第二話【 交流会 】
暗い夜の時間が過ぎると太陽の光が少しずつ昇ってくる。 街の民はまだ夢の中で静まっている時間帯にこの国を治める城から午前6時の鐘が国全体に広がる。
ゴーン・・・ゴーン・・・ゴーン・・・
響き渡る鐘の音が朝の合図だと理解しているのか農家で買われている鶏たちが一斉に鳴きだす。 そこから少しずつ街の民は夢の中から目を覚まして新しい一日を迎えるのだ。
屋敷で召使として働いている人間も同じ時間帯に起きる。 鐘の音も、鶏の鳴き声でも目を覚まさないのは貴族と王族と呼ばれる権力がある人々のみだ。 私達召使はそんな貴族や王族様達が起きる前に沢山の下準備をしている。
まずは料理だ。 雇ってもらっている主君がいつ起きてもいいように栄養あるメニューを考え朝食のご準備をする。 だいたいの準備を終えると次は廊下・玄関・そしてトイレの掃除だ。 貴族や王族と呼ばれる人達はいつでも気品が問われる。 より美しく、より品が高く、より賢くなければならない。 そんな方々が暮らす屋敷はその住む人の外見と言えるだろう。 だから私達は主君が外から汚いと思われない為に外見である所から掃除を朝一番に終える。
屋敷の玄関には大きな古時計が置かれており、時刻が7時前に針が指されている。 私は他の仕事を一旦中断してこの屋敷の主君の部屋に向かった。
コンコンッと二回扉をノックしてしばらく返事がなければ勝手に開けて入る。
「奥様。 おはようございます。 そろそろ時間でございます。」
大きな部屋に大きなベッドで眠っていたる我が主君である婦人に呼びかける。
「おはようシンデレラさん。」
「おはようございます。」
主が起きた事を確認すれば事前に用意していた濡れた手ぬぐいと水が入った桶を用意する。 顔を洗って頂き口を濯いでもらった後は主が着替えている間にこの屋敷に住む他の方々を起こしに行く。
婦人が眠る隣の部屋はこの屋敷の長女シャルル様が眠られている。 婦人と同じように二回ドアをノックして返事がなければ入る。
「シャルル様。 おはようございます。 そろそろ時間でございます。」
「ん~・・・」
何度か声をかけても起き上がらないシャルル様を一先ず置いて私は一度その部屋を後にした。
さらに次の部屋には次女のペロ様が眠られている。 ここも同じようにノックをしてはいる。
「おっはー! シンちゃん!!」
しかし、返事がなく入ってみるとすでにドレスに着替え終わり身支度も終えたペロ様が満面の笑顔で飛び掛かって来た。 毎度このように飛び掛かって来てはしばらく離れないので本当はやめてほしいのだが、主君の愛娘にそんな事は出来ない。 シンデレラは無表情のまま「おはようございます。」とだけ返事をする。
「もぉ~暗いぞシンちゃん~! スマイルスマイル!!」
「・・・」
だが、手荒な真似ができないのはこの屋敷の主が目につく所だけだ。
私は部屋に入りドアを閉めるとペロ様の顔をアイアンクローを仕掛ける。
「お・は・よ・うございます・・ペロ?」
「わぁ~! いたたたたた!! ご、ゴメン!ちょっと調子にのった! だからその手放して!!」
召使は主君に逆らうのはご法度である。 どれだけ理不尽でも主君に反抗の意を見せれば何をされるか分からない。 だから私達召使は貴族や王族の奴隷同然な生活を強いられている。 だから私は普段の自分を表には出さない。 この目の前にいるアホ毛のお嬢様以外には。
「いい加減にしてくれませんかペロお嬢様~?? 抱き着くのはやめて頂きたいと毎度毎度言ってるのが分からないのかしら~?」
「いたたたたた!! だ、だからごめんって! お願いだから手を放して~~!!」
涙目で手をパタパタとさせるペロにシンデレラは小さく溜息を吐いて手を離した。
「今日は学校早く行く日じゃないの? 早く準備しなさい。」
