カレーを食す
もう一つはピリ辛だ!こんなの初めて食べる一体何者なんだ君たちは!?衝撃のあまり思考がストップしていると、護衛騎士の何やってんだ?と言う顔と目があった。
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「ゾ、ゾローーーーーーーーー一言葉訳してくれないかな?みてみてもろこし爆弾があったんだけど前食べたのとは違うんだ!」
一瞬なんて呼ぼうか迷ったのは内緒、複雑な関係だよね。ニヤっとしながら寄ってくる。
「このもろこし爆弾全部買いたいんだけど、味付けを変えられるらしいのね!味付けが無いのが半分、残りの2/3をこのシロップみたいなのをかけて、残りをこの赤い粉のやつにして欲しいって伝えてくれない?」
「了解です」
何やら話し込んでいる、そして私が頼んだとおりに入れてくれる、全部で18個ぐらいある。100個ぐらい買いたいのに・・・
「ねぇ、明日も全部買いに来るからって伝えてくれない?だから一杯作ってほしいって」
うなずきながらそのまま話してくれてる。そして私は気にせず収納巾着にぽいぽいいれていくと。護衛騎士が突如唖然とした顔をして固まっている。
つついてみると我に返ったかのように。
「空間収納スキルがあるのかと聞かれました」
ほーーーーー・・・・・・・!?なるほど?自分たちが収納袋系を持ってるからそのスキルのことを完全に失念していた!そうか!スキルにしちゃえばいいじゃない!なるほどなぁーなんで今まで気づかなかったんだろう・・・
護衛騎士と目を合わせて少しがっかりしたようにうなずき合った。今日からみんな空間収納スキル持ちだ!やったね!
そして気になるお値段は金貨9枚だった、高い。ベルト国の10倍じゃなかっただけ安いのかもしれないけど、高い。
護衛騎士と一緒に宿に戻る、なんか空間収納スキルの単語でもう文房具の事なんてすっかり忘れてた。宿に戻ると侍女様も居て、3人で椅子に座る。
気分を変えてお待ちかねのご飯タイム、3人同時に出す。みんなバゲットを3個づつ出す。なんだかとっても嫌な予感がする。
お次は・・・
「1.2.3で出すよー! 1.2.3!!!」
みんなが出したものは、私と護衛騎士がカレー、侍女様は真っ白でお肉と野菜がたっぷり入った何となく甘い匂いのスープを出してきた。こんなスープ売ってたんだ?さすがだなぁ侍女様は、それに引き換え私と護衛騎士は・・・
3人とも無言になる、そりゃそうだ、2個もカレーなんだし。1つは真っ白だし、今日の夕飯はどうなるのか・・・そりゃ不安だよね?
最初は侍女様のスープを飲むことに。ミルクなのかよくわからないけど、もろこし爆弾とは少し違うコクのある味がする、すっごくおいしいこれは全部買い占めたくなる味。バゲットはそれぞれ買ってきた物を食べることにして、スープだけを飲んだり、バゲットをつけて食べたり、して美味しく頂きました。
ヴェルト国にいたなら、もう食事はこれで終わりなんだけど、やはりここは・・・カレーと言う物をみんなで一口でもいいから食べないとだめだなと思って、私のカレーを出す、お姉さんお勧めのチーズというものをちょこっと振りかけてみる。
みんな手が進まない、私も進まない、みんなで1.2.3で食べることにすることにし
「1.2.3!!!」
と思い切って目を閉じて口に入れてみた。ピリっとした絡みが口の中に広がり、そのあとは何と表現していいのか解らないぐらい初めての味、それに口の中でとろーっ広がって口全体にカレーがいきわたる、チーズもちょっとかけてるのでほのかにチーズの味もする。
チーズがかかってない部分も一口、ピリリっと口の中に辛みが先ほどより広がる。味が少し変わるけども、カレーそのものの味は変わらない、チーズがあると少しマイルドになる感じがする。
バゲットを付けて食べてみればそれもまた、カレーの味の強さがバゲットによって調和されて、美味しい。カレーだけ食べても、バゲットに付けても何しても美味しい、見た目はあれなのに!
