第139話 とうとう出会ってしまった!!!
侍女様に昨日のご飯はどうしたの?って聞いたら、自由に自分で食べておいでと言ったらしい、なるほど・・・これは・・・返り血か・・・ちょっと印象がよくない。思わず笑ってしまった。
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侍女様に水魔法で魔クマを洗ってもらい、魔クマに乗る。兄は走っていくそうで、侍女様に教えてもらった宿で待ち合わせすることにした。
魔クマに乗って爽快に走っていくつもりだったけど、先ほど洗われた魔クマの毛についている水がビシャビシャかかってくる。私結構酷い目に合ってる気がしてきた・・・そして魔クマの走る速度が速くて、風圧がすごい。後ろにひっくり返りそうなので、ベタっと前かがみに張り付くことにした。
いつも侍女様の前に乗せてもらったけど、あの二人は風圧に負けてなかったからすごい!と少し感心してしまった。
門の側にいくと、動物をあづけられる場所があったので、そこに魔クマをお願いして門の中にはいる。真っ白な魔クマだったので手続きがとても簡単だった。いいね色の変るお薬良いよ!
簡単な荷物検査と住民板の確認をされてから無事に街にはいれたけど、毎回なぜかこの検査はドキドキしてしまうんだよね、悪いことしてないんだけどね?街の騎士隊を見ても実は少しどきどきしていたりする。
街に入り、侍女様お勧めの宿を取る。2部屋取るか1部屋にするか少し迷う。兄さんもそろそろねぇ?彼女の一人や二人ね?色々とチャンスが必要だと思うんだけどまぁもう少し落ち着いてからにしてもらおうかな。
いま彼女ができてもいろいろと秘密を共有するに値する人かわからないからね。兄さんはお酒でダメタイプっぽいし、両親と合流するまではおとなしくしていてもらおう。
宿屋のおかみさんに、兄が来たら部屋を教えてもらう様に頼む。
私は一足先に冒険者ギルドに向かって収納靴下の中にいる魔物たちを買い取りカウンターに持って行き、すべてを出してきた。特に驚かれることは無かったけど、何人かがギラついた目で私の事を見ていた気がする。
私はまだこの国の住民では無いので、コインの現物のみでしか支給がされないので、その金額を見ていたのだろう。昼前からこのギルドに居るような輩は大体そんなものだろう、そして私は女だ。なめられてもしょうがない見た目をしている。
私が討伐した魔物ではなく、誰かが討伐したものを、空間収納を持ってる私が売りに来たと勝手に誤解している可能性もある。
人を見かけで判断するような人達にはフラッシュをお見舞いするから問題なし!
冒険者ギルドを出ると案の定つけられてる気がするから、路地裏に入り光魔法を使って自分自身を見えなくして壁にべたりと張り付く。余計な争いごとはしたくないけど、なめられるのも好きじゃない。
全員路地裏に来たらフラッシュしようと思い待ってるけどなかなかこない。あれ?気のせいだったかなと思って居たら、反対側の路地の入口から2人ほど歩いてきたと思ったら、私が入ってきたところからも2人の男が入ってきた。
なっ!?挟み撃ち!?酷すぎない!?
