第170話 ドリーさんへサプライズ
え?大丈夫なの?何日か後に来ればいいの?どうすれば?と思って居たら王太子に少し待つようにと言われて、椅子の上にあるものをどけて座っていたら、30分ぐらいしたら腹違いの弟が下りてきて、図案を3つも渡してくれた。
えっどれもこれも素敵なんだけど、逆にどれにしようか迷うなどうしよう。
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1つ目は魔猛禽っぽい子が、人の頭のような場所に立ち人の頭を激しくつついたのかくちばしから何やら数滴垂れてるような強者の風格に、羽を広げて自分を主張している図案。
毅然としているし何より人に屈しない感じでとてもカッコイイ。
2つ目は白骨死体の上空で2羽の魔猛禽が戦ってるような図案
魔猛禽の強さを表していてとてもかっこいいのだけど、仲間割れしそうな気がして私的にはちょっとなーって感じ。でも個人で持つ分には全然あり、かっこい。商売する時に掲げるのも悪くなさそうな、商売敵には勝てそうな感じがしていい。
3個目は今まさに獲物を捕獲しようとしている魔猛禽の図案
これは純粋にカッコイイ。獲物を捕らえる瞬間に足が前に出てくるような図案が今まさに見えない所に獲物が居る躍動感があふれていていい。
この図案は一度持って帰ってみんなに見せてみようかな、気に入った人がいればその人が使えばいいし。鳥を別の動物に変えてもらって同じような感じの図案もいいかもしれない。
ほんの少し楽しくなってきた!
「ありがとうございます!もし焼きゴテが出来たらお見せ参りますね」
「不要」
と言って去って行ってしまった。天才と呼ばれる一部の人間には人とのコミュニケーションがとりずらい人が居るけど、まさにその典型的な人なのかな・・・
「ここにはいつでも来て良いぞ、鍵は開いてるけど安全な場所となっている」
それってあれか、護衛とか影とかなんだかんだでいるんだろうな?
そういうことなら遠慮なく、図案が必要な時は一つの場所として記憶にとどめておこう。その前に場所がうろ覚えなんだけどね・・・
「すみません屋台広場に出たいのですが、道を教えてもらえますか?」
「いいぞ」
と言って来た時と同じように王太子が私の前を歩き始める。戻る時は直接広場に向かったのでわかりやすかった。もしサドル屋さんにもどったらきっと道を覚えられなかったと思うから、この道をしっかりと覚えてもどるようにした。
お礼を言って別れようとしたけど、ドリーさんの屋台にまで付いてきそうな勢いだから、一旦カフェに行くことにした。
正直ここまで付いて来れられるとは思わなかったし、困る。
カフェに入り、いつものパンケーキを頼み今日はリンゴジュースを頼んだ。このカフェの何がいいって、果物ジュースが果肉がしっかりと味わえて食べ応えがある所だったりする。
他のお店は綺麗にすりつぶされていてスムージーのようになっていて、ちょっと物足りなかった。
だからこのカフェは私のお気に入りの一つなんだけど、王太子と来たのは少し失敗したかなって思い始めたり・・・
特に何か話すと言うことも無く無言でカフェでお茶をする。この無言が結構きつい・・・しかし、王太子の方から
「今日は楽しかった、また会いたいものだ」
と言って私のカフェ代もだして去って行ってくれた。よかった・・・いろいろと考えすぎて身動き取れないただのまじめな人に感じられた。王太子としてではなく普通に人として接するのはありかもしれない、けどもうちょっとお気楽に過ごせる人がいいな!
私も早くお婿さんを見つけたいものだ。普通の人がいい、ストーカーや粘着質な人ではなく、依存しない普通の人だ・・・そんなに難しいことなんだろうか?
ドリーさんの屋台に向かうと丁度おにぎりが全部うれたところだったようだ。いつもよりだいぶ早く売りきれてるようで良かったなと思う。
ドリーさんがなぜか最後の方がみんなが10個買って言ったと言う。聞かなかったことにしようかな。なにがしかの意図を感じるけど、兄を見てみると何とも思ってないような顔をしているので、うん、兄は当てにならないし?
