幸せになりたい私に、親友が色々してくれるみたいです
初投稿です。文才がないので…というか、それ以前に文法めちゃくちゃだったらごめんね。
私の幸せってなんだろう。
幸福とは心が満ち足りていることだ。
しかし、どうやら幸せは人によって形が違うらしい。お金持ちになったら幸せな生活が送れるだとか、好きな人に愛されれば幸せだとかそんな感じ。
まあ、要は自分の欲が叶ったなら、満たされていたならそれは幸福なのだろう。
ならば、私の隣にいる彼女は何が幸せなのだろうか。
「何が幸せ?」
「え?急にどうしたの?」
ふと口から出た疑問に、叶は紙パックに刺さったストローから口を離して聞き返してきた。
ちなみに今は学校のお昼休憩。
私と叶はご飯を食べ終わっていて、残りの休憩時間を空き教室でゆっくりと過ごしていた。
あ、今日はミックスジュースなんだね。いつもは牛乳なのに。
って違う、今はそんな話ではない。
「叶にとっての幸せって何?」
「しあわせ?突拍子も無さ過ぎて追いつけないけど、ん~そうだね~。私の幸せは、誰かさんと一緒に居ることかなぁ」
それは恋愛の話かな?
というか、誰かさんって誰?彼氏かぁ?
茶髪ロングの美人で胸も大きいし、何より優しいもんね。そりゃモテモテだろうさ。
黒髪で地味、持たざる者の私とは真反対だもんね!
というかこれは、遠回しの彼氏できましたよアピールなわけか。叶がいつの間に彼氏作ったのか分かんないけど、そんなものは些細なことだ。
なぜか叶が遠くに行ったみたいで少し寂しい気がするけど、きっとこれは祝福してあげるべきだろう。
「おめでとう」
「え、何が?」
「「え?」」
叶も私も同時に戸惑いの声を上げる。
あれぇ?
彼氏できましたよ報告かと思ったのに、なんか違うっぽい。
あ、もしかしてまだ付き合ってない感じか。
なるほど~、さては片思いだな。青春って感じするね~。
ならば、ならばだよ。ここは激励の言葉を贈ろうじゃないか。
「ファイトだよ~。諦めないでアタックすればさ、相手もきっと気持ちに答えてくれるから」
空き教室に響き渡る、私の激励の言葉。
二人だけとは言えど、少し恥ずかしい。でも、私の言葉が友人の背中を押す事ができたなら。
そう思って言ったのだけど...
「だから、何の話をしてるの?」
と困惑気味に言われてしまった。
ん?いまいち話が嚙みあっていないようなぁ。
私、何か勘違いしてる?
「あの~話が見えてこないんだけど」
「それは私のセリフだよ!」
誰かさんは誰かは知らないけど、やっぱり私の勘違いだったらしい。
「そういう、幸の幸せって何さ」
幸というのは私のことだ。真野 幸が私の名前。
「私?」
私にとっての幸せ。
考えてみても、あんまり幸せだ~と感じたり、思うことが出てこない。
「え、過去に一回もないわけ?」
叶は黙った私を見て、信じられないとばかりに聞いてくる。
「一回もってわけじゃないけど、あんまり思い浮かばないかも」
「えぇ~」
そんな可哀想な物を見る目をしないでほしい、私いちゃうよ。
「じゃあさ、叶が感じさせてよ」
「え?」
私をそんな目で見るからには、さぞ幸せなのでしょうね?
