表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

妄想小説【第二話】

作者: 藤原郡司

4月17日、金曜日、天気、くもり


第1章「決起会」

 大学が始まった。私は毎学期フル単で履修するタイプ。1年次は単位を1つも落とすことなく取得した。私の所属するサークルに「単位落としたー、」と気持ちと単位が落胆している子がいたが、私から言わせれば欠席せず、前を向いて講義を受ければ単位取得は自明の理だ。休み期間は遊ばないが大学のある期間は遊ぶ友だちにヤスコという子がいる。ヤスコはサークルの友だちで、上辺の友だちという訳ではないが、取り立てて遊びはしないということだ。今日はそんなヤスコと大学帰りに居酒屋で決起会が行われた。



第2章「ヤスコ」

 ヤスコは曲者だ。

・東京生まれ東京育ちの人は居丈高な態度だから嫌い。

・サブスクに3種類以上入っている人は将来浪費家。

・酒豪のことをうわばみと言う。

これでヤスコの曲者っぷりが伝わっただろうか。偏見がスゴい子である。そんなヤスコは恐ろしい子で、男性の前では曲者であることを綺麗に隠すのだ。清純を装いサークルでは高嶺の花だと言われている。ヤスコは1杯目にハイボールを注文し、5分で飲み終えた。今日のヤスコのトークは大荒れの予感。



第3章「ナショナリズム」

 ヤスコは春休み留学に行っていたので土産話に花を咲かせていた。きっとこの話は何度もしているのだろうと簡略化された軽快なトークで私を楽しませてくれた。ヤスコは絶賛かぶれ中だ。留学先の学校が多人種、多文化な学生が多かったらしくヤスコのナショナリズムに拍車が掛かっている。それは彼女のTwitterで垣間見ることができて、最新のツイートが「その人が、どこの出身だろうと、肌が何色であろうと、どんな宗教を信じていようと、勇気を出して力を合わせれば、より良い国を作ることができる。それが私の信じるナショナリズムです。」この国を変えようと出馬する日も近いだろう。



第4章「純日本人」

 ヤスコの異変はそれだけでなく、自分がマルチカルチュラルを装うようになった。そのことが悪いどうこうの前に、純日本人のヤスコにマルチカルチュラルを装う資格がない。二ヶ月程度留学に行っただけの人だ。「ハーフ」と言う人には「ダブルだから!」と訂正させている。差別用語だと被害者ぶる純日本人だ。わかりやすく言うと、「ニガー」と言われてブチギレる白人。みたいなものだ。さらに最近のヤスコの脅し文句は「FGM受けさせたろか!」である。最低だ。彼女の留学先はカナダであり、FGMの習慣がない国だから、留学で得た知識ではないだろう。留学で人間性を低下させるという珍しいケースだ。



第5章「オーラン」

 サークルのゴールデンウィークの活動についての話になった。私たちが所属する「オールラウンドサークル」通称「オーラン」は例年ゴールデンウィークは新入生との親睦を深める為、2泊3日で旅行に行く。旅行のタイムスケジュールは【車で夕方に目的地に到着→「運転お疲れ様」の掛け声で乾杯し夜分まで飲む→昼前に目覚める→「こんな日じゃないと昼から飲めねーから」と飲み始める→初日同様夜分まで飲む→昼前に目覚める→1年に1度の3日酔いで皆気分が悪い→大学まで車で帰る】毎年このタイムスケジュールだ。皆気づいている「旅行先どこでもよくね?」と。スマホが光り確認すると、オーランの長から「今年の旅行先を決めましょう!」というメッセージが届いた。これも毎年同じ光景。私たちはオーランのナショナリズムに走っているようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