ご飯だいのししだ!
だから、親がこちらを目視しているけど、じりじりと後ろに下がる。私はこれっぽっちもあなた方を襲いません!という勢いでじりじりと下がり、親イノシシの警戒範囲内から出ようしていたのに・・・ラロがなぜか目の前にぴょんと飛び出て、真っ赤になりながらやる気になっている。
やめて!今戦う時じゃないからラロやめて!
ーーーーーーーー
「ラロ!こっちにおいで!ラロ!」
と、小声で呼ぶもやる気満々のラロは戻ってくる気配がない・・・これは非常にまずい、ラロはじりじりと前に進んでいく、私も捕まえようとじりじりと手を出しながらラロに近づいていく。
「ラロ!ラロ!こっちにおいで、干し肉あげるから!」
ぷるんと反応するラロ
「干し肉あっちで食べよう、ね?ラロこっちにおいで」
小声で話しかけ続ける。ラロが迷い始めたようで赤色がだんだん薄くなってきた。もう一押しだなと思い声をかけ続ける
「ラロたまご塩スープもあげるから、みんなで一緒に食べよう?」
ラロがくるりと振り向き、ぴょーんと飛んできた。それをみたイノシシが突進してくる、違うって!そうじゃないって!攻撃したかったわけじゃないんだって!あー誤解されたかもー
ごめん刺激を与えてごめん!と思いながら光魔法フラッシュを浴びせて一瞬目くらましをしてその場を去ろうとしたら、パァーンと派手な音がした。
こ、この音は木が木っ端みじんになった音に似ている、似ているけど違う・・・ま、まさか・・・まさかね?振り返ると親イノシシがどこにもいない、そうどこにもいないのだ、残されたウリ坊達が平和そうに過ごしている・・・
これが固まるということなのかというぐらい、どのくらい時間がたったのかわからないけどその場で立ち尽くしていたら、フェリシアがはにかみながら視界の端にチラチラと写る。
ふぅーーーーーーとりあえず息をしよう。
どうするかな、私の後を付いてくるのなら、私の希望などはちゃんと伝えておかないといけないと思うけど、それってもう旅のお供じゃない?もう認めてしまった方がいいのかな、洗脳・・・いや教育したほうがいいのかもしれない。
ラロもなぜ突然前に出て行ったのか気になる、攻撃を受けるのは強そうだけど、フェリシアにぼこぼこにされてたから、でも攻撃するのは得意じゃないよねえ?得意なのかな?
これは要話し合いですね。
「ラロ、フェリシアこっちにきてくれる、お話があります」
ラロもフェリシアも嬉しそうに近寄ってくる。どう話を切り出そうか迷うけど、褒めて落とすか、落としてから褒めるか・・・うーーーん
「あのね、まずラロに聞きたいことがあるんだけど、なんで前に出て行ったの?やれそうな気がした?実際やれたの?それはわからない?じゃぁこれはお願いなんだけど、次からは私が号令かけた時だけ前に出てくれる?それじゃぁ守れない?」
う、うん・・・そうか・・・守ってくれようとしていたのか・・・
「守ってくれてありがとう、ただねあのいのししには子供がいたでしょ?親が居なくなっちゃうと死んじゃうだけなんだよね、それは私が望んで無いの。動物の子供は育って大人になってほしいの、だからあの場で私は逃げようとしていた、親いのししに子供を育ててほしくってね。ラロの気持ちはすっごく嬉しい守ってくれて本当にありがとう。戦う事より逃げることの方が大事な時もあるの、だから次からは私がおいでって言ったらすぐ来てもらえるともっともっと嬉しいな!」
ぷるんぷるんと震えてるラロ、ちゃんと理解してくれたみたいで良かった。次注意することがあるとすれば、この約束を守らなかった時か、またやらかしたときだろう。その時にまた考えればよい。
そしてフェリシアを見る、少し唖然とした顔をしている、おそらく無条件で褒められると思って居たのだろう。ラロに注意しているのを見て意図は解ってるみたい、続けてフェリシアにも話しかける。