「は~い。 じゃあシンちゃんも準備してね!」
「はいは・・・ん? なんで?」
ぐしゃぐしゃになった髪を整えているペロにシンデレラは動きを止めて質問した。
「だからシンちゃんも今日は学校行く準備してね! 今日は私がお茶会の日なの!」
「なっ!!」
シンデレラは空いた口を開けたまま動きを止めた。
お茶会とは貴族が通う学校で月に一度開かれる貴族同士の交流会みたいなものだ。
開催される理由は主に他人とのコミニケーションだといわれているが、その反面はまったく異なる思想で交流会が始められている。
それは自分がどれだけ権力があり品が高いのか見せる場でもあるのだ。
ペロはシンデレラの一つ年上の十七歳。 まだ子供ではあるがすでに貴族の中では自分たちの戦いが繰り広げられていた。
その交流会で一番大切なものは自分の身の振り方と側近の品だ。
どれだけ自分自身の品や質が高くても傍に置いている人間の品がなければそれは主の責任だ。 つまり、今回連れていかれるお茶会は主君だけでなく側近であるメイドたちの品格も試されるのだ。
しかし、シンデレラはここで大きな問題を抱えていた。
「ちょっと待ってペロ。 私が今からそこに行くと誰が家のことをするの?」
この大きな屋敷には主とその娘二人、そして雇われているシンデレラの四人だけなのだ。
実質、家の家事や料理はすべてシンデレラが一人でやっていた。
「そんなの明日にしたらいいじゃない!」
「そんな勝手な・・・。」
ペロは満面の笑みでシンデレラに近づき手を握ってきた。
「どうしても今日はシンデレラに来てほしいの・・・ダメ?」
上目遣いで声を高くして自分を可愛く見せようとするペロに私はデコピンした。
「イッタァァアアアアア!! 何するのシンちゃん!!」
「我儘もほどほどにお願い致しますペロお嬢様。 私はこの屋敷でただ1人雇われている召使。 貴女様お1人の為に動く事は出来かねます。」
私はいつもの召使としての態度に戻りスカートを軽く上げて顔を下げた。
「で、でも!」
「それほどまで私を連れていかれたいというのであれば、どうか奥様にご自分で許可を頂きたく存じます。」
「グッ!!」
ここまで来てようやく言い訳ができなくなったのかペロは落ち込んだ様子で頭を下げた。
「・・・わかった。 もういい。」
「申し訳ありません。 それではご朝食の準備はできておりますのでお越しください。 それでは。」
シンデレラはなるべくペロと目を合わせないように視線を自分の足元に向けながらその部屋を後にした。
◆◆◆
時刻はお昼が少し過ぎた頃。 私はこの屋敷の庭の手入れをしていた。
先日まで元気がないように見えていた花が少しだけ元気を取り戻しているように見える。 どうやら灰を土に混ぜてあげるという方法が上手くいっているようだ。
今日は別の花壇にも灰を混ぜて様子を見てみようと花を一つ一つ手入れしながら仕事をしていると二階の奥様の部屋から私を呼ぶ声が聞こえた。
「シンデレラさん! ちょっといいかしら?」
「はい!」
花壇の手入れを中断して私はすぐに奥様の部屋に向かおうとしたが、自分の衣類が灰と土だらけである事を思い出しすぐに着替えて奥様の部屋に向かった。
「失礼します。」
「ごめんなさいね急に呼び出して。」
奥様はデスクで仕事の書類を目に通していたのか眼鏡をかけた状態で出迎えてくれた。
「とんでもございません。 それでご用件は?」
「えぇ。 実はね。 先日ペロに貴女を半日学校に連れて行きたいから許可が欲しいと言ってきてね。」
「え?」
それは今日の朝ペロが急に私に話した内容のことであるのだが、婦人からの先日という言葉に少し驚き目を開いた。
「お、奥様。 先日というのはどれくらい前のお話でしょうか?」
「えぇと・・確か一週間前だったかしら?」
(一週間?)
