第166話 囲い込み?
キラーちゃんを起こし、昨日まで赤ちゃんだった2頭の魔クマもついてくるように言う。残念ながらまだ2頭には乗れないけど、街道を走る姿を見た通りすがりの人達が、テイムされている子だと解ってはいても、顔がだいぶ引き継いって居るのを横目で見ながら王都に着いた。
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魔クマ3匹と馬2頭を連れた御一行が王都の外にたどり着き一瞬ざわつくも、テイムされている白とピンク色を見てすぐさま対応してくれた。
王都の中に入れるらしいけど、魔クマは空気を読んで外に預けるようにしていたのでいつもの人がすぐ対応してくれたんだけど、何とも言えない顔をして対応してくれている。
「魔クマを2匹もつかまえたんで?」
うん・・・生まれたかな・・・でも
「そうなんです!運が良かったんですよー」
嘘も方便とはまさにこのこと。生まれたなんて言ったらパニックになりかねないしね?ついでに聞いちゃおう。
「あの、魔鶏を売ってる人知りませんか?」
「魔鶏を売ってる人はいないよー卵取れるし庭に出しときゃ勝手に餌は食べてくれるし、魔鶏を手放す人はいないよ」
「それなら、魔鶏が生息してる場所知りませんか?」
「それなら少しは知ってる、不毛の地の向こう側と言事だけはわかってるけど、俺らにはそれ以上はわからねーなー」
その情報だけで十分だ、魔猛禽に頼んで探してもらおう。
王都に入り真っ先にドリーさんの場所に向かいながらカカオドリンクを買って、カカオの板を買って、フルーツなども買いながら進んでいく。
ドリーさんが見えてきた!今日も元気に商売しているみたい。こんにちはと声をかけて、早速収穫できた稲穂を見せる。
「うわーすごいですね!とてもおいしそうです!」
そうなのかな?稲穂だけでは私はおいしそうには見えないと言うか・・・
「ドリーさん、私この先脱穀とか種もみのやり方知らないんです、ドリーさん教えてもらえますか?」
少し難しそうな顔をしているドリーさん。もしかして情報は無料では教えたくないとか・・・少し身構えてしまったけど
「私の場合農業スキルで思ったらパパっとできちゃうので、やり方私も解らないんですよね」
「えっ、稲持ってこちらに転移したんですよね?」
「うん、稲を植えるボランティアの最中だったから詳しくは・・・」
そういうことかぁなら
「稲が出来たらこのまま稲穂を持ってくればドリーさんが苗にしてくれる?」
「もちろんです!気になるのは二つに分かれてるのはなぜでしょう?」
水田と土で育てた経緯を話て、どっちが美味しかを、二つともちゃんと食べれるか確認して欲しいことを伝えると。
「なるほど、この量だとお茶碗1杯程度ですけど良いですかね?」
「もちろん!一緒に試食しましょう」
この量でお茶碗一杯かぁ・・・なかなかな量を植えないとだめなんだねぇ。お米って作るの大変だったんだねぇ。大変だろうと思って居たけど、思っていただけだったなぁ。
明日ドリーさんが作ってきてくれると言うのでお願いすることにした。私が初めてドリーさんに会った時より、お客様が増えた気がする。だからお邪魔にならない様に早々に退散することにした。
いつもの宿に行き、なぜか別の宿に行ってくれと頼まれる。貴族の方から頼まれてるそうで、断り切れなかったと言うじゃないの。
私達4人は無言になり、やってくれたな?という気持ちを無理やり押し込めて、指定された宿に向かう。
足取りが少し重たかった所に、付いた先にあった宿は宿ではなく立派な家があった。宿はどこなのか・・・
更に無言になる4人。最初の約束はどこに行ったんだ・・・関わらないって話はどうなったのよ・・・
少し考えたい、この家じゃない所で。
「カフェ行かない?」
みんなをカフェに誘ってほんのちょっと時間を稼ぎたいなと思ったのと、やっぱりこれは要相談だと思ったんだよね。だってもう完全にかかわってきてるじゃない?屁理屈を言われても納得行かないぐらい、これは酷いよ。
カフェについて私はパンケーキを頼んだ。ふわふわじゃない平べったいパンケーキ。前世のふわふわのパンケーキをこの世界で食べれたら、こんな小さな悩みなんて吹き飛ぶだろうか?
