第八話 〔幼馴染=嫁?〕 [SIDE ジェーン]
「買い物行くわよ。」
「えっ?宿に泊まるんじゃないの?」
キャロルの唐突な提案に疑問を投げつける俺。当然だろう今さっき宿を取ってきたんだから・・・
いや、この考えは浅はかだな。
「何を買いに行くの?」
シンシアちゃんが楽しそうに聞く。楽しみなんだろうな、きっと。
「武具や防具、薬とかよ。」
「何処にですか?」
「この街には大きな商店街があるの。
そこに行くのよ。」
キャロルも楽しそうだな。珍しいあのキャロルが。
でもたしかに楽しみだな、大きなところらしいし。
・・・・・移動中・・・・・
・・・・・移動終了・・・・・
おや・・・何か騒がしいぞ。
何故かキャロルたちの顔が引き攣ってるし。
「もう少し下げてっ!!」
「無理だぁ!!」
なんか盛り上がってる。しかも値切りで。
禿げた店主と・・・亜麻色のロングヘアーの女性。何故か葱をしょっている。
「後、100G!」
「いや50Gだ!!」
「ん・・・80G!!」
「むぅ・・・・分かった1020Gで売ろう。」
「やったぁ!!」
飛び上がってうれしさを表現している。いるんだ、こんな人。
「・・・・・」
「・・・・・」
目が合った・・・。
「もしかして・・・ジェーン!?」
「そ・・・そうだが・・・」
「やっぱジェーンだ!!」
走ってきた。
抱きつかれた。
頬擦りされた。
・・・誰?
「あの・・・何方?」
「がーん。
ジェーン。かわいい、かわいい幼馴染も忘れちゃったの?」
幼馴染だそうな・・・思い出してみよう。
無理か。記憶喪失だ。
「ゴメン無理。忘れた。」
「ががーん。
嘘だよね。冗談だよね。」
うわ・・・涙目になってる・・・。どうしよう、周りの目が痛い。
「俺、記憶喪失なんだよ。」
亜麻色の髪の乙女(笑)はまだ状況が分かっていないようだ。
「ホント・・・?
記憶喪失なの?」
ちょっと混乱よう。
「ちょっとその周りが見えなくなる癖直しなさい。」
キャロルが口を挟んだ。こいつとも知り合いなのか。
「あれ?キャロルちゃん?いたの?」
「あんたねぇ・・・ジェーンを溺愛するのもいいけど回りのことを見なさい。」
キャロルが叱る。何この構図。
「うぅ・・・すいません。」
亜麻色の髪の乙女(笑)は小さくなってる。
いや、比喩でなくてホントに。5センチぐらいね。人体って不思議だね、ハハッ。
「それと記憶喪失って本当よ。」
そうだ本当なんだよ。分かってくれればいいけど。
「うん。信じる。」
「じゃあ改めて・・・
私はアリサ。療法士やってます。あとジェーンとは幼馴染。
そしていいなずぅっ!!」
キャロルのとび蹴りを喰らった。モロに、わき腹に。
「嘘を教えない!!」
「すいません・・・」
また5センチ。
「で、本当は?」
一応聞いてみる。
「うぅ・・・最後の以外本当だよぉ・・・」
「オーケー、分かった。」
よくわかった。しかもこの子には困った癖があるらしい。
そう。俺を見ると周りが見えなくなるらしいな。
「じゃあこれからよろしくね。」
いつのまにか一緒に行く事になったらしい。
( д )゜ ゜ アーサーとシンシア空気・・・




