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だらだら生きるテイマーのお話  作者: めぇー
第3章
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夢で

【side レオン】


サラと偶然また森の中で出会いとても嬉しかった。まぁ狙ってこの辺だろうなとあたりをつけて居たわけなんだけど。


冒険者ギルドに早くに行って採集依頼を見て回った!そして、何個かあたりを付けてここを選んだってわけだ。僕もついでに採集依頼を受けようと思って手に取ろうとすると、オオカミがグイっと服の裾を引っ張ってくる。同じ依頼を取ろうとするとまたグイっと引っ張ってくる、なんでだ?と思って別の物を手に取ろうとすると服のすそをまたグイっと引っ張ってくる。


若しかしてと思って、別のを手にするとグイっと引っ張らない、この採集依頼を受けると会えるのか?と聞くと、珍しくふふーんという顔をしているからこの採集依頼を受けてみたんだ。


そして今日のオオカミは本当に輝いていていい動きをしてくれた、何となくこっちに行こうぜ?みたいな感じで先導してくれたし、なんなら行ったその先にはハトが居た。僕は確信したね、動物たちが僕とサラとの縁結びをしてくれていると!女神さまの計らいに間違い無いと。


しばらく薬草をとってたんだけど、なかなかこなかった。人生で一番長く感じた時間でもある。オオカミに本当にくるのか?って何回も聞いたけど、お前はいいから黙って採集しとけという顔で、フスーと何回もため息をつかれた。そんなオオカミが突然反応したからその先を見てみると、サラがばつの悪そうな顔をして立っている。


あぁーサラは僕のことが好きではないんだなと思うとても分かりやすい表情だった、胸が少し痛い。けど口からスルっと出てきた言葉は


「こんにちは!運命の人!今日も会えるとは思いませんでした!僕と結婚しませんか?」


あぁ!何やってんだ自分は!何を言ってしまったんだ!と思ったけど、口から出てしまった言葉は取り消せない。その場でみんながため息をついていた、オオカミもハトも・・・


そして無言で兄と一緒にその場を去ろうとするサラに胸が更に痛い感じがしたけどそんなことは言っておれない。僕は追いかけた。だってここで会ったのに積極的に行かなくてどうするんだ?次はいつ会えるかもわからないんだよ?


後ろから追いかけながら一生懸命声をかけても振り返ってもらえない。また僕は失敗してしまったんだと思うけどしょうがないじゃないか、女性を口説くなんてことしたことがないから。


僕は今朝寝起きざまに夢をみた、前世の僕とサラのことを。思い出したというより女神さまが見せてくれたのだろう、哀れな僕を助けるために、次こそはサラを守るために。


前世の僕はサラと出会ってから生活がすべて変わってしまった、ずーっとのぞき見していたのにはさすがの自分でも引いたけど・・・でも気持ちはわかる。


公爵家に生まれた僕は嫡男ではなく三男だったので自由気ままに生きていた。しかも隠れスキルがあったからあまり知られていない部署の要職に就くことも簡単だった。これといって仕事も無く、絵を描いたり美術を鑑賞したり日がな一日を暇を持て余しながら生きていた。


僕は公爵家の出だから嫡男でなくても舞踏会にいけば多くの令嬢に囲まれていたし、夜のお相手に困ることもなかった。本当に気楽な生活を送っていた。程よく生きて程よく遊ぶ、公爵家ゆえに常軌を逸しなければとがめられることが無いことも解っていて、とても要領よく生きていたんだ。


そんなある日、街を視察してくると言ってぶらぶらと歩いて時間をつぶしていたら黄金に輝く何かが突如目の前に現れた。あれはなんなんだ?と少しパニックになるも、他の人は見えていないのか、誰も驚いたり叫び声をあげたりしていない。私だけに見える光?とうとう暇すぎて自分がおかしくなってしまったのかと思った。


だんだんと近づいてくる光に少し恐怖を感じながらも、よく見てみると光の中には少女がいた。私は雷に打たれたかのようにその場から動けなくなってしまった。どの位時間がたったのかも解らないほど立ち尽くしていたら、数少ない部下が私を探しに来てくれたようで、ようやく我に返ったんだった。


