第136話 再び
話終わったら兄と護衛騎士が見えてきたので、丁度きりが良かったなと。息が切れてる二人に対して、侍女様が説明をして、一杯お茶を飲んでから、魔クマと一緒に不毛の地に本格的に足を踏み入れることにした。
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「まず魔物を倒していきましょう、全部ではなくおおまかに目の前にいるのだけ」
みんなそれぞれ武器を持つ。私だけなんの武器も持っていない。今まで武器なんて持って戦ってた?不思議そうに頭をかしげていると
「雰囲気ですから」
と護衛騎士が言った。何事もスタイルから入るのはとても大事だよねわかるよ。そして魔クマも後ろの足で立ち上がってガオー!ってポーズをしている。
なにそれ可愛い。魔クマも私の指示が無いと戦えないとするなら、一応色々と言っておこうかな、私たちここに居る4人の言うことは必ず聞くこと。ご飯は人間を食べないこと。とりあえずはこの二つでいいよね。
不毛の地に入ってわかったことは、魔クマも私達人間も魔物に襲われないと言うことだ。激しい戦闘はなさそうだね、ここはもしかしたら狩して獲物を売るのにはちょうどいい場所なのでは?だって襲われないよねぇ?
まずは木の板っぽい所がある所に行って見る、そこまでの道のりの魔物を狩りしつつ進んだんだけど、やっぱり魔物は襲ってこなかった。試しになにもしないで横を通り過ぎてみたけど、何もしてこない。
一つ目の板を見つけて数字を見てみると56と書いてある。私がもらった数字は108なのでどちらに進めばいいのか・・・次に見える気の板を目指して歩いてみよう。次の数字は18と書いてある・・・みんなが無言になる。
魔クマは不毛の地に入ってからも平気そうにしているし、魔物とは違う様子だったので、魔猛禽の3羽を呼び寄せることにした。
3羽がやってきたので108と書かれてるこんな木の板を探して欲しいと頼む、場所はこの不毛の地一帯で、見つからなくてもお昼には私の元へ戻ってくるようにお願いする。
それと自分の様子がいつもと違うなおかしいなと思ったらすぐに戻ってくるように言う、具体的なことを言うと方向感覚がおかしくなったりとか、なんとなくぼーっとするなと少しでも感じたらだ。
小屋があると聞いていたけど、小屋らしきものは見当たらない。雨風で無くなってしまったのだろうか?
私達も適当に歩きながら数字のある板を探していく。もうさこれどの数字とか守らなくてもいいんじゃない?適当でいいんじゃない?でもここに家を建てるのは大変そうだなぁ?
試しに何か種を植えてスキルを使ってみようかな?種なかったわ・・・ファルコに何かの種を拾ってきてもらう様に頼む。ちゃんとした返事が返ってきたから今の所魔猛禽たちはここにいる魔物のようになってはいないのだろう、よかった。
しばらくしたら、ファルコが種を上空から落としてくれた、もう何個か持ってきてもらうように頼む。なるべく違う種が良いとお願いしておく。
そろそろお昼かなというころで、魔猛禽3羽が戻ってきた。108と言う板は見つけられなかったと言う。それならもうこの辺でいいでしょ!適当にやってしまおう!
ということで!魔猛禽3羽には引き種を探しに行ってもらう。そして!さっそくここに種を植えてみたいと思います!何ができるかなー!
まずは侍女様に水魔法で土地にたっぷり水を含んでもらう。どんどん吸収されて行く水。どんどん・・・どん・・・?
「これお水溜まってる?」
「正直言うと、お水をすった傍から元に戻ってるかのような土具合ですね?」
「お水でびたびたにならないってこと?」
「どうでしょう?長くやってみましょうかね?」
「うん、お水でビタビタになるか侍女様が飽きるまでお願いしていい?」
「いいですよ」
その間みんなで椅子を出してお昼を食べることにした。兄の椅子は無いから地面に座っている、可哀そうに今度作ってあげないとね。
それにしても本当に何も無い所だなぁ。地面に手を当てて土の状態を調べてみる、うーん何か特別に変だと言う感じもないし、ただの乾燥している土地ってかんじなんだよね。
ちょっと付与してみようかな?どんな付与しよう?
