表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/326

第26話 屋根の上の攻防

屋根の上にも下にも敵だらけ!

 まず、デューンが屋根の上に出て、次にカシーネが出てくる。

「さすがにこの屋根にまでメロキモスは来ないだろう」

 デューンが言う。

「西の塔に急ぎましょう」

 ローディンが先頭、間にカシーネが入り、最後尾にデューンがつく。3人は平らな突き出しから落ちないよう一列に並ぶと、中腰でバランスを取りながら西の塔に向かって進み始めた。

 だが、数メートルも進まないうちに、丸屋根の反対側から剣を持った王宮騎士が3人現れた。

 3人は立ち止った。

「まさか、本当に来ようとはな」

 王宮騎士の一人が言う。

「どうしてここに?」

 ローディンが聞くと、

「執政官の命令だ。デューン男爵とその執事らが出てくるまでここで待機せよと。メイドと執事は処刑命令が出ている。デューン男爵は拘束せよとの命令だ」

 王宮騎士3人が、ローディンたちの方に近づいてくる。

 ローディンは、その足元を見た。先頭の男の足運びはおぼつかない。

「大人しくしていれば一瞬だ。そのまま立っていれば一撃で首を跳ね飛ばしてやる」

 先頭の男は、片手でローディンに剣を突き付け宣言する。

 ローディンは、まるで言葉に従うかのように背筋を伸ばし、首をさらけ出した。

 先頭の男はにやりと笑うと、剣を両手に持ち変え、水平に構えた。その剣を横に振り払った瞬間、ローディンは後ろに上半身をのけぞらせ、先頭にいた王宮騎士の足を横に蹴り払った。

 先頭の男は、バランスを崩し、剣を取り落とすと、そのまま屋根から転がり落ちた。男の絶叫がどこまでも続く。

「デューン男爵、通路に戻って下さい!」

 ローディンの言葉に一番後ろについていたデューンは、開けたままの扉から縦穴通路に戻った。

 ローディンは落ちている剣を拾い上げると、2番目にいた王宮騎士の剣を受け止めた。

「カシーネも急げ!」

 カシーネが振り返ると、もう一人の王宮騎士が扉の前に立ちふさがっていた。その王宮騎士の横殴りの一撃を、何とか避けるカシーネ。

 ローディンは、対峙している王宮騎士が上半身ばかり狙ってくるので、ガラ隙の腹部を蹴飛ばした。

 王宮騎士はバランスを崩して倒れ、屋根にしがみついた。

 カシーネの方を振り返る。

 カシーネは、棟と平行に並んだ平らな突き出しを登り、屋根の上の方に逃げていた。そのカシーネに下から迫ろうとしていた王宮騎士に斬りかかるローディン。王宮騎士は横からの不意打ちで、バランスを崩した。その一瞬を逃さず、ローディンはその王宮騎士に剣の一突きでとどめを刺す。



挿絵(By みてみん)




 王宮騎士が倒れたのを確認すると、ローディンは呼びかけた。

「カシーネ!」

 ローディンの方に降りようとしたカシーネが叫ぶ。

「ローディン様!後ろ!」

 ローディンが振り返ると、屋根にしがみついていた騎士が、体勢を立て直し、剣を振りかぶっていた。後ろに下がりながら、強靭な一撃を剣で受けるローディン。続きの一撃を避けようと、更に後ろに下がった時、ローディンは開いたままの扉から、縦穴に落ちてしまった。

 王宮騎士は、ローディンが落ちたのを確認すると、扉を閉めた。

 通路の中、水平通路でデューンが待っていると、縦穴からローディンが落ちてきた。

「ローディン、何をやっているんだ。カシーネは?」

「まだ外です。わたしは、王宮騎士に突き落とされたんです」

「なんだと?」

 デューンは、縦穴を登り、内側から扉を開けようとするが、やはりびくともしない。

「カシーネ!」

 その時、下からその様子を見ていたローディンが、何かに気付き、雅牙の塔からつながる通路の方を見た。

 上に開いた穴から差し込む陽光が、光の柱のように何本も立っている。その柱が奥の方から一つ、また一つと消えていく。穴を塞ぎながら黒い何かが近づいてきた。

「デューン男爵、早く降りて下さい!」

「何だ?」

「メロキモスです!メロキモスが通路に入ってきました!」

「何?」

 カシーネが縦穴に落としてしまった王妃の血で、メロキモスが完全に目覚めてしまったのだ。

 デューンは、縦穴を大急ぎで降りてきた。

 デューンも、メロキモスが接近してきているのを確認する。

「こうなればメロキモスと競争だ。ローディン、ついてこい!」

 デューンはそう言うと、先頭に立って西の塔へと猛然と進み始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