第十四話 〔既成事実〕 [SIDE ジェーン]
「はやく、行こう!」
「ちょっとアリサ、待って・・・」
アリサは早く行ってしまう。
「はいはーい。」
「ん、なんか機嫌がいいな。」
今日のアリサは何故か機嫌がいい。
「だって、ジェーンと二人っきりだもん♪」
「さいですか。」
そう。今、アリサと俺は二人っきりなのだ。
先日の手紙の指示通りアリサと俺は一緒に行動する運びとなった。
すると前方に何かが見えてきた。
「ん、アリサ。あれは町か?」
「そうだね、っとあれは教会の鐘かな?」
「そうかな、それにしてもかなり大きいな。」
普通の教会の鐘の倍以上あるだろう。
いや、その教会自体が大きかった。
「よし、決めた。
私とジェーンはここで結婚する!」
「・・・へ?」
アリサの突飛な言葉に間抜けな声が出てしまった。
「そうと決めたら行動あるのみだよ。
さあ行こう♪」
アリサが壊れてしまいました。どうすれば・・・
「ちょっと、アリサ。腕が痛い。」
「そんなことより早く行くよ。」
壊れた(?)アリサは俺の腕を引っ張っていく。
「早く行くよ!」
「ちょっと・・・」
しかしアリサは無情にも腕を引っ張って走って行く・・・
腕が痛い。
「わぁ〜、ジェーン大きいね。」
「あ、ああ。そうだな。」
いまだに腕が痛い・・・。
しかしこの教会は予想通りの大きな教会だった。大司教がいてもおかしくないような教会だ。
「よし、早く結婚式の予約をしにいかなきゃ。」
「ちょっと・・・」
アリサはまだ壊れていた。
「よし、ここが入り口かな。
・・・すいませーん。」
アリサは教会の扉を開けてしまった。
「ん、何かね?」
その先にいたのは初老の男性。恐らく神父だろう。
「あの、結婚したいんですが。」
「おお、そうでしたか。
いつぐらいがいいですかな?」
口を挟む暇もなく、と言うか、きっと今のアリサには何も聞こえないだろうと思いながら彼女たちの話は進んでいく。
なにやら行っているがもう口は挟めまい。
「そうだよね、ジェーン。」
「ん、あ、ああ。」
アリサが何か言ってきたので適当に返しておいた。
しかしそれがいけなかった。
「ほう、そちらが新郎さんでございますか。
では明日の朝から出よろしいですかな?」
え、俺が新郎。まさか・・・
「あ、あの「はい、彼の言った通りです。
でもドレスとかは・・・」
うわ、アリサに押さえつけられた。
「ええ、こちらで用意いたします。
宿は・・・この教会の二階をお使いください。ドレスの試着などもございますので。」
うわー、もう駄目だ。
「分かりました。
それと、部屋はどこですか?」
「一番東の角部屋でお願いします。
あの部屋は一番大きなベットがありますので、そこのほうがよろしいのでは?」
マジかよ・・・この神父、何をするんだ。
「あ、あの「ありがとうございます。
ほら、ジェーン行くよ♪」
ええー、また押さえつけられたよ。
「あの、すk・・・むぐっ」
口を押さえられたよ、アリサに。
「それでは、私達は部屋に行きます。
こんないきなりでしたがありがとうございました。」
「いえいえ、この時期は私共としましても時間がある時期ですので。
それではごゆっくり。」
「ありがとうございます。
ジェーン、行こ♪」
誘拐させるー、あぶだくしょんだよー。
と言うことで夜。今俺達は部屋にいる。
しかし、結婚(強制的に)予定の男女がひとつのベットに寝る・・・いや、気にしないでおこう。
しかし、
「ジェーン・・・」
アリサが熱を帯びた瞳でこっちを見てくるんだよ。
「ジェーン?」
今度は何か媚びるように上目遣いで・・・。
「じぇー、もういい。」
目を背ける、見たら負けな気がする。
「もういい、ジェーンが無視するなら私が襲う。」
「え、ちょ・・・」
聖職者は夜早く寝る。で、今、教会で起きているのは恐らく俺らだけ。
「さあ、行くよ!」
彼女は意志の強い瞳でこちらを見据えてそういった。
「え、ちょ・・・」
「反論は許さないよ、それっ!」
「駄目だって。」
「いや、それは駄目!」
「駄目。」
「する。」
「駄目。」
「する。」
「駄目。」
「する。」
「駄目。」
「する。」
「駄目。」
「する。」
「駄目。」
「する。」
「駄目。」
「する。」
「駄目。」
「する。」
「駄目。」
「駄目。」
「する・・・・・っ!」
「やっと許可してくれたね。
じゃあ、早く、早く。」
騙された。引っかかった。
「もう、いい。私からする。」
「え、あ、えぇー!!」」
・・・・・以下自主規制。
次の日の朝。
「新婦、アリサ。永遠の愛を誓いますか?」
「はい、誓います。」
「では新郎、ジェーン。同じく愛を誓いますか?」
「・・・はい。」
「汝は神の御前にて夫婦の誓いを立てました。
それでは祝福を・・・」
結婚してしまった・・・・・。
んー、こんなのプロットに無かったのに・・・