部下曰く突っ立ってる変な人が居たからすぐわかって良かったと言っていた。変に悪目立ちしてしまったようだ、こんど部下には言葉の使い方を教えようと思うし、次の会食の時には何か1つ芸をさせようと思った。


もう一度その少女に会いたくて、毎日街へ視察へ行くといってカフェでお茶をしながらずーっと外を見ていたら、また光り輝く物体が現れた。本当はちゃんとどんな人なのか、本当に人間なのか観察したいと思って居たんだ、そのあとは隠れスキルを使ってずーっと彼女を監視・・・見守り続けた。


2度目に肉眼で見た彼女はとても浮かない顔をしていた。何か彼女を困らせるようなことがあったのだろうか?慌てて家の者に調べさせた。どうやら協会に行った後に変人扱いされて職も失ってしまった時に遭遇したらしい。


私はなぜ職を失ったのか何となくは察したが、確たる証拠はないため、引き続き監視・・・・見守り続けた。


偶然にも3回目の街ですれ違いの時に、とうとう本物を前にして抑えが聞かなくなってしまい、話しかけてしまった。絵のモデルになってくれないか?と


我ながら出だしは良かったのではないか?と思ったが、すげなく断られてしまった。


今まで女性を口説いたことなどなかったので、どうしてよいかわからなくて、何度も同じ口説き文句言い続けた。モデルになってほしいと。サラ本人はただのモデルになってほしいと言う意味に捉えていたようだが、私にとっては精一杯の口説き文句だった。何回言っただろうか?


ようやく良い返事をもらえてモデルになってくれた時は天にも昇る思いで、モデルになってくれるという当日にはサラを飽きさせないために、道化や楽団を隣の部屋に待機させておいたが、サラを目に焼き付けようと見た瞬間目が離せなくなり、気づけば夕方になっていてモデルの時間が終わってしまった。


私は一体何をしていたのか・・・きづけば時間が過ぎていて彼女を1本の線すら書いてなかった、ひたすら見つめていたようで記憶にない。記憶にないなんてなんてもったいないことを!


折角用意していたおもてなしも一切できずに、道化と楽団の方にはお帰り頂いた。それだけ自分にとっては濃い時間だったけど、次のモデルを頼んだ時は、とても苦い顔をしてお断りされた。


平民レオンとして森で更にあった時にサラが見つかったと言う苦い顔をしていたのとそっくりだった。サラは姿かたち声も前世のサラと全く一緒だった。


あとは皆さんが知っての通り、僕は生きる気力がなくなり、ご飯を食べても戻してしまい、どんどんやせ細っていったが、父上と母上はとにかく生きて欲しいと何回も懇願んされた。特に母上が泣いてるのは少しだけ心が動かされた。兄たちも毎日必ず私の部屋へ訪れてくれて、毎日何があったかこんな美味しい物があった、今度一緒に食べに行こうと言葉をかけてくれたけど、サラを失った悲しみに以上に心を動かされるものは何もなかった。


兄のお嫁さんと姪っ子甥っ子たちも頻繁に部屋に訪れてくれていた、少しでも元気になればと、姪っ子甥っ子は状況がわからないなかとても大人しくはしていたが、少しでも時間がたてば大暴れしていたな。あれを見るのは楽しかった。


そしてサラが無くなってから3年後、私は死んでしまった。もっと早くに死んでいたであろうに、公爵家の財力と人脈をもってして生きながらえていたのだろう。


そして、僕は生まれ変わった。こんな長い夢を1回で見せてくる女神様はどうなの?と思わなくもないが、おかげさまでなぜサラにあれだけ心が揺さぶられたのか理解した。


そしてハト、あのハトはサラと一緒に居たハトだった。あのハトは何年生きているんだ?あとでハトに聞いてみようと思う。


本日もお読みいただきありがとうございます


面白いな、続きが気になって思った方は

イイネ ☆☆☆☆☆ ブックマークいただけるとうれしいです

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