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1 騒がしい奴(神)

目が覚めると、


「み……、み……、見ておったぞぉぉおお~~!!

こ、こんないいやつ、初めてなのじゃぁ~~~~!!!」


と、ザーザーと滝のように涙を流し、ダラダラと鼻水を流す、知らない爺さんが泣きついてきた。


何がどうなってこうなってるの?

あとこの爺さん。正直言って気持ち悪い。鼻水付いちゃう。

それにここ、どこよ? なんか真っ白?なんだけど。


「き…気色悪いとはなんじゃと~~!!

あと! ここは神界で! 魂には真っ白に見えるんじゃ!」


爺さんは地団駄を踏んだ。


泣いたり怒ったり騒がしい奴だな。


そして疑問に答えよう。あってすぐに泣きついてきたお年寄り、お爺さんだったらどう思う? それが答えだ。それにしても、なんなのこの爺さん。

てか、考えていることがわかるの?


「……そ、そうか。それは……、悪いことをした。次はお主の疑問に答えよう。神界にいる者といったら? 答えは神様じゃ。崇めてくれちゃってもいいぞい。」


いいぞい、じゃないよ。なんでこんな鼻水垂らした奴を? 威厳もへったくれもない。付いたらばっちいよ。そんな奴を崇めないといけないの??

得でもするの?


「と、得? 得かぁ……。えーっと。えーっと。…………………。そ、そんなことは置いといて。お主、ラノベ、好きじゃろ? 喜ぶといい! 異世界へ転生させてやろう。」


思い付かなかったんだな。そして話の持っていき方が酷いな。あと上から目線なのが気に入らない。でもラノベは好きだ。でもこのままありがとうございますとか言って異世界に行くのは絶対いやだな。

あれだ。プライドが許さないというやつだ


「え、えぇー。そ、そんなこと言わず行ってくれないか。頼むのじゃ。お願いなのじゃ」


そんなこと言われても。それにしてもなんで俺なんだよ。俺以外にも人いっぱいいるじゃん。説明してくれよ。


「どうしてもお主じゃないとダメなんじゃ。」


だから、説明してくれよ。そしたら行ってあげてももいいけど。


「し、仕方ないのぅ……。」


神様はちゃんと話してくれた。

ざっくりいうと神様は犬が大好きで昔、創っている最中の異世界の生物を全部犬にしようとしたらしいが、神様の元友達はそれを知らずに、サプライズだと言ってゴブリンやオークというような定番の魔物や、好きな猫系の種族を追加したのだという。

神様がそれに気づいたころにはもう犬が半分以上に減っていて自分の力ではどうしようもなくなっていた。

神界での規定に誰かが創っている最中の世界に手出し禁止というものがあり、元友達はそれを破ったことにより神界から追放された。

犬がどんどん減っていっており、このままいけば絶滅危惧種になるみたい。それを自分では解決できないからそれができそうなやつを異世界へ転生させようということになった。でも全然見つからず困っている時に俺を見つけ、こいつなら、ということらしい。


何でだよ。


俺じゃないといけない理由はよくわからなかった。

俺は(ワンコ)を救う力なんてない。断ろう。


「……救う力などない、とお主は言うがわしは、大切なのは力ではない。気持ちや言葉じゃ。受け売りじゃがな。お主がどうしても嫌ならこの話はなかったことになる。神とて強制は出来んからな。どうする?」


爺さんは真面目な顔をして言った。


さっき強制された気がするけど、冗談か何かだったのだろうか。


でもまぁ、少し神様のお願いを聞いてやりたくなった。


「そう言ってくれて良かった。…そうだな。お主に、『チート』っぽいのをやろうじゃないか。

レアスキルに初期位置を街の近くにして金貨十枚やって、後は見た目を幼くしよう。27歳のオッサンな見た目は嫌じゃろうし、まぁ、見た目が若ければ若いほど良いじゃろう。スキルは……、なんかたくさんあげておこう。……どうじゃ? わしの力ではそれぐらいしかできんのが申し訳ないが……。」


いいよ。そのぐらいで。充分充分。


「そうか。ではそろそろ転生させよう。バイバイなのじゃ~。……あ。自己紹介忘れてしもうた。」


その瞬間光に包まれた。


え、自己紹介? それ別によくない!?



(神様視点)


神は次の迷える魂を案内する。

次の魂は……。


「い、犬!!珍しいのう。」


『突然すみません!! お願いがあるんです!! 私を助けようとしてくれたあの人のところに生まれたいんです。とても優しそうな人なんですけど……。』


「ちょっと待ってください。その前に、木の上位神デンドロン様。こちらを。火の上位神プロコス様からです。」


「なに!? プロコス先輩からじゃと! 珍しいのぅー。なんじゃろなんじゃろ。」


神デンドロンは天使から【言炎(げんえん)】を渡される。


言炎(げんえん)】とは、火の上位神プロコスのみが扱える言葉を記録する特別な炎。取り込むことで記録した言葉を伝える。

火の上位神プロコスはこの炎をよく伝言として使う。

神や天使以外には上手く認識出来ないようにする認識阻害の術までかけてある。


「ふむ。貸し1つで、そこの魂の来世希望を叶えるようにと。天使アネラよ、先輩へ了解したと伝えてくれ。」


「はい。それでは。」


そう言って天使は転移した。


『あのぉ。』


「ん? ああ、放っておいてすまぬな。ある者のそばに居たいということでよかったかのぉ。」


『はい。そうです。』


「よいぞ。」


『ほんとですか!やったぁ。もっと欲を言うと気づいてもらいたいので前と同じ見た目がいいです。』


ふむ。別にそれでも良いがの……。


「別に良いが瞳を紅にしたい。」


『紅!!な、なぜですか?』


「だって、異世界じゃし……。元のも可愛いがのう。……異世界じゃし…。それに……、ちょっとな。」


『わ、わかりました。ではそれでお願いします。』


「ほっほっほっ。それではのう。バイバイなのじゃ~」


神様は、犬の魂をある里へ送った。



「その瞳はプロコス先輩への目印になる。先輩のお気に入りなんじゃしの。」

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