その日は確かシンデレラが夫人に内緒で花壇の土に灰を混ぜているところを見られて召使をクビになりそうだったあの日と一致していた。
「それでペロに何故シンデレラさんを連れて行きたいのか理由を聞いたのだけれど教えてくれなかったの。 貴女何か聞いてない?」
夫人はこの一週間仕事の忙しさであまり屋敷にいる事がなかった。
そこからズルズルと理由を聞くことができずにいた所、今日の朝食の時にペロが元気がなかったことを気にしてシンデレラに尋ねたらしい。
「はい。 今日ペロお嬢様に私も学校に行く準備をするよう言われました。」
「あら? そうなの?」
「はい。 その際お嬢様は今日行われるお茶会がお嬢様主催のものであるらしくそれで私を連れて行きたいとおっしゃいました。」
なぜペロがお茶会のことを夫人に説明しなかったのはシンデレラにはわからない。 何か理由があるのだろうけど主人に嘘をつくことは召使としては出来ないことであった為、素直に今日起きたことを夫人に話した。
「お茶会? あの子そんなこと一言も言わなかったけど・・それにお茶会はもうだいぶ前に確か終えたばかりよ?」
「え?」
シンデレラはまたしても目を見開いて驚いた。
「私たちの召使は貴女1人だから家のこともあるし連れて行けないことはあの子たちも重々承知しています。 なので臨時で知り合いの屋敷から召使の子を雇ってお茶会を開くの。」
「そ、それではペロお嬢様が今日行かれたお茶会というのは・・・?」
「う~・・ん。 やっぱり分からないわねぇ~。 あの子最近学校を抜け出してくるし何かあったのかしら?」
そうなのだ。 前回もペロは学校を休んで帰ってきたのだがそれは前回だけでなくここ最近週に一回はあることなのだ。
(まさか貴族同士の陰湿なイジメにあってるのかしら? いや、それで週一で学校を抜け出すのはあまりにも不自然・・・。)
シンデレラはしばらく考えると1つ気になることを夫人に質問してみた。
◆◆◆
お茶会というのは大きく分けて二種類存在する。
一つは他の貴族たちに自分がどれだけ身分が高く品があるのか側近を入れてのお披露目が目的のものだ。
そしてもう一つは【婚約者候補】を見つけ出すお茶会だ。
ほとんどの貴族たちは親が決めた人と政略結婚するのが常識なのだが、やはり年頃の子供たちは男女関係なく恋をしたいのだ。 そこで学校に通う生徒達はお茶会と名を題した所謂【合コン】を主催しているのだ。
「やぁペロ。 今日も一段と奇麗だね。 どうだい? あそこの席で僕と一緒にお茶でも?」
お茶会は学校の授業が終わりすぐに開かれ、普段行われるお茶会の場所で開催される。
そこで一番端っこの壁側で息を殺して飲み物を飲んでいたペロに一人の男が声をかけてきた。
「あぁ・・ごめんなさい。 ちょっと今はそんな気分では・・」
男は全身真っ白のスーツを着ており見るからにお金持ちのご子息である。
ルックスもよく顔もイケメンの為学校でもかなり人気のある人物なのだ。 周りでもこの男を狙っている女性たちは多く、今でもペロに話しかけている男に熱い視線がたくさん送られている。
「それは大変だ。 こんな所で立っていては気分も晴れないよ。 僕がエスコートするから外で新鮮な空気でも吸いに行こう。」
「いえ。 結構です。」
手を差し伸べれるペロは笑みを浮かべて彼の手を握ることを拒否した。
しかし男も折れることなくペロの肩に手を添い顔を近づけた。
「そんな事おっしゃらず。 僕と一緒に外へ出れば気分が晴れる事を約束するよ? なんだったら・・もっと良い事もしてあげれるしね。」
その時、男はペロの全身をゆっくりと眺めた。 その視線は主に胸部や下半身を凝視しているのはペロ自身も理解できてしまい全身に鳥肌があふれ出る。
(これだから・・男どもは!)
ペロは他の周りの女子生徒と比べると圧倒的にバランスが取れたルックスを持っていた。 歳が近い女子生徒から街の娘たちも彼女の姿を見ると憧れを抱くほどだ。
加えて黙って立っていればペロは超絶な美少女なのだ。 普段屋敷ではやんちゃな面が印象が強すぎて夫人も姉であるシャルルもあまり知らないことであるのだが、ペロはかなりモテモテの美女である。
「申し訳ありませんが、私はここにいたいので・・」
「そんな事言わないで。 さぁ!」
「ちょっ!」
男はペロの意見など完全無視でついに強行手段にでた。 ペロの肩を抱きつき無理やり外に連れ出そうとしたのだ。 それはあまり貴族として品があるとは言えない行為であり周りで見ていた男性貴族たち数名が声を上げた。
