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だらだら生きるテイマーのお話  作者: めぇー
第6章
130/181

第130話 side 兄①

【side 兄】


身体が動かなくなってしまった。


ローラにご飯を食べさせてもらうのは嬉しい。可愛い妹が


「あーん」


とか言って食べさせてくれるのだ。俺は正直理想が高いと思う。妹があまりにも可愛すぎるし完璧だからだ。


前に付き合っていた彼女はとても性格が良かった。付き合いたいと言われて付き合っていたが、美人に酒場で誘われてついうっかりなことになり、子供ができたと言われてあっさりと別れてしまった。


あの時は凄い泣かれたけど、正直あまり心に響くことは無かった。あの時は妹が貴族に、お手打ちに会って亡くなったと知らされた後だから正直どうでもよかった。妹が生き返るならなんでもしただろう。


妹が生まれる前の夜、夢に綺麗な女の人が出てきて、俺はその知らない女の人に凄い自慢している夢を見た。


兄妹がが生まれるんだ!とっても楽しみなんだよ!弟かな?妹かな?すっごいかわいがるんだ、僕が守るんだ!


そんな内容だったと思う。その女の人はとてもニコニコしながら俺の話を聞いていてくれて、あの時の俺は調子にのって色々な事を話したと思う。


どんな大きな虫を捕まえたかとか、いたずらをしたとか、そんな子供独特の自慢話しを。


綺麗な女の人がそろそろ目が覚める時間ねと言って立ち上がり、最後に


「妹を大事に守ってあげてね」


という夢を見た。親も俺も弟が生まれるか妹が生まれるかなんて知らないのに、その綺麗な女の人が妹と言ったのだ。


朝起きて母親に夢の話をした。その人は妹が出来るって言っていた!と言ったら。


楽しい夢を見たのねって言われて本気にはしてもらえず、その場でその話は終わったけど。


その直後に母が産気づいて、永遠とも思える時間、母のうめき声が聞こえてき続けて、父親と一緒にそわそわしていた。母親が死んでしまうと父親に泣いて抗議していたら。


近所のお姉さんたちが、赤ちゃんが生まれる時はみんなこうなるの。あなたもこうやって生まれてきたのよ、だから大丈夫、死なないわよ。なんてことを言われても、僕はそんな母親を苦しめたことなんてない!とわけもわからず怒りながら泣いた記憶がある。


そんな僕を見た父親が大丈夫だよ。母さんもお前の弟か妹も元気に生まれてくるからそんなに怒ったり泣いたりしないで父さんと一緒に待ってよう。一番大変なのは母さんなんだから、お前が泣いたり怒ってたりすると、母さんが悲しむぞ。


そんなことを言われたら怒ってはいけないと思ったけど、不安な心は無くならずそのあとはずーっと父親にしがみ付いていた。


おぎゃあああああああ


という元気のよい声が聞こえて部屋に入ろうとしたら、まだ入ってはいけないと言われる。中の人達がバタバタと動き回っていて、なかなか母親に合わせてくれない。なかから清潔なタオルを持ってきて!とか医者を呼んできて!


と言う声が聞こえてくる。父親が凄い勢いで家を出ていってしまった。俺にとっては永遠とも思えるあの時間、母親には会えない、父親はどこかにいってしまった。どうしていいかわからず、何もできないまま立ち尽くしていたあの時間は長かった。


そしてあの時はまさに拉致してきたと言っても差し支えないような勢いで、父親が医者をお嬢様抱っこで扉をけ破って入ってきた。正直驚いたよ、涙も引っ込むって奴だ。


お医者様が部屋に入ってすぐさま何かしらの処置をしてくれて母親は一命をとりとめたらしい。お部屋に入っても大丈夫だよと言われたの部屋に入ると、大量の血が付いたタオルが置いてあった。


不安になり母親の方を見ると、今まで見たことも無いような穏やかで美しい顔をしていた。昨日夢に出てきた女の人より100倍は綺麗だった。


腕には赤ちゃんを抱えており、父親は母の横で号泣している。父親のあんな泣いた姿は初めて見た。


俺は一歩も動けなくなり、近所のお姉さんに早くお母さんの側に行っておいでと言われて、恐る恐る近寄ると、母の腕に妹が居た。


初めて妹を見た時に、俺はこの子を守るために生まれてきたんだなって思ったんだ。


ありがちな話かもしれないけどね、でもその時になにか身体が暖かくなるような感覚があった


(一生大事に守っていくからねと)


妹のローラはぷにぷにしてて