第014話 社畜、エルフとサラマンデルの問題に光明をさす
オレとヴェラを見て、ケラケラと笑うメル。
一方で、口元を隠しながら上品に笑うモアナ。
こういうところも対照的だな。
まぁいいんだけど。
ふむ……まぁこういう問題ってあれだ。
お互いのことをよく知らないっていうのが理由なんだよね。
腹を割って話してみたら、意外といい奴だった的なことは多い。
まぁオレだって伊達に中年男性やってませんよ。
それなりに経験はあるっつうの。
うーん。
となると、二人で協力してなにか課題を解決するといいかも。
定番だな。
目標にむかって計画を進めていく。
最初はお互いの意見の食い違いでケンカをするも、目標のために最終的には力を合わせる。
そして、お互いにお互いのことをわかりあう。
うん、ラブコメの定番だ。
となると……なにを課題に設定するかだな。
「サラマンデルは太ってますからね。暑苦しいです」
「ああん? 太ってねえつーの! お前らがお子様なだけだろ?」
うん。
そういうのはやめようね。
どっちもいい、でいいじゃない。
「太ってます」
「太ってねえ!」
二人がバチバチしだした。
ヴェラさん、出番ですよ。
圧倒的な戦力差というのでわからせてやりなさい!
『なんですの? その戦力差というのは?』
いや、わかるでしょうが。
所詮、太る、太らないだの。
あの二人が言っているのは、どんぐりの背比べ。
ヴェラさんのその……ぐはぁ。
ナイスパンチ。
「わたくしが太っていると言いたいのですか!」
「ち、ちがうって。ヴェラに比べたら、ほら、メルとモアナの二人の悩みなんてちっぽけなものだと……ぐはあ」
ナイス魔法。
「誰がちっぽけなんです!」
「おい、オレをモアナと一緒にするな!」
ちがう。
そうじゃない。
胸の話なんてしてな……してたか。
とは言え、だ。
思いついちゃった。
二人の課題。
さっきの魔法でわかったもんね。
そう。
二人には鍛冶場の火力問題を解決してもらおうじゃないの!
よくよく考えたら、火と風。
めちゃくちゃ相性がいいじゃない。
ちょっと間違ったら大惨事だけど。
その辺は魔法を使える二人に調整してもらってだな。
ぬふふふ。
これぞ、一石二鳥のいいとこどりだ。
ギーガ親方は火力問題の解決ができる。
メルとモアナの二人は課題を協力して達成することでお互いを知ってもらう。
ついでにオレは魔王様に褒められる。
ぬわははは。
完璧すぎる。
しかも、今回は鑑定先生のお力を抜きでも解決の道筋を見つけたんだぞ。
いやー才能が怖いなぁ。
「ふふ……わたくし、二人を見ていて思いましたの」
なぬ?
ヴェラさん……?
「なんだよ?」
「どうかしました?」
モアナとメルの二人がヴェラに注目している。
「お二人にはひとつ課題を与えますわ。これは魔王様からお願いされていたことなのですが、現在の鍛冶場では火力の問題で困っていますの」
おい、おい。
ちょっと待ってくれ。
盗み聞きが発動しちゃったの?
「ですので、お二人にはその問題の解決に力を合わせてほしいのですわ」
よ、横取りキター。
ヴェラがオレにどや顔を見せている。
まぁオレから伝えるより、そっちの方がいいんだろうけど。
なんだかちょっと悔しい。
ハンカチでもあったら、きぃぃぃって噛んでるくらいには。
『拗ねるんじゃありませんわ。ハルトの妙案はすぐに伝えるべきだと思ったのです。魔王様にはちゃんとハルトの案だと報告しますから』
うむ。
ならば、よろしい。
「へえ……火力ってことは強い火がいるのか?」
「それなら、メルだけでいいでしょう。火をだすのは得意なんですから」
「そうそう。オレに任せとけって? サボろうとしてるんじゃねえぞ、モアナ!」
「だって、サラマンデルは火を使うのが得意なんでしょう? 私は風ですから」
「ぐぬぬ」
はいはい、とヴェラが割って入る。
「いいですか。わたくしはお二人にと言いました。あなたたちはどちらも魔王様のお役に立ちたくて魔王城にきたのでしょう? これは魔王様たってのお願いでもあるのです。その辺りをお忘れなく」
「ちぃ……魔王様の願いなら仕方ないか」
「不本意ですが協力せざるを得ません」
おおう。
あのメスガキ魔王様のカリスマはすげーな。
モアナとメルが納得しちゃったよ。
「と言うことで、今から鍛冶場にいきますわよ!」
よし。
これで何とか説得できたな。
あとは二人に任せて……。
メルが歩き出したモアナの尻を蹴った。
ばん、といい音が鳴る。
こいつ、タイキックの使い手なのか。
あんまりからかわない方がよさそうだな。
さすがギャル。
ずでんと転ぶモアナ。
いひひ、と笑うメル。
モアナの表情が抜け落ちた。
「今、私のことを蹴りましたよね?」
「そんなことしてねーけど?」
しれっと誤魔化すメルだ。
これは常習犯だとみた。
ヒクヒクと頬を引き攣らせるモアナ。
「死ねこらあああああ!」
ぎゃあああ。
メルが空中に舞い上がった。
ついでにオレも。
こいつら、大丈夫か……?




