表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/326

第2話 じゅくじゅく坊ちゃん、思いを果たす

天然少女にそんなこと言ったらやばいぞ。あっ、ついに、やっぱり‥‥!

「・・・・・と、いう訳です」

 とローディン。

「・・・・・王妃のキモ入りじゃ、俺が今さらどうこう言うことじゃないだろ」

 とデューン。

 目の前には、メイド服を着たカシーネが立っている。

 どうも、さっきからもぞもぞしている。

「どうした?トイレか?」

 お下劣なデューンの一言。

 早速のいやがらせ開始か?

 上からの押し付けとなると、いやがらせも1・5倍というところか。

「いえ・・・・服がきつくて・・・・」

 たしかに、豊かな胸は広い襟周りから飛び出しそうで極めて危険な状態だ。

 北の厳しい自然の中成長したカシーネのボディラインは、通常のメイド服では全然覆いきれない。少しでも前かがみになればパンツ丸見えだ。まるでアダルトロ○ゲームの主人公のようなありさま。

「急な採用だったんで、合う物がないんだ。今、大急ぎで作らせているところだ。しばらくの間我慢してくれ」

 ローディンが申し訳なさそうに言う。

「動きづらいのが気になりますが、裸でやれと言われないだけましです」

 ローディンは思わずデューンの方を見た。

「この仕事は、希望してもなかなかつくことができない仕事だ。ぜひ、その辺のことを自覚して頑張ってほしい」

 ローディンはやれやれという雰囲気で、カシーネに言った。


 早速、最初の難関。

 その夜の夕食で、毒見の仕事からスタートだ。

 給仕が、カシーネの前に出す。

 カシーネは、目の前に出された物をぺろりと平らげた。

「カシーネ、俺の食べる分は?」

 カシーネは、「あっ」という表情になり、デューンを見た。

 給仕が、カラの皿を下げながら、

「大丈夫です。いずれはこういうこともあろうかと、メニューは常に多めに作ってありますので」

 カシーネはそれを聞いて笑顔になった。給仕はその笑顔にうなづいて答える。

 カシーネは、その笑顔をデューンに向けた。だが、その笑顔もデューンの笑顔まで呼び起こすことはできなかった。

 再び同じ物が出される。

 カシーネは、見た目と匂いを嗅ぎ、次に盛りつけた物を、パクリと一口。小さな塊を選んで、慎重に食材を口にする。

「大丈夫です。どうぞお召し上がりください」

 そう言いながら、皿をデューンの方に差し出す。

 デューンは、カシーネの方を見たまま、皿を引き寄せると、ようやく夕食にありついた。


 そして、風呂の時間だ。

 デューンは、正面をじっと見ながら湯船につかっている。

「・・・・・・なぜ、お前が入っている?」

 デューンの視線の先には、浴衣を羽織ったままカシーネが湯船につかっている。

「なぜ?と言いますと・・・・?」

 逆に聞き返すカシーネ。

「いいか、メイドは、出口近くで控えていればいいんだ。俺に何かあった時だけ、湯船に入ればいい。一緒にお湯に入っていて、2人同時にどうにかなったら、いったい誰が助けに来てくれるんだ?」

「そうなんですね。なぜ、浴衣を着たままお風呂に入るのか不思議だったんです。出口で控えているのなら、裸のままという訳にはいきませんものね」

「いいか、王宮に中に裸でする仕事なんてない・・・・・少しは考えろ」

「話してもらえなければ、王宮のルールは難しすぎて分かりません。あまりにも常識から外れているので」

「それなら、お前は言われたことだけすればいい。何も考えるな。それくらい、お前にだってできるだろ」

「・・・・・・分かりました」

 そう言うと、濡れた浴衣を体の曲線にぴったりと張り付けたまま、カシーネは湯船から上がった。

 デューンは、チラチラとカシーネを見ながら、

「・・・・・これじゃ裸とそう変わらん」

 そう言うと、湯船に頭から沈んだ。


 そして、例の朝の儀式だ。

 まあ、食事も風呂もそんな感じだったんだから、やめておけばよかった。

 だが、デューンは、いつもどおりに排尿の後、しまうべきものをしまわずに、

「触れよ」

 デューンがそう言うと、カシーネは何の抵抗もなく、デューンのしまうべきモノに触れた。

「わっ!離せ!」

 デューンは、便器から離れようとして体勢を崩した。

「危ない!」

 その瞬間、カシーネは倒れそうになったデューンを支えようとして、思いきりモノを掴んでしまった。

「カッ・・・・・!離せ、カシーネ!・・・・・いてて・・・・!」

 そこで、カシーネはようやくモノを離した。カシーネの握力はボトス選手並みだった。

 デューンは、しまうべきモノを慌ててしまうと、

「なぜ、掴んだ!」

「なぜ?触れと言ったのはデューン様ではありませんか」

「本当に触る奴がいるか!」

「それなら、なぜ触れと?」

「お前は言われればなんでもするのか?」

「言われたことだけすればいい、何も考えるな、と言ったのはデューン様ではありませんか」

 そこへ、ローディンがやってきた。

「どうしたんです?」

「・・・・・いや、なんでも・・・・」

 デューンが誤魔化そうとすると、

「触れと言われたので触ったら、なぜ触るのかと急に怒り出したんです」

 とカシーネが正直に報告する。

 ローディンは、デューンの股間を見て尋ねる。

「・・・・触られたんですか?」

 デューンは、恥ずかしさでローディンの方を見られなかった。

「ようやく希望がかなえられたわけですが、感想は?」

 デューンは、ローディンの言葉に答えず、無言のままその場を去った。

 ローディンは、カシーネに向き直った。

「ああいうモノは触り慣れているか?」

「生まれて初めて触りました」

「抵抗は感じなかったのか?」

「デューン様の命令でしたので」

 ローディンはため息をついた。

「デューン男爵は、時々メイドにいやがらせをする。それを真に受けちゃだめだ。王宮の中のルールは、社会の常識とは違う。だが、道理や倫理観は王宮だろうとどこだろうと変わらない。カシーネにも、自分なりの道理や倫理があるだろう。それがさっきの行為を許すのならいい。だが、もし許しがたい行為なら、わたしに言え。しかるべく対応する」

「自分なりの道理にかなわなければ、時には断ってもいいということですか?」

「そうだ」

「分かりました。もし、デューン様が道理をわきまえていなければ、ローディン様の手は煩わせません。わたしが直接言います」

 そういうと、カシーネはにこやかな表情になり、寝室から出ていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