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ある娼婦と化け物の話  作者: 檸檬型来良
1/7

始まりの物語


19世紀ロンドンにて_________


あの事件は起こった。




 「おい 聞いた か ? また だ ッ てよ、」


とある路地で男達の話し声が聞こえた。

“また出たんだってさ!あの切り裂きジャックが!”

嗚呼またか、また一人消されたのか、

と心の中で思い、その場を通り過ぎてゆく


 「ライラ 姉様 ~ 」


近くで自分を呼ぶ声がして振り返ると

そこに居たのは自分の兄弟であるライムだった

何よりも大切な姉妹の妹だ


 「また 出たん です ッ て ネ ~ 」


着ている服を爪で引っ掻いて表したのは

今話題の“切り裂きジャック”だ

けたけたとおどけた笑い声を出して巫山戯たように言う

ライムは何時だってこの態度なので気にはしないが

切り裂きジャックに目をつけられないかが心配だ


今は切り裂きジャックの他にも何人か有名な殺人鬼が出てきている

JACKを名乗ッて人を殺す“偽のJACK”


 「...ライム 貴方 」


何時か殺されるわ、と言おうとした所で、彼女はまた笑い出した

まるで“自分達の居場所など何処にもないのだから死んでしまったって同じ”

だとでも言わんばかりに


...自分は何故、この子を救えなかったのか


何故、何故、と思い耽る内に、妹は消えていた

仕事か遊びかは知りはしない

だが昔からこうなのだ、止めても無駄な事は知っている

先程ライムが居た場所を見つめて、小さく息を吐く


 「今日もどうか無事であります様に、」


娼婦の自分が神に祈るなど馬鹿らしいが、

否、本当に馬鹿らしく、ライムが聞いたらまた笑わい出しそうなものだが

少しだけでも無事を願いたい

何たって最後の家族なのだ

最愛の妹なのだ


十字架を讃えた教会の方に顔を向けて胸に手を当てる

息を吐いてからそっともう一度“どうか無事でありますように”

もし神がいるのなら、もし神が自分達を産んだならば、

彼女を守ってあげてください、と思いを込めて祈る





叶うことなんてありはしないのに_______





時は19世紀イギリス

切り裂きジャックが恐れられていた時代













“事件(物語)は起きた”





















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