「やめないか! 嫌がっているじゃないか!」
しかし、その男性たちの前に一人の大男が立ちふさがる。
その男は睨みつけただけで男性貴族たちを黙らせた。 その様子を見てペロを連れ出そうとする男性貴族は笑みを浮かべる。
「失礼。 彼は僕の召使兼ボディガードでね。 あぁ、あまり威嚇しないほうがいいよ。 彼、力加減というものを知らないからね。」
そういうと男性貴族は指を鳴らすと召使という男がテーブルの上に置かれてあるリンゴを片手で二つ持ち握りつぶした。 それだけでどれだけのパワーがあるのか一目瞭然だ。
止めに入ろうとした男性貴族たちは何も言えなくなりただペロが連れて行かれるのをジッとみていることしかできなかった。
男性貴族は不敵な笑みを浮かべてペロを連れてそのまま部屋を出ようと扉に手をかけた。 ・・・が、男性貴族が扉を開ける前に勝手にその扉が開いた。
そこに立っていたのは長い金髪を一括りにまとめ上げポニーテールにして、全身真っ黒なスーツを着たシンデレラが立っていた。
「シンちゃん!?」
「勉学お疲れ様ですペロお嬢様。 外に馬車を待たせておりますので帰りましょう。」
この状況に一番驚いたのはやはりペロであり、時刻は現在五時になろうしている時間。 本来なら今は夕飯の準備に取り掛からないといけない時間なのだ。
そのはずのシンデレラが今学校に来ていることにペロは驚きを隠せないでいた。
「な、なんだお前!!」
しかし男性貴族はそんな事気にもしないで身分が明らかに低いシンデレラを見て怒鳴り声を上げる。 だがシンデレラはそんな事気にもしない様子で男性貴族に軽くお辞儀をした。
「私はペロお嬢様の屋敷でお世話になっている召使。 名をシンデレラといいます。 今日はペロお嬢様のお迎えに参りました。」
ペロの屋敷の召使と聞いて男性貴族は一瞬怪訝な顔を見せた。 それもそのはずだ。 ペロが連れ来る普段の召使とは全くもって別人であるからだ。
本来貴族のお茶会で主人が側近を簡単に変えることは難しい事なのである。 そんな簡単に側近を変えればその主人は信頼関係がないダメな貴族として周りから認定されてしまうからだ。
「・・ふん。 まぁ君がペロの召使なら丁度いい。 彼女はこれから僕と楽しい時間を過ごすんだ。 君はしばらく待っているか屋敷に戻って彼女は少し帰るのが遅くなるといっておくように。」
それだけ言って男性貴族はシンデレラを横切ろうとすると、シンデレラは男性貴族の前に立ち塞がった。
「・・・どういうつもりだ?」
「申し訳ありません。 私は今、ペロお嬢様をお連れ帰るように命じられておりますのでどうか今日はご遠慮願います。」
「はぁ? 君、一体誰に向かってそんなゴドォ!!?」
男性貴族はシンデレラの態度が気に入らなかったのかペロを放してシンデレラの胸倉を掴もうとしたその瞬間、シンデレラの足が男性貴族の顎を蹴り上げ、男性貴族は空中で半回転して倒れた。
「あ・・アァ!!? 顔が・・僕の顔がぁあああああ!!!」
口の中切ったのか男性貴族の口からは血が流れ脳震盪も起こしているらしく上手く立ち上がることができなかった。
「おいお前! ボサッとするな! あの召使の女をぶっ飛ばせ!!?」
半狂乱状態で自分の大男の召使に命令を下す。 大男は命令に忠実で躊躇なくその巨体でシンデレラに向かって殴りかかった。
「シンちゃん!?」
ペロは巨体の男が殴りかかろうとしているのに動こうとしないシンデレラの腕を掴み逃げるように引っ張るが、シンデレラはソッとペロの手を取り片眼を閉じて「シイ~」と静かにするようにジャスチャーする。
その間に大男の大きな拳がシンデレラに振り下ろされた。
誰もがシンデレラが無事でいられるはずがないと確信した。 男性貴族はその瞬間を大声をあげて笑ってみている。
しかしシンデレラは落ち着いた様子でゆっくりと手を伸ばし目を閉じてこう唱えた。
「 ビビデ・バビデ・ブー 」
◆◆◆
ガタゴトと揺れる馬車の中に二人の少女が窓から差し引かる夕日を眺めていた。
片方は金髪の髪を一括りに縛ってポニーテールをした召使の少女シンデレラ。
そしてもう一人はそのシンデレラをチラチラと夕日を眺めてはシンデレラを交互に見ているペロである。
「ペロお嬢様。」
「ひゃ、ひゃい!!」
急に名前を呼ばれペロは肩を飛び跳ねなて声を裏声にして返事をした。
「申し訳ありませんでした。」
「え? な、なにが?」
深々と頭を下げ謝罪するシンデレラにペロはあたふたししながら質問する。
「召使である私が貴族のご子息とその召使の方にあのような態度をとってしまったことにです。」
