××の日常帰還戦争(1/?)。
灰色にしっぽりと包まれた世界に、僕は一人取り残された。
ってのは嘘。
こんな小説のポップみたいな書き出しで自分の心境を語ってみようと思います。
本当は、始めから僕以外誰もいなかった。
心細くは―――ない。どちらかと言うと惨めな気分です。
凄惨に笑いたくなります。
ああ一つ、変化したことがあっりましたね。
何も感じない。
五感がほとんど働かない。
触覚―――無理。
味覚―――無駄。
痛覚―――放棄。
聴覚―――はありますね。
視覚―――当然ありますよ。
いや、意外と働くような。
「こうして僕は生涯孤独の道を歩むのでした」
なんて嘯いてみるけれど。
「生涯孤独と言うよりかは天涯孤独と言うべきですし」
「天涯孤独と言うよりかは人外孤独と言うべきなのかもれないかもですかね」
こうして僕は、僕の物語が始まりました。
免許皆伝ならぬ、外伝ですかね。
どうやら記憶を辿ってみたところ、僕は死んだようですね。
あの日はどうしてか外に出たくなる気分になって、―――外に出ていたら殺された。
――――――――…っはは。
どうでもいいですね。
自分の人生に未練なんかないですからね。
生まれたときから――僕は××なんですから。
一片たりとも×を実感した事なんてありません。
――――こんな自嘲を吹いても意味がありませんね。
では、そろそろ動きましょうか。
この緞帳な時の止まったような世界を。