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プロローグ:満月の夜

初投稿です。内容も文章もそんなに自信はありませんが、もし読んで頂けたならとてもうれしいです。

季節が変わり、昼間は段々と暖かくなり始めてきた。


しかし依然として夜の冷え込みは厳しい日が続いていた。


そんなある静かな夜のことだった。




「ローグ、剣の稽古しよう」


そんな呼び掛けに、男は振り返った。


するとそこにはまだ幼さの残る少年が、少し短めな木刀を抱えながら佇んでいた。


「おいおい、もう夜だぞ。今日はやめて明日にしよう。な」


「えぇ!? 嫌だ、今日しよう」


「だめだ。でも代わりに話を聞かせてやるよ」


「話? 何の?」


少年は首を傾げて男に尋ねた。


「この世界の伝承---まあ、昔話ってとこだな」


男はそこで一旦言葉を切り、そして少年に尋ねた。


「どうする? 聞いて損はない話だと思うぞ」


「う~ん、話はいいや。それよりも剣の稽古がしたい」


そんな少年の言葉に、男は思わず苦笑した。


「本当に元気だなカイトは。まったく誰に似たのやら」


「ローグだよ」


「ハハ、そうかもな。それじゃあ、今日俺の話を聞いたら、明日はいつもより多く稽古してやる」


「本当!?」


男の提案に少年は顔を輝かせ、男に詰め寄った。


「ああ、本当だとも。どうする、聞く気になったか?」


「うん。それなら聞く」


「そうか。じゃあ、さっそく・・・」










『昔、この世界の大陸が今の形になるよりずっと昔、人類は自分たちが豊かな生活を送るために文明を発達させてきました。


その代わりに世界にどんな異変が生じていようとも関係なく・・・。


そしていつしか、その異変が取り返しのつかないほどひどいものとなり、結果、地上からありとあらゆる生命が死に絶えてしまいました。


しかし、それでも地上から人類がいなくなることはありませんでした。


そんな中、人類に憤りを感じた『彼ら』は人類を許しませんでした。


そして間もなく、『彼ら』は荒廃した地上に生き残っていた人類全てを抹殺しました。



こうして、世界から人類がいなくなりましました。



しかし、世界から人類が消えてから間もなく、『彼ら』は死に絶えた地上で生命の生き残りを発見しました。


そのことを『彼ら』は大いに喜びました。そして生命が死んでしまわないためにと、『彼ら』の秘宝『シャイニングスター』を地上に持ち込みました。


シャイニングスターが地上に持ち込まれてからとても長い時を経て、死に絶えた世界はシャイニングスターのおかげで昔のような緑と生命で溢れ返る平和な世界に蘇りました。


ある二点、その世界に人類が存在していないこと、そして『モンスター』と呼ばれる新たな生物が誕生してしまったことを除いて・・・。



『モンスター』。

それは『彼ら』もまったく知らない未知の生命体でした。


ただ、モンスターは他の生物の害となりました。


そのため、『彼ら』は何度も対策を講じてきましたが、一向に改善することはありませんでした。


そんな中、『彼ら』は新たな問題に気がつきました。



それは、いつの間にか世界に人類が存在していたことです。



あまりにも予想外の出来事だったため、『彼ら』は驚愕したものの、すぐに対応について相談しました。


しかし、『彼ら』の中には人類を毛嫌いしている者も多く、『人類は皆殺しにするべき』と意見する者がいたほどでした。


それは仕方のないことでした。事実、過去の人類はそれだけの過ちを犯してしまいました。


しかし、今いる人類は前の人類と違い、まだ文明は発達していことを『彼ら』は知りました。


そのため、『彼ら』は現在の人類を滅ぼさずに、代わりにある二つ授けました。


その結果、人類は過去の人類の文明と全く異なった文明を発達させました。


『彼ら』が人類に授けた二つの物、それは、この世界の万物の根源の力『マナ』の知識と、『彼ら』もまた使う『魔術』という技術でした。


そして、これらを人類に授けた『彼ら』は、いつしか人類にこう呼ばれるようになりました。




   『天使』    』










「・・・という話だ。どうだった?カイト」

「・・・」


「ん、カイト?」


少年の返事はなかった。

男が不思議に思いながら少年を見ると、


「・・・スゥ・・・」


「寝てるのか・・・。ったく、こいつは。本当に誰に似たのやら・・・」


男は苦笑して、机に伏せて寝息を立てている少年の頭を撫でた。


「まあ、ちょうどいいか。俺もこれからやることがあるしな・・・」


そう呟き、椅子から立ち上がった男はドアを開けて外に出ていった。


外はやはりまだ冷え込み、夜闇が辺りを包み込んでいた。


空では空一面に散らばる無数の星々と満月が夜闇を照らすように輝きを放っていた。





そしてこの一月後、『あの事件』は起こってしまった。

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