「ねぇ兄さん、やせた土地に付与するとしたら何を付与したほうが良いと思う?」
「土壌が豊かになるようなやつ?」
「豊穣って付与できるかな?」
やるだけやってみよう。侍女様が水をざばざばかけてる付近に、豊穣の付与をかけてみる。
おおおぉぉおおぉぉぉおぉぉぉぉおお!?
土に水が含み始めたぞ!侍女様も水を出すのを止めたので、しばらく観察してみると、なんとなーく、ほんの少し土がふかふかになったような気がする。
ちょっと掘り返してみようかなと思って何か硬い物が無いかなと探すけど何もない。察しの良い侍女様が短剣をわたしてくれたのでほじくり返してみる。
うん、なんとなーくだけど、良い土壌って感じの匂いとふくらみがする。ファルコが持ってきてくれた謎の種を植えてみる。成長スキルの出番ですよ!
成長しろ~成長しろ~とスキルを使うと、ぴょこんと芽が発芽した。これは行けるのでは!?
いつもの成長スキルより遅い気がするけど、成長し始めている。芽が出て5センチ、30センチと伸びてきて、そろそろ1本の大きな美しい木になろうとしたところで、ん?なんだか親近感が?
護衛騎士がズバンと木を切ってしまった・・・うん・・・また例のあの魔木だね、女性の形になって、あらゆる生き物を誘惑して食べしまうやつね・・・
何でこんなのばかり私は引き当ててしまうんだ!あれ?もしかしてこれは人間にも当てはまっているのでは・・・?そんなことを考えると現実になってしまうから、今はまだ考えてはいけない。
ごまかそうと思って
「えぇーい!女神さまの加護付与!豊穣の地!よみがえれー!」
ってすごい可愛らしく言って見たら、あたり一面緑の土地になった・・・どうしよう・・・
恐る恐る侍女様を見てみると、唖然としている。どうしようかな・・・
「き、きえろー!」
元の土地に戻った!うんうん
「うんうんじゃありませんよ!びっくりしすぎましたけど!」
「まさかこんなことになるとは思わなくって・・・面白半分冗談半分でやってみたら大きな結果を残してしまったようで・・・」
「はぁー前から疑問だったんですけど、まだローラは女神さまのいとし子なのかどうなのかという疑問があったのですが、これで確信しましたローラは今も女神さまのいとし子ですね!」
「えっやだ!女神さまの敷いたレールで生きるのは嫌だぁ!」
「大丈夫ですよ、まだ魔羊居ないですからね?魔羊が来たらって話ですよね?それにここはヴェルト国では無くて、リケーネ国です」
「た、たしかに?それもそうだよね?それならもう一度緑の大地にしちゃう?」
「そうですね、家一軒分ぐらいの大きさだけ緑にするってことはできますか?それで一晩過ごしてみましょう、皆さん異論はありませんね?」
私も兄も護衛騎士もうなずいている。兄が
「ローラさぁ、昔からそうゆうところあるよな?」
「え?どんな?」
「なんかえーい!ってやってやれちゃうみたいな」
「あー・・・言われてみると?」
「今思うと出来すぎだよな?女神さまの愛し子だと思うと納得するよ、それがおローラらしくていいんだけどな」
「慰めてくれてる?」
「え?そうなの?いやおローラはそういう子だから気にすんなってことを言いたかっただけなんだけど、まぁ慰めてるのか?でもローラは落ち込んでなさそうだし?慰めになるか?」
「うーんそれもそうだね?」
兄妹で昔と変わらずこうやって馬鹿みたいなやり取りをして笑ってた。やっぱり兄さんは好きだ!馬鹿だけど!兄を超えるような男性は現れない物か、私もたいがい兄馬鹿だけど、兄が完璧すぎて理想が高いことになってそう。
侍女様に言われた通りに、家1軒分の大きさで女神様付与をして土壌を豊かにし、緑の草が生えてくる。
無言の侍女様と護衛騎士。なんで?って思ってたら、もっと大きくって言われた・・・私の想像する家一軒分と、侍女様と護衛騎士の想像する家一軒分の範囲が違い過ぎて泣ける。
105話で出てきた魔木の再現をしてみました。
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