「フェリシア、あのね、なんでいのししを木っ端みじんにしてしまったの?」
目に涙をため始めた、泣くのかぁ・・・めんどく・・・いやどうやってフォローするかなぁ。水球を出してあげると、ガボって入ってきた。何回見ても面白い。
「あの時はサラ様が襲われると思って」
「確かにあの瞬間私が襲われそうになったね。助けてくれてありがとう」
笑顔が見える、しかしここからが大事な所。
「でもね、跡形もなく木っ端みじんにしてしまうと、お肉取れないんだ」
「・・・・・・・・」
「それにね、うり坊っていってあそこに子供たちがいるでしょ?あの子たちは誰が育てるの?小さい子達だから誰かがご飯の取り方とか、探し方とか教えなきゃいけないんだよ?親が居なくなったらこの子たちはご飯食べて行けると思う?」
「いえ・・・」
「だから私は後ろに下がって親いのししに無害だと証明したかった、けど親いのししが攻撃的になるような行動をとってしまったから、親いのししが危険だと思って、私たちを攻撃してきた。フェリシアがとった行動は良いことだと思う。でもねどうせ狩るなら、お肉食べれるようにしないと、ただ死ぬだけだとかわいそうじゃない?」
「はい・・・」
なぜかフェリシアが引いてる顔をしているけど、なんでだろう?お肉大事だよ?
「だからね、次からはぎりぎりまで攻撃はしないで欲しい、それと木っ端みじんになるような攻撃もこれからは禁止。フェリシアは水魔法が使えるって言ってたでしょ?水魔法の攻撃方法は何種類あるの?」
「無いです」
「なんで?」
「ざばーってなっちゃってあまり使えないんです」
繊細なコントロールが難しいのか・・・あの石の威力を見るとそんな気もするねぇ・・・
「私がこれから教える魔法を使えるようになって欲しい、それと水球も自分で出せるようになること、私はこれから水球を出さないようにするからね。しゃべりたいこと伝えたいことがあったら、ちゃんと自分が言いたい時に言いたいタイミングで言えるようにしないとだめだよ。水球無くても喋れるようになるのもいいけど、それは自分が得意な方で出来るようになってね」
「はいわかりました!」
とっても嬉しそうな顔をしている、私が予言の子にならないという意志を押し付けるのも良くないなと少し思いなおす。お互いのそれぞれの思惑が違うしね。仲良くやれるのに越したことはない。
さっそく水球を消してフェリシアに自分で出してみるように言って見る。なんだかうんうんうーんって言ってるけど、何がそんなに難しいのか正直わからないんだけど、たぁー!という掛け声と同時に水球ができた。
直径10mってところかな・・・これは先が大変そう。フェリシア本人はとても嬉しそうにしているのがほほえましい。
「すごいね!すぐできたね!すごいすごい!この調子で次はどんどん小さくしていくようにしようね!あとは自分で工夫するんだよ、口元だけ水で覆っても喋れるようになるかもしれないし、色々自分で工夫して楽しんで新しい発見が出来るようになるといいね」
「はい!私もやればできるんだって!わかりました!サラ様が教えてくれたおかげです、ありがとうございます!」
水球が大きいからか心なしか声が大きい気がしてる。そして水魔法を解除する時に、ざばーーーってなった。野営してる時は火が消えちゃうから遠くで魔法解除するように伝える。
そして残るは、私の足元をうろうろしているうり坊達だ・・・どうするかな?親が居ないから次の親は私と決めたようだ、たくましい気がする。どうしようかなーと考えていたら、後ろから忍び寄ってきたラロに、3匹はあっという間につかまってしまい消化されてしまった・・・
食べられてしまったのか?バージョンアップされたのか?
しばらくまってるとポンと音がしてうり坊が現れた
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