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第12話 回顧

 



 ……由紀に振られて一週間が経った。

 それはすなわち俺が高校に行かなくなってからの日数を表している。


 ずっと家の自室に引きこもるなんて初めてだ。特に何かをしたいわけでもない。でも家に居たい。外に出たくない。誰にも会いたくない。

 堂々巡りの考えが俺の頭に延々と流れる。こうして気がつけば七日が経った。


 いい加減立ち直らないといけない自覚はある。そろそろ訝しみ始めた母親からもお咎めがあるだろう。

 けれどもそれができれば苦労はしない。


 原因はずっと胸の中に(もや)がかかってるからだ。

 その靄は俺が今何に対して打ち拉がれているのかどうかを隠ぺいしている。俺はその真相を解かない限りは立ち直れないえも言われぬ確証があった。




 俺は由紀に振られたことを女々しく気に病んでいるのか。

 それとも……




 由紀は既に俺の中にある別人格の存在に気が付いていて、更に俺がそれにかまけ、今まで翔太たちの威を借り、由紀に自己アピールしていたことも知っていた。

 そしてそれが由紀には許し難いことだったのだ。




 悪いのは俺自身だ。俺がしたことはカンペを片手にテストを受けるのに等しき悪行だった。




 ……でも、それは悪いことなのか?




 裕賀が俺の名をかたり由紀を口説こうとしたこともあるが、全くの悪意はない。

 これが実際の友人とかだったら、嫌悪感を抱かれても仕方ないかもしれない。

 しかし俺と翔太たちは切っても切れない関係。何せ、同じ体に同居してるのだから。

 由紀が俺の多人格に気がついてくれてたなら、そこに配慮してくれても良かったのではないのか?

 何で別れに至るほど憤慨される必要があるんだ?

 由紀は翔太たちの本音を何も知らないくせに……




 ……こうしていつのまにか由紀を責めてしまっている自分がいる。

 少し前までたしかに由紀は俺の中で最愛の存在だった。

 でももしかしたら今は違うのかもしれない。


  俺はベッドの上で七日間の俺の匂いが染みついた毛布にくるまって目をつぶった。

 そして翔太たちに、頭の中で問いかける。


 俺(なあ、お前ら。俺たちが四心同体になったばかりの思い出って覚えてるか?

 俺は覚えてる。あの頃の俺はお前らのことが大嫌いだった)


 俺はそうして自らの意識を現実から夢の中に移した。

 あの頃の思い出が俺の中で鮮明に蘇り始めた。



 中学校三年の中盤、俺の体が俺だけのものでなくなったあの時のことを。




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