるようになったからだ。師匠は月一でテストをさせる。そうして何が苦手なのか、何が得意なのかを再確認するのだ。最初の頃は、平均三十点ほどだった。それに気づいたとき、目から汗がでそうになった。
決して涙なんかではない。……はずだ。
◇ ◇ ◇
今日の修行に入る前の準備運動は、ひとまず剣の素振りだ。体力や筋肉作りも兼ねている。
師匠は、
「大振りで、百万回降ったら終わっていいぞい。なるべく素早くな。」
と言われた。大分きついがやるしかない。いつものように気合入れて頑張ろう。
◇ ◇ ◇
ブンッ、ブンッと十万回ほど大振りで降った頃だった。
「足音が聞こえる。」
まるで、何かから逃げているかのような感じの。
「どんどん近づいてくるな。」
師匠に早く知らせないと!!!
これぐらいの時間だと家(洞窟)で昼寝をしているだろう。
急いで家に入り、師匠を叩き起こす。
「師匠。師匠。」
殴っても起きない……。俺とは全然違うなぁ。
こういうときは。
「師匠、素振り終わりましたよ。」
嘘の報告をする。
すると、師匠は目をばっと開いた。
これを見るたび、本当は起きていたんじゃないかと疑いそうになる。
「随分早いではないのぉ。本当に終わったのか?」
師匠はなぜか報告で起き、
疑り深いので報告をすると、毎回終わったか聞いてくる。
いつもは、「ちゃんとやりました。」と報告するのだが今回は違う。
「勿論終わっていません。師匠を起こすために嘘をつきました。すみません。でも、今は緊急事態。とりあえず話を聞いてください。」
師匠の目を見て、答える。
そして、何者かが近づいてきていることを報告。
「なんじゃと!!とりあえず外に出るか。」
師匠は寝起きとはとても思えない動きで俺と外に出た。