シンデレラが謝罪しているその理由は先ほど学校で起こった内容のことだった。
あれからシンデレラの不思議な力で大男は吹き飛び頭から地面にめり込み気を失ってしまったらしい。
そしてその大男の主人である男性貴族はその様子を見て腰を抜かしたのか下半身から生暖かい液体が漏れていた。 さらに最後にシンデレラは腰を抜かして放心状態だった男性貴族の胸倉を掴み耳元でこう囁いた。
『おい。 今度ペロお嬢様に何かふしだらなことをしようとしたら次はその股についているボールを捻り潰してやるからな。』
その言葉を聞いた男性貴族は泡を吹いて気を失った。
「し、シンちゃんが謝る必要なんてないよ! もとはといえば私がお母様に理由をきちんと言わなかったのが悪いんだし! それにあの人は先生がたと保護者の方にしっかりと説教をしてもらっているから! 全然シンちゃんは悪くないよ! どちらかといえば私がお礼を言わなくちゃ!」
ペロは揺れる馬車の中で立ち上がりスカートの丈を軽く摘みお辞儀をした。
「今日は本当にありがとう。 貴女が来てくれなかっらどうなっていたかわからなかったわ。」
その姿を見てシンデレラは右手を胸元に添い軽くお辞儀をした。
「とんでもございません。 こちらこそお嬢様の悩みに気が付かず申し訳ありませんでした。」
ここに来る前、シンデレラは夫人にある質問をした。 それはお茶会というのは開催されるのに交流以外に何か理由があるのかというものだ。
そこで夫人は将来の相棒を探し当てるお茶会が開かれることもあると答えたのだ。 しかしそのようなお茶会は子供だけで行うものではなくちゃんとした場で保護者同行で開かれるのが一般である。 だが、そんな事を気にしないで女性の体目的で開く不埒ものが何百といる生徒のうち一人は考えそうなものだ。
それでシンデレラは週に一度そのような交流会が開かれていると考え、ペロはそのお茶会に参加したくないが為に学校を抜け出すことがあったと考えついた。
その為何があってもいいように動きやすいズボンであるスーツに着替え迎えに来たということだ。
「だ・け・ど。 それはそれ。 これはこれよペロ。」
「へ? ~~ッてイッタァァァァイイィィ!!」
お辞儀から頭を上げたペロにシンデレラはデコピンを一発あてた。
「嫌なことがあればちゃんと相談しなさいよバカ! あんたが変に私や奥様方に気を遣うから面倒くさいことになったのよ! いい?! これからはどんな小さい事でも私か奥様方に相談すること?! いいわね!!」
「は・・はいぃぃぃ」
デコピンされた一発がかなり痛かったのかうっすらと涙を溜めるペロだった。
「それにしても今日のシンちゃんいつもより格好よくてとても奇麗だったなぁ~!」
「はぁ? 急に何よ。」
お互いの謝罪が終わり後は屋敷に帰るだけとなった空いた時間にペロはシンデレラの顔を笑みを浮かべながらそういった。
そういわれたシンデレラは今はペロと二人っきりということもあり素の性格でいる為、足を組んで召使とは思えない風貌で座っていた。
「だってあんな大きな男の人を不思議な力で吹き飛ばしちゃうし私の為に仕事を置いてわざわざ来てくれるし、なんだか御伽噺に出てくる王子様みたいだったもの!」
「・・・」
「しかも戦っている間のシンちゃんはカッコイイだけじゃなくて・・なんていうんだろ? 凛々しい? とにかくとても奇麗だったの! 私もなんだか憧れちゃうなぁ~! ねぇシンちゃん!」
「・・・」
「? シンちゃん?」
シンデレラは徐々に顔を下に向けペロと視線を合わせなくした。
「シンちゃん? お~い! シンちゃんってばぁ~!」
「―――い。」
「え?」
ボソッと何かを言っているシンデレラに耳を近づける。
「わ、私も・・あんたみたいに可愛い子はその・・憧れるし・・その、羨ましいと思うわ。」
シンデレラの顔はペロに褒められるたびに赤く染まってきていた為照れているのがばれないように下に顔を向けていた。
ペロも最初は夕日のせいで赤く見えているのだと思っていたが、シンデレラのその様子と耳が真っ赤になっているのが分かる。
その様子をベロは可愛らしく感じ悪戯心が芽生える。 ペロのアホ毛がユラユラと動き先ほどよりもシンデレラの顔に耳を近づける。
「え~何ぃ~? よく聞こえないよシンちゃん~!」
「いや・・だから・・」
「ん~~??」
この流れは屋敷に戻るまで続けられ、しばらくシンデレラはペロと会話しなかったらしい。
この度は作品を読んでくださりありがとうございました!
どうか次回もよろしくお願いいたします。




