名付けのセンス
これはさっそくいろいろと聞いて私もその加護とやらを付与できるかできるか試してみなくてはいけない!そこまで刺繍は得意では無いけど、好きな事ってあるじゃない?下手くそでも加護が付くのか聞いてみようかな?
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「加護ってどんな作用があるんですか?」
「そんらぁ~その人に身の危険が起こったときに発動する加護だねぇ。身代わりになってくれたり、魔物に襲われても1回は生き残れる程度の加護みたいだね。」
日本でおお祓いの日に使われる形代みたいな物かな?それの確実に効くやつなのだろう。それはいいね、自分用に何個か作りたいな、この先攻撃に強い魔物をテイムしたいし、魔クマのように突然襲われるとも限らないし、テイムした子達にも持たせたいしね。
「おばあさんは何を作って売ってるのでしょうか?」
「あんらぁ~私はハンカチに刺繍をして売ってるよ、定期的に騎士団の人が買いに来るんだよ」
騎士団!話が大きくなってきた。
「ハンカチ1枚のお値段は?」
にっこり笑うおばあさん。値段を言わない、私の喉がゴクリと鳴る
「1枚金貨超えますか?」
「あんらぁ~命助かるんだからねぇ」
これはっ、マヨネーズどころじゃない!小物作るの好きだし!私は刺繍家になるっ
「私はそんなに刺繍が得意では無いのですが、私が作っても加護がつくのでしょうか?」
「あんらぁ~つくと思うよ、フローラに選ばれたんだろう?」
「どおゆうことですか?」
「あんらぁ~フローラはねぇ人間を選んでるよ、誰でもいいってわけじゃない。フローラの羊毛はね、フローラが選んだ人間以外が利用しても加護がつかないんだよ。不思議だねぇ」
「私は選ばれたってことですか?」
「あんらぁ~自覚なかったのかね」
「ないですね・・・・・」
「あんらぁ~なら自信をお持ち、フローラに選ばれたってだけで名誉なことだよ、これもきっとフローラが私の技術をサラさんに引き継げといってるんだろう。色々教えてあげるから、しばらくここに泊っていきなさい」
特別急ぐこともないし、ここでいろいろ教えてもらった方が、おお金持ちになれそうだし泊っていこう。
「よろしくお願いします!」
「あんらぁ~では最初にやってもらうことはねぇ、フローラの毛をこのブラシで梳かしてもらおうかね」
「はい!」
魔羊さんの毛を梳かし始める。全然櫛が通らな。なんだこのもこもこは、勝てる未来が全く見えない。強く梳かすとものすごくにらんでくる、ごめん・・・でも梳けないんだもん!このくるくるキューティクル無理でしょ!終わりが見えないよ!
「あんらぁ~櫛が入って行かないの?フローラの毛全部きれいに梳かさないと次の段階に行けないよ?」
「コツとかあるんですかね?」
「あんらぁ~こうやって普通に梳かすだけだよ」
ブラシを持ったおばあさんの背中に不動明王が見えた、すごかった。ものすごい無の表情をしている魔羊さんも微動だにせず、梳かされるままに身を任せていた。痛くないのか?あんなに力強く梳かれてるのに。身体もぐいーん引っ張られて動いちゃってるのに。
でもおばあさんの不動明王のごとく一心不乱にブラシを梳かし終わった後には、ほわっほわの、きゅるんきゅるんの、ふぁっさふぁさの、もうとにかくこの世のすべてのほわほわと艶をを集めたようなとんでもない美しい毛並みがそこにはあった。
目の前の広がる魔羊さんの羊毛、飛び込みたい。
「あんら~飛び込んじゃだめだよ~最初からになるよ」
危なかった、あれをまた最初からやるなんてそれは無理、言ってくれて助かった。
「あんら~あんたは全部顔にでるねぇ」
恥ずかしい・・・・・
「あんら~言葉を使わなくても、会話できるねぇ~」
もうやめて・・・でも、楽しそうにしているおばあさんを見てると悪い気はしない、ここで一人で過ごすって、憧れのスローライフだけど話し相手が居ないとさすがにね。1人はいいけど本当の孤独は無理だよね。
「毛を梳かし終わった後はどうするんですか?」
「この庭にある草や花を全部食べてもらおうかねぇ、そうすると栄養がいきわたって毛艶がよくなるんだよ、ここの庭に植えてるのは全部フローラが持ってきた草と花を植えてるんだよ」
魔羊さん好き勝手やってる、それを受け入れてるおばあさんも心が広い。魔羊さんと暮らすとこんな庭になるのか、悪くないなむしろ素敵。今後の参考の為に、どんな草花が植えてあるのか聞いてみよう。
植わってる花と草は
ラベンダー
カモミール
セージ
カミツレ
ジキタリス
後はもう覚えるのを辞めた。沢山ありすぎる、そしてジキタリスって毒があるお花ではなかったっけ?こちらの世界では毒が無いのかな?今度試してみよう解毒薬を持って、即死するような毒じゃなかったから行けると思う、何事もチャレンジだ。
日本で言うところの薬草と言われるものが多く植わってるイメージ。そして木は
リンゴ
ブルーベリー
オレンジ
など食べれるものが植わってるらしい。フルーツの木も魔羊さんが種を持ってきたのを植えたら、あっという間に育ったとか。普通育って実を取れるようになるのに何年もかかるのに、翌年にはとれるようになったとか。
この庭に咲いてる花たちも、季節関係なく全部めちゃくちゃに咲いている、魔羊さんが持ってきたから特殊な種なのだろうと、おばあさんも考えるのを止めて、1年中咲いてるお花を楽しく眺めてるそうだ。
1年中お花が咲いてるなんて、それはとっても素敵なお庭じゃないです?これは私の理想のガーデンの為に、魔羊さんにはずーっと一緒に居てもらいたいな。テイム解除するの辞めようかなと、本気で思い始めた。
絆を強くするために、名前つけちゃうか、フローラでいっかオスみたいだけど。
「魔羊さん、魔羊さんの名前はフローラ!今日からよろしくねフローラ!」
「ん”ん”ん”ん”ん”め”ぇー」
嫌なんだ・・・
「じゃぁ・・・は?」
「ん”ん”ん”め”ぇー」
えぇ・・・・・こだわり強いじゃん
「うーん、ムートンなんてどお?」
「め”ぇめ”ぇめ”ぇめ”ぇ」
そんなに怒らなくていいじゃん、一生懸命考えてるんだよこれでも。
「じゃぁ、ひつじって名前は?」
「ん”めっ」
だめか
ホワイト
ブラック
シープ
めぇめぇ
めぇ
ふわりー
ふわっふわ
わっふー
へありー
艶ヘアー
カール
カーリー
くるんくるん
くるん
くるり
くりくり
栗
モッスィー
モス
もっち
もち
さぁもうこれ以上は良い名づけが出てこないよ!どれにする!?この中から決めて!と魔羊さんにつめよると。少し考え込んでる魔羊さん。
「めぇめぇ・・・めぇ?」
もうひとひねり欲しいだと・・・この中からもうひとひねりするとなると
もっちぃー
はどう?白いし毛がくるんくるんで真っ白だし、餅みたいだし。
「め”め”っ」
え?まだダメなの?うーん
ノワール
チェルノ
シュバルツ
シュワちゃん
クロウ
からす
もうこれ以上は無理、私に素敵な名前を付けるセンスなんて無い。
「めぇめぇめぇめぇええええ」
もうフローラでいいと言われた。ごめんねセンス無くって。
魔羊:もっと強そうでかっこいい名前が良かったけど、このマスターには期待できないね
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