だったら、私にもそれを分けて貰おうじゃないか。
「幸せってやつ」
「……わかった、任せて!」
それから私は叶に連れられて、いろんな場所に遊びに行きました。それは遊園地だったり、海だったりと様々。
そのエピソードは短編なので語れません。
またいつか語るよ、うん・・
――あれだけいろんな場所に行ったのに、今は最初と同じ教室に二人きり。
違うのはあの時と違って、明日から私たちはここには来ないということ。
「幸」
「ん?」
しばらくの沈黙。
私は椅子に座っていて、叶は前の机に私のほうを向きながら座っている。
思えば、叶はあの時よりも一段と大人っぽくなった気がする。ずっと一緒に居たんだもん、だんだんとした変化なんかわからないよ。
そんな私でも、彼女の変化を大きく感じるものがある。
「そんなに人の胸を見ても、幸の大きくならないよ」
「別にみてないし」
たかが2~3年で二段階もバストアップしやがって…こちとら初めて測った時から、ミリ単位の成長をかみ占めてきたというのに。
「・・・幸は高校生活、幸せだった?」
幸せ、それは私と叶の目指してきたもの。
でも、あの日から叶にしあわせか?なんて一度も聞かれたことはなかった。
「別に…」
「……そっか」
叶の声が少し震えた。おまけにうつむいている。
何か誤解してるみたい。泣く必要なんて何一つないのに、早とちりさんめ。
「高校生活は知らないけど。叶が隣に居た時間はさ、私幸せだったよ」
「え?」
きょとんとした顔をしながら叶は顔を上げる。
私は立ち上がり、叶の前に立つ。
彼女よりも背の低い私は、見上げることが多かった。けど、今は私のほうが高いね。
叶のうるんだ瞳に、私だけが写っている。
私は叶の右手を両手で包み込み、さらに前へと踏み出す。
「教室でいる時も、海で遊んだ時も、キャンプに行った時も、叶が隣に居てくれたから私は…わた、しは……っん!」
一瞬何が起こったのか、わからなかった。
頭が真っ白になって、心臓がその時止まった気がした。
けれど、小さなリップ音と唇に感じた確かな感触がそれを教えてくれた。
「…も、もう!叶のバカ!!どうして最後まで待てないのさ!!」
顔が熱い、絶対に真っ赤だ。恥ずかしいよう…。
というか、ツッコミどころ違うよね!これじゃあ最初からキスする予定だったみたいじゃん!
「えーと、ごめん。幸が可愛すぎて……我慢できなかったの。続きお願い」
「い、言わないよ」
これは叶が悪い、我慢しなかった叶が悪いもん。
「え~お願いだから~」
そんな、何度お願いしたところで変わんないよ。
私は恥ずかしさのあまり、その場から立ち去ろうとした。
「幸」
「何…ん゛ん!!」
振り返った瞬間に叶との距離がゼロになる。
またやられてしまった。
二回目なので意外と余裕のある頭。しかし、それによってダイレクトにキスの感覚が伝わってくる。やわらかな唇、煩いくらいに体に響く心音。それに、なんだかきもちよく……
って長い長い!!
「ん゛ん゛゛!!」
叶から離れようと試みるが、肩をがっしり捕まれ離れられない。
窒息しそうなんだけど!!
こうなったら…
「……ん!!んふふ、ぷはあ。あははは!くすぐったいよ幸!あはは」
貴様がこちょこちょに弱いのは知っている。
さぁ、報復開始だ!
・
・
・
「はぁ…はぁ…はぁ」
「はぁ…も、もう動けない…」
報復に報復を重ね。教室に転がる二人。
「叶はどうだったの?私と居て幸せだった?」
「私は最初に言ったでしょ」
え?いつ?
「本当に鈍感、やっぱり気が付いてなかったのね」
「ほえ?」
よく意味も分からず、啞然とする私の頬に叶は手のひらを添えてほほ笑む。
「私の幸せはずっとあなただった。それは今も変わらない、それにさちが幸せなら私はもっとしあわせだもの」
…ずっと、私のことを想ってくれていたんだね
そう思った瞬間、私の中である想いが溢れる。
そうだよ、私にとっての幸せは叶だもん。
私たちは寝転がったまま抱き合う。
そして今度は私から叶にキスをする。
私たちの関係は変わってしまったけれど、お互いが望む幸せを手に入れた。
その証拠に今の私は、心の底から幸福感に満ちている。
そして、二人は見つめ合い言葉を紡ぐ。
「「これから先も、私が「幸を・叶を」しあわせにするから」」
幸せは意外と近くにあるのかもね
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