第十二話 〔恐怖の買い物【後編】〕 [SIDE ジェーン(リナ)]
最後のほう少しやる気がなくなった。orz
「貴方まさか・・・・・ラ――「キャロル。」」
キャロルが何か言ったようでしたが、有無を言わずにアリサが遮った。何故だ、遮った言葉を知っている気がするんだが。
「違うわ。彼女はね、リナよ。私の友達。」
アリサが軽くお・・・私の紹介をしてくれた。これで切り出しやすくなったな。
「始めまして。私はこの町に住んでいるリナ・レンフォールだ。」
驚いたことに私の声は女性の声になっていた。まあガス吸ったからなんだけど。
「ふぅん。よろしくね、リナ。」
そう言うとキャロルは私のそばにやってきてこう呟いた。
「似合ってるわよ、ジェーン。」
アリサにとってもこれはイレギュラーなことだったらしい。表情には出さないが動揺が窺える。
「そういえばジェーンさんはどこに行ったんですかぁ~。」
さて、どう答えたものか。
「ジェーンはねえ。知り合いが居たらしくてそっちに行っちゃったから私はリナと一緒に居るの。」
それを聞くとシンシアちゃんはふぅんと言う風に納得したのかそれともそんなに興味がないのかそう答えた。
でも、まあ肝心なところが気付かれていないからいいとする。
「さあさあ行きましょう。」
「そうね、アリサ。行きましょう。」
「店員さーん。この子の服一式買いまーす。」
「1800Gです。」
「はいは~い。」
「ありがとうございました。」
結局服を買ったのでこの格好で街へ行くみたいだ。何で男なのにこうなるんだ。
「ねぇねぇ、そこの姉ちゃんたち一緒に遊ばないか?」
「い、いえ結構です。」
「そんな事言わずにさぁ~。」
「友達が居ますので。」
「ちっ・・・ほか当たろうぜ。」
案外物分りのいい方ですね。
とその時。
「そうだわ。」
キャロル・・・何を考えているんですか・・・。
「この街の門のほうでさっきラヴィーを見かけたのよ。
会いに言ってみない?」
「アリサ、ラヴィーって誰だ?」
一応知らない設定何だよな。
「さあ、知らない。キャロル誰なの?」
「ん、ちょっとした知り合いよ。」
「でもキャロルさん、ラヴィーさんなんていましたか~?」
「居たわよシンシアちゃん。ね、アーサー。」
「ええ、確かに居ましたね。」
居たのは事実のようだ。迷惑極まりない。
「それじゃあ行きましょうか。」
ああ、キャロルが心底楽しそうな表情をしてる・・・。
「わ、何?流石にここでは休戦だよ。」
そりゃそうだ。ラヴィー迷惑かけてすまんとだけ心の中で謝っておくよ。
「違うわ。流石にここでは戦いたいとは思わないわ。
ちょっと貴方に会わせたい人が居てね。」
「へ、誰?ボクに会わせたい人って。」
「リナ来て。」
あーあ、会いたくないなぁ。
でもいくしかないんだよな。
「今から行くよ。」
ラヴィーの前に出る。
さて彼女の顔から表情が消えてきた。
「誰、ボク?」
「あ、似てる・・・。」
テキトーに演技をしてみたがこれでいいのだろうか。
「驚いた?そっくりでしょ。」
「驚いたって・・・これ魔法か何か?」
「天然よ。」
「あらま・・・」
本当にこういう光景はあまり気持ちの良いものじゃないな。何かドッペルゲンガーを見てるみたいで気味が悪い。
「それじゃあラヴィーにはあと特には用はないからこれでね。」
「は、はあ。さようなら。」
なんか今のだけでどっと疲れた気がするな、主に精神面で。
「で、キャロル。これからどこに行くんだ?」
「リナは何処行きたい?」
「特に行きたいところはないな。この町に私は住んでるんだし。」
「それもそうね。皆行きたい所ある?」
なんかキャロルが気前が良い気がするが。
「いえ、特にはありません。」
「私もありません~。」
「私も特にないなぁ。」
「あ、そろそろ夕方だから帰っていいか?」
そろそろ元に戻りたい。いい加減この口調も姿もきつい。
「ちょっと早くない?」
あとキャロルの優しさにも裏を感じる。
「弟たちの世話もあるからな。」
「あ~、リナの家って弟がいたからね。」
「それじゃあしょうがないわね。」
よし、面倒ごとが起こる前にそそくさと退散してしまおうか。
「それじゃあな。」
後はアリサを連れて着替えて宿に何食わぬ顔で帰ればいいか。
「じゃあ皆は先に宿に帰っててね。」
「はいはい。」
「それじゃあ、リナ行こうか。」
そういうとキャロルたちは宿に帰っていったので私はとっとと着替えることにした。
ということで着替え終わって宿。
アリサには先に帰っておいて貰った。
という事で恐怖の買い物は終わりましたっと。
だけど宿でキャロルに「ジェーンは何で記憶がないのに友達のところにいけたの?」と聞かれたときは焦った、適当にはぐらかしたけどね。
はぁ、散々な一日だった・・・もうやだこんな体験は。