第一話 テンプレ転移
「お?」
僕はペットボトルを蓋を開け飲もうと口につけようとしたが、目を丸くした。
あたり一面が青々と茂る雑木林の中に一人僕だけが立っていた。
振り返り、見回しても木、木、時折草。もちろんコンビニなんてもは無い。
なんだか知らないうちにこの場所に移動?転移?していた。
右手には500mlのレモンティーのペットボトル。
左手には昼飯に食べようとしたコンビニの弁当の入った袋。
そしてなぜかコンビニの自動ドアをを出た瞬間にここ立っているだ。
内心ドキドキしながらちびちびとペットボトルを中身を口に含む。ビークール、落ち着くんだ俺。
心臓が破裂するくらい驚いているのだが現実離れしていて現実感を感じられてない。
まるで夢の中にいるようなふわふわとした気分だ。ドッキリ企画ってこんな感じなのかな?
ともあれ…ここはどこだ。
気温は過ごしやすいほどの温度で、体感で25度位。着ている上下のジャージでちょうど良い。
亜熱帯でもなく、湿気はない。どちらかというと少し乾いた感じ。秋の陽気で清々しい。
しかし、見た感じ実家とは程遠い環境だ。人工物が一片も無い。
母方の田舎より自然感溢れる立地。うーん、ザ・原生林って感じだ。
「まぁなんにせよ、さっさと転移して帰るか」
そう、僕は世界で恐らく一人だけのサイキッカー。いわゆる超能力者なのだ。
転移・念動力・過去視・未来視etc...
恐らくあらゆる知らている超能力を持っている。
ひょっとすると隠れている知らない他の能力者もいるかもしれないけれど未だ会ったことがない。
ともあれ、この場所にずっと居たいわけじゃないので自分の部屋に転移しようとした瞬間全身にがたたきつけられた衝撃で全身が地面にたたき落された。
「いたたた・・・」
久しぶりに食らった転移事故。行ったことの無い場所、または現在地が分からない場所にはいけない制約に触ったようだ。
全身打撲してしまったがまぁしょうがない。
帰れない以上、自力で帰るしかない。が、周りは木々ばかりで人工物ゼロの世界。
「これはサバイバルクラフトな予感…」
簡単にフラグを立ててしまったが、口からでてしまった。
これは超能力とは別であるジンクス。みんな使えるからな。
そんなメタなことを言っていないでとりあえず人のいるところへ出て、場所を確認しよう。
現在地の確認だ。
早速念動力を利用して真上に上がる。最初のころは制御に失敗してよく足の骨を折ってしまったことが今では懐かしい思い出だ。
そんなこんなことを考えながら、上空200mくらいで見回して絶句した。
「森と山しかねぇ…」
地平線を隠すように、山に囲まれた森。そして、天上を見ると二つの太陽。
間違いない。異世界転移だ。