気づけば3人とも綺麗に平らげていた。お客様があんなに嬉しそうな顔をして買いに行く理由がわかる。見た目がアレで無ければ人気のお店、下手したら朝から並ばないと買えないぐらいに人気は出ていただろう。明日全部買い占めよう。
私の感情を読み取ったかのように、みんなでうなずき合う。これはもう手放せない
「ねぇ、カレーを大量に買いたいのだけど、明日お姉さんに頼んで大量に作ってもらってからこの街を離れない?このカレーと離れられる?私は離れられない」
「わたしもですこれは、意外性が飛び出てる食事ですね、スープなのかスープじゃないのか正直悩みますが、飲み物のようにのどに入ってきても、暖かいフルーツジュースのような・・・とにかく美味しいです」
「俺もこれは毎日食べたい」
「明日お姉さんの所に行って買おう、あともろこし爆弾を見つけたので!それも侍女様かゾロに来てもらって大量注文したい。頼んでいいかな?」
「解りました私がお供しましょう」
「ついでに文房具屋さんも行きたいな」
「いいですねあと小物屋さんにもよりたいです」
「よしもう一日この街を楽しもう、それとね、侍女様・・・私とゾロは今日とてつもない発見をしてしまったのです、何だと思いますか?」
しばらく思案している、結構時間かけてるけどそこまでの価値は・・・
「何でしょう?」
「今日もろこし爆弾を買ってる時に、どーせもう明日でこの街離れるしって、買った傍から収納靴下に入れてたんですけどね、その時に屋台のお姉さんが
”空間収納スキルを持ってるのか?”
って聞いてきたんですって」
目を見開いて固まる侍女様、侍女様もそこに考えが至らなかったタイプのようだ、至ってたら提案してるよね。
私と護衛騎士は侍女様を見てうなずく。そこにうなずき返してくる侍女様。
「これから私たちは空間収納スキル持ちということで生きていきましょう!」
「色々考えたのに、一瞬で問題が解決しましたね、これから都合が悪いことはそおゆうスキル持ってるってことにしていきましょうか?」
「賛成そうしましょう」
そんな話をして順番にお風呂に入って寝た
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私に似た少女が居る
ハトと羊とスライムと一緒に歩いてる姿が見える
場面が変わった
少女が羊の身体にサドルを付けてその上に寝そべるようにして自分の身体を縛り付けたら、羊が疾走しはじめて、しばらくしたら可愛らしい家にたどり着いた。
中からおばあさんが出てきて、羊の子を説撫でている。
家族かな?
場面が変わる
湖の側にいた少女の横の気が突然木っ端みじんになった
場面が変わる
少女が見知らぬ美少年なのか美少女にガクガク揺さぶられている
少女の顔は紫色で口からは泡を吹いている
具合の悪い人をそんなに揺らしたらダメじゃないかな?
ん?この夢前にも見たことあるのでは?
ーーーーー
目が覚めた夢を見た気がする。何となくだけど前にも見たことあるんじゃないかな?って思う、はっきりとは覚えてないけど以前見た夢はハトが出てきた。今回はハトと私に似た少女が出てきた夢だ。
同じ夢を見るって、夢の中に出てきた少女に何か起こるのだろうか?それとも私が心理的になにか追い詰められてるのだろうか?同じ夢ばかり見るなんて少しおかしい気がする。
逃亡生活で疲れてしまったのかな?
二人より早く起きてしまったようで、護衛騎士が侍女様を抱きしめて寝てるのを見てしまった。羨ましいな、私も誰かを大事にしたいし、大事にされたい。
いつか結婚して子供を産み育てるという、この世界では当たり前のことが当たり前ではなくなってしまった自分の人生を少し振り返る。
過去は変えられないし未来も解らないけど、今の状態だと確実に好きな人ができても恋が実ることは無いだろう。
普通の人生を送るつもりだったのに、ずぼらすぎて楽したいという考えから収納巾着を作ったらこんなことになってしまった。
少し人に自慢したかったのもある、だって凄い発明じゃない?作るまでに相当頑張ったし誰かに褒めてもらいたかった。
でも今はそんなことを考えた自分は大失敗だったなと反省している。楽に暮らしたいならひっそりとやるべきだったんだと。
侍女様が起きるまでぼーっと何を考えるでもなく、漠然と自分の心と向き合っていた。その間にもろこし爆弾は2個平らげた。美味しかった。
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