第十八話 〔対峙〕 [SIDE ジェーン]
「ふぅ、粗方終わったぞ。」
「こっちも終わったね。ジェーンさんたちは相変わらず凄いよ。」
敵がだいたい片付いたな。久しぶりに戦ったよ・・・
それにしても増援の四人、かなり強かった。あっという間に敵を斬っていったからな。比喩ではなく“あ”と発音するぐらいの長さで一人住人ぐらい斬っているから。
「で、ラヴィー。その四人は誰なんだ。」
「あ、アレックス。彼らがジェーンさんたち。」
「ほう。お兄さんは彼だな。」
「あああ、それ言っちゃ駄目だって・・・」
・・・どういうことだ?
彼、アレックスさんは俺のことを指差して“お兄さん”といった。じゃあ誰のだ?おそらくはラヴィーだろう。
ん、そういえば昔ラヴィーが
――「簡単に言うと人探し。兄を探してるんだ。」
と言ってたな・・・。そして俺とラヴィーは自他共に認めるそっくりさん・・・。まさか。
「ラヴィー、どういうことだ?」
「あわわわわわ、秘密にしようと思っていたんだけど。
アレックスの言うとおりジェーンさんはボクのお兄さんだ。騎士団に入ってからいろいろ調べたら君のフルネームがあったんだ。名前は“ジェーン=ラングレー”。
その名の通りラングレー家の息子だったんだ。で、ボクはその双子の妹。分かってくれたかな。」
ジェーン、混乱中!!
・・・なんて馬鹿やってる暇があるんだから当然理解はできてます。
「これで一個記憶が解明できたわけか。
・・・で、幼馴染のアリサさん。これって本当?」
「ん〜・・・なんとなく、昔一緒に遊んでた女の子がいた気がする・・・。」
裏付けが取れた。
初めて会ったときに違和感を覚えたのもこのせいか。双子って言うのは不思議なものなんだな。
「まあ、これで僕の用事はおしまいだよ。」
「そう。じゃあいいか一個質問。
AL特殊部隊って何なんだ?」
俺はそんなもの知らんぞ。聞いたことも無かった。
「あら、ジェーン。知らなかったの?」
「え、キャロルさん知ってるんですか?」
「ええ。私、元隊長よ。」
「え゛・・・」
意外なキャロルさんの軌跡。
「だからアレックスとかとは知り合いなのよ。」
そういってアレックスさんの方へと歩いていく。
本当に知り合いなんだ。
「そうだ、ジェーンって言ったか。
AL特殊部隊って言うのは隠密活動専門の部隊だ。だからそれなりの人数になってしまうんだな。暗殺部隊みたいなものだと思ってもらっていい。
そんな活動をしてるもんだから今回の王様のみたいな裏情報も手に入るんだな。」
そう言って彼は笑う。
「それじゃあ、行くか。」
そう彼は言った。
[SIDE ポテチスキー]
「王様、防衛部隊が破られました!」
「何だと!?」
あの防衛部隊が破られるはずが無い。AL特殊部隊も投入したんだ。
「AL特殊部隊は何をやっておったんじゃ!」
「それが・・・裏切りました。」
・・・・・
「何じゃと・・・裏切り・・・」
「はい、ここにたどり着くのも時間の問題かと。」
「・・・我が剣を出せ。我が戦う!」
「ですが・・・「我が戦うのじゃ!」・・・わかりました。今すぐ持ってきます。」
うむ、静波の剣王とよばれた我の力を見せ付けてやる。
[SIDE ジェーン]
ここが玉座の間・・・これまた大きな扉だな。
「それじゃあ、行くよ!!」
ラヴィーがその扉を開ける。
蛇足だがあの告白以来彼女は俺のことをお兄ちゃんと呼ぶようになった。そのせいでアリサが嫉妬して大変なことになるんだよな・・・。
ついさっきなんて二人で激戦が繰り広げられたし・・・
「ほう、やってきたな・・・。」
俺の思考はその声で遮られた。
そこでは恐らく王だと思われる男(記憶喪失だから分かんない)が剣を構えていた。
そこで王が口を開いた。
「・・・ちょっと待っておってくれ、ポテチの時間じゃ。」
盛大にずっこけた。