でも向こうは私の事が見えてないから、4人でキョロキョロしたりお互いに歩み寄りそっちが逃がしたんだろうとか言いあってる、元から仲良しグループってかんじではないのだろう。
4人が合流し、私が入ってきた路地に向かう時に問答無用でフラッシュを叩きつける。
ぎゃあああああああああああああああああああ
という男4人の輩の悲鳴と共に、表の通りからも悲鳴が聞こえた。あっやっちゃったかも、ドレ国では新手の魔物って言われてたし!ここは姿を隠したまま逃走しようと逃げ出したけど、誰かにぶつかってしまった。
でも周りは大混乱していたので、問題はないだろう・・・謝るわけにもいかないしね、見えない様にしているのだからね。急いでその場を離れて、宿の部屋に駆け込んだ。
誰にも見られていないと思うけど、少しドキドキするね。ちょっとやり過ぎちゃったかな?まぁいっか早く兄さん来ないかな、もうしばらく時間が過ぎたら暇だしお昼の屋台でもめぐってみよう。
5分も待たずに暇を持て余したので、外に出る。
ホットチョコレートは絶対だけど、それは食後に買うとして。何か美味しそうなものないかなー屋台が沢山ある広場を過ぎて、ちょっとした安全な裏道などを歩いてみる、お宝と言う物はいつだってちょっと見えにくい所にあったりするしね。
そしてとても懐かしい匂いがした・・・
この匂いは・・・・・・・こ・・・・・この匂いは・・・・・・・・・・・・・
私知っているよ
血眼になって匂いの元をたどる。あった・・・私のソウルフード・・・おにぎりが
お、おにぎり・・・だよね?あなただよね?私の運命の恋人だよね?私の恋人はあなただよね。
えええええぇぇぇぇぇぇえええええ!?
お、お米!?お米があった!この世界にはお米があった!どうしてヴェルト国には来なかったの?なんで?どうして!?
いや、そんなことはどうでもいい!今!この!目の前に!おにぎりがある!それが重要なんだよ!
私は驚きのあまり座り込んでしまうかと思ったけど、がんばって屋台まで歩いていく。いい匂いだ・・・涙がでそうになる。
震える声で、おにぎりの種類を聞く。書いてあるけど読めないので・・・かっこつかないけど、今はそんなことどうでもいい。
「すみません、おにぎりに具材は何がありますか?」
「いらっしゃーい、具材は塩と砂糖と卵とお魚と焼きおにぎりの5種類になります」
ん?砂糖?なんかちょっと違うのが混じっている気がするけど、ほらウーロン茶や緑茶に砂糖を入れて飲む国もあると前世では聞いたことあるしまぁ・・・
私は塩、卵、お魚、焼きおにぎりの4個をかった。砂糖は買わない・・・
お店の目の前にあるベンチに座り、まずは塩おにぎりを一口・・・人生こんなにうれしいことってある?前世では当たり前に食べていたお米。おにぎりこそ至高!当たり前にあったものがこの世界にはない。絶望することはなかったけど、お米を一生食べれないのか・・・と思うと、少し、いやだいぶがっかりした。
でも!今!この手には!お米が!しかも!塩おにぎり!
この心の喜び、高鳴り、恋に落ちる時よりドキドキして心臓が飛び跳ねているこの感覚。
もう、どうしようもない!最高!幸せ!頑張って生きてきてよかった、リケーネ国にきてよかった。私は幸せを手にした、これで思い残すことは何もない!
いろいろな感情が絡まりあって美味しさのあまり、なつかしさのあまり、感動に打ち震えていたら。お店の人が慌てて大丈夫?って話しかけてくれた。
ん?大丈夫ですよ?なんで?と思っていたら、ハンカチをそーっと出されて
「号泣してるよ、鼻水もすごいし」
と言われて、自分がどれだけ泣いてるのかなんて気づいてもいなかったし、鼻水もすごくて少しはずかしかった・・・
「おいしいんです、これがたべだがったんでずぅ・・・」
と思わず本音を語れば
「もしかしてだけど、前世?とか?なんでもない変なこと言っちゃった忘れて」
「ありますうううううううううう!お姉さんも!?」
「もしかして!?同士!?えっえっえっじゃぁじゃぁ!」
お姉さんも感極まって泣き始めている。
「お姉さんもしかして転生?それとも転移?」
「えっそれもわかってくれるの!?私転移なの!だから一人なの!親切な人たちも沢山いたけど、小説のようにうまくいくわけ無くって!必死にここまで頑張ってきたんだけど、心が折れそうなの!」
って、二人して訳も分からずとにかく号泣している。苦労したんだろうな、私は転生だったけど、転移はきついだろう。
2人して抱き合ってワーワー一通り泣いてから思い出した。私には最強の食べ物を持っていることを。
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