全員でひたすら無言で頼んだものを食べ、お茶を口にする。お茶を飲んだ後も椅子の背もたれに寄りかかり、ふぅーっと聞こえないため息を吐き出す。
どうしたもんかな・・・・・
「ものすごく関わってきてるよね、あの家どう思う?」
「王都用のお屋敷を用意されたのだと思います、まだ家の中に入って何も言われてないので確証は持てませんけど」
「ものすごい勢いで囲い込まれてるよな、そのうち約束なんて保護されると思うぞ、今の状況だけで保護されてるようなものだしな」
侍女様と護衛騎士の意見は私も同じだと思う。いやーこれ逃げられる?王都を拠点にしないでもっと近隣の村などに拠点を移した方がいいかなぁ?それか日帰りにするか。うん、日帰りが一番いいかもしれないね?
「貰える物は貰っておけばいいんじゃないかな?」
「え?」
「だって最初は宰相が一番の問題になりそうだなって感じだったけど、そんなの飛び越えて王太子だろ?しかも利用しようとしている感じじゃなくて、親切心に感じられるんだよな」
そうなんだよね・・・そこは何となく感じ取っていたんだ。ただの親切だって・・・でもそれが結果囲い込まれてることに繋がるなら本末転倒なんだよなぁ・・・
人の好意や親切は素直に受け取りたいけどねぇ、今回ばかりはなぁ・・・どうしようかなぁ・・・
「王都ではなく別の村に拠点を置くか、家をもらうか、日帰りにするか。この三択だと思うんだけど、みんなどれがいいと思う?」
「「「日帰りに」」」
全員の意見が一致したところで、本日は念のため2人1組で行動することにし、それぞれの買いたい物の調達をすることにした。
めんどくさいけどしょうがないよね。あの家に入ったらまたキラキラした人が居る可能性もあるし。待ってたよとか言いかねないし。
ドリーさんには悪いけど、今日は帰ることを伝えといて。私の本来の目的って・・・なんだったっけ・・・忘れたわ!
「お兄ちゃん私の今日の目的ってなんだったっけ?」
物凄く呆れたような顔をしているけど、妹大好きって顔を向けてくる。
「今日は稲をドリーさんに渡すのが目的だったんじゃないか?」
「それだけだったっけ?お兄ちゃんの用事は無いの?」
「俺の用事は申すんだから」
ドリーさんに会う事?それだけ?もっとデート誘うとか色々した方が良いんじゃないの?奥手なの?そんなはずはないよね?酔って勢いよくの人だし、なんだろ?本気なのでは?
思わずニヤっとしてしまったらその顔を兄に見られていたようで、頭をぐりぐりとされてしまった。兄には幸せになってもらいたい。
あっそうだった!サドルというか緑の地出身と言う目印を買う予定だったんだ。魔クマのサドルを買いにサドル屋さんに行く。場所が解らなかったので途中人にお店の位置を聞いて向かったら。
偶然侍女様達も居たので一緒に選ぶことにした。何色にするー?から始まり、マークも考えちゃう?と盛り上がり、男性陣は蚊帳の外と言う感じだったけど、マークを決めようと言う段階になり、護衛騎士が張り切りだし、馬と剣がいいだの、盾はどうだと言い始めたり、近衛兵や騎士じゃないんだから緑の地っぽい物を考えて欲しい!と言うと、大人しくなってしまった。自分の理想のマークがあったのだろう。
侍女様は魔クマのキラーちゃんが大木の側で寝そべってる姿はどうだと提案してくる。魔クマか・・・魔クマなのか・・・
兄は何でもいいかなと色選びの方を重要視しているみたいでひたすら色を見ている。結構いろんな色があって選ぶのに結構迷うね。
オーダーメイドもできると言う事なので、今回は色だけ決めてマークは後日考えることにして、魔クマのサドルを3個注文して、この場は解散となった。
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