兎に角だ、もう私たちの拠点に移動しようということになり、ドリーさんには夕飯を作る場所が無いのでなにかおかずになる物を買ってもらってから一緒に向かうことにした。
サドルを受け取った時点で魔クマを1頭だけではなく3頭ともこちらのいつも預けられてる場所に来るようにお願いしておいたので、早速サドルを試せるなとおもうとわくわくする。
買い物も終わりスイーツも買い終わり、他に寝具など必要ないか?と聞かれたので特に必要はないかな?と答えておく。今思うとかけ布団とかないのにあの場所では普通に快適に過ごせるなぁ?
女神さまは偉大ということ?
早速町の外に出るといつも魔クマを預かってくれる人が笑顔だけど目が笑ってない状態で突然魔クマが1匹現れたと思ったら、さっき2匹も同時にきたんだけどどおゆうことなんだ?と聞かれたので、サドルが出来たから試し乗りしたいからいつもの場所に来るようにお願いしただけだと伝えたら。
普通はそんなことできないはずだとかブツブツ言い始めたので、あれ?何かやっちゃいけないことやったかな?と思ったけど、何事も無かったかのように魔クマを受け取ってサドルをつけた。
サドルを付ける行為もすんなりいって、さぁ魔クマに乗って帰ろう!という段階になったら、ドリーさんがとてもじゃないけど魔クマには乗れない、始めてみた魔クマと意外と高い位置に恐怖を感じてしまったようで、私と一緒に乗りたいと言い始めたので一緒に乗ることにしたんだけど・・・
私が後ろでドリーさんが前に乗る形にしたんだけど、私の腕だとうまくドリーさんをホールドできずに、歩くのと変わらない速度になってしまっていたので、思い切ってドリーさんに兄さんと一緒に乗ったらもうちょっと早く住んでる場所に到着するんだけどという提案をしてみたら。
ほんの少しドリーさんの顔が赤くなりながら
「とんでもないです!そんな恥ずかしいことできません!」
なんて言うもんだからこれは・・・いけるな?今日は私との相乗りでいいけど、緑の地に着いたらなるべく兄と一緒になれるようなシチュエーションを作らないと!帰りは是非とも一緒に乗ってもらおうと、ひそかに頭の中で考えてニヤニヤしてしまった。
純粋に生きてる年数?だけだと私の方が歳下になるけど、記憶がある範囲内だと確実に私の方が年上になるんだけど、もし家族になったらドリーさんと呼ぶかお姉さんと呼ぶか迷うな・・・って今から考えてしまうね。
父と母も今どのへんなのか気になる所で、よく考えてみると頼んでいるレオンをしめだしてるわけで・・・両親大丈夫かな心配になる、国境近くまで迎えに行こうかな?どうしようかな?
それも含めて少し侍女様と話したいな。
色々考えていたら少し魔クマに慣れてきたドリーさんがもうちょっと早く走っても大丈夫そうです!というから、今の速度より2倍ぐらいの速さで魔クマのキラーちゃんに頼んでおく。
他の魔クマ2匹も名前を考えないとなぁ?ほんの少し走るような感じというより魔クマにとっては早歩きの速度で緑の地にたどり着いた。
外側から見ると何もなく、ただ昨日の大工さんが置いて行った木材だけが取り残されている殺風景な軽視だったのが、とある境目に入るとあたりが緑となった瞬間ドリーさんの
「うわっ!びっくりした!」
という声にとても満足してしまった。悪いサプライズじゃないでしょ?突然現れたドリーさんに侍女様と護衛騎士がほんの少しびっくりしていたようだけど、私が目配せでこの二人くっつけるわよ!とサインを送れば。
二人とも満面の笑顔に変わりドリーさんを受け入れてくれた。まだ付与の仕方を変えてはいないのだけど、二人がドリーさんのことを受け入れてくれてるのを私はとても嬉しく思った。
兄にドリーさんの案内を頼み私と侍女様と護衛騎士で円陣を組んで話し合いを始める。
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