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2 現代の自分

クラスに一人はたまにいるかと思う。何故かすごくモテる奴。

それが俺だった。普通ならば羨ましい、かわってほしい、と思うかもしれない。


俺としてはかわれるのならかわってほしい。でも、それはできたとしてもやってはいけないことだと俺は思う。だってそれはいじめの標的が変わるだけだから。


そう俺はいじめられていた。男子のみんなから。

ある日、いつも通り俺がモテているとき、ある男子が放課後学校の校舎裏に来いと言われた。


物語ではよくある話だが、その時の俺は、その物語のあるあるを知らなかった。


放課後になり、言われた通り校舎裏に行くと学年全員の男子が集まっていた。


「○○ちゃんと関わるなって言っただろ。」


そう言われた。

いつもは学校で「○○ちゃんと話すな」とか「関わるな」とか言って最後に「この話、○○ちゃんには言うなよ」と言ってくるのだ。


最初は、人の交友関係に口を出すのはどうかと思い、反論してみたが校舎裏に呼び出される回数が増えたので止めた。

だから話さないように、関わらないように気を使っていたのだが「どうして」「なんで?」と言われ結局女子はついてくる。

そしてまた校舎裏に呼び出される。それを繰り返しているのだ。


でも今回は違った。


「おりゃあ!!」


ゴンッ、と音がする。殴られたのだ。次の瞬間同じ学年の男子全員に殴られる。

これを、世間ではフルボッコという。


「俺はお前のことが気に入らなかったんだ!」

「いつもいつも女の子達とキャッキャッうふふしやがって!」

「お前さえいなければ!」

「邪魔なんだよ!」


たくさん殴ってから男子は全員いなくなった。


痛む体に鞭打ってすぐ家に帰り親に話した。

そしてそして親は先生に話をし、先生に男子達の親に連絡させた。男子達は親に怒られ、「もうしません」と言ったらしい。

事件はこれで終わったと思ったが、男子らがそれを守るわけもなく、


「昨日のことチクったんだろ。じゃあ仕返しだ。」


また殴る。さらに殴る。


「お前のせいで俺は母ちゃんに怒られた! お前のせいだぞ!」

「大人に頼ることしか出来ない軟弱者め!」

「お前がいつも邪魔をするせいで僕が考えた通りにいつもならない!」

「お前のせいでみんなが不幸になった!!」


こないだとは比べ物にならないほど俺をボコボコにし終わると、1人の男子がこう言った。


「またチクったらどうなるか、わかってるよなぁ。」


その後、俺は病院へ入院。坂から転げ落ちたと親に説明することにした。

退院した後、俺は親に何も言わず部屋に引きこもった。同年代の子供が怖くなったのだ。少し考えるだけで体が震える。

最初、親は「部屋から出なさい!」「学校に行きなさい!」と言ってきたが最終的に親は何も言わなくなった。

それが小学三年生のとき。


そのまま、俺は部屋から出たことはなかった。十一年たち成人した後もそのつもりでいた。

その七年後、


「いい加減自立しろ!」


と、静かだった親は言い放ち、着の身着のままだった俺を家から追い出した。

一文無しの俺は公園の水で餓えをしのぐ。

たまにお腹を壊しながら、数日が立ち、そろそろ公園を出ないと警察にお世話になりそうだったので、水を飲み、彷徨い始める。ちゃんと生きていける場所を探して。


また数日がたち、動けなくなってきた。あとどれぐらいで死ねるのだろうと考えながら歩き、そして倒れた。そろそろ死ぬのか、とそう思い目を閉じる。すると、


「……キューン………」


可愛らしくも、弱弱しい声が聞こえた。

気になって目を開けると、そこは森の中だった。そんなことを気にする元気はすでになく、さっき声が聞こえた方向を当てにして、声の主を探す。本能的に。


そう遠くなかったらしく、すぐに見つかった。

声の主は、生後三週程の黒柴の子犬でとても衰弱していた。

黒柴を見た瞬間。


「この子を助けないと。」


本気でそう思った。黒柴を抱き、さぁ動物病院へ行こう!とそう思ったが、


「あれ、ここ、どこだ?」


現在地がわからなかった。当たり前だ。森の中なのだから。

どうすればいいのか、オロオロしていると抱いている黒柴の鼓動が感じられなくなった。

それがわかった瞬間、黒柴が亡くなってしまったことがわかってしまう。


ただ悲しいと思うだけではない。怒りを感じた。

オロオロせず、素早く行動していれば助けられたかもしれないのだから。森の中だからほぼ不可能だけれども。

自分の無力さを嘆きながら俺は死を迎えへ、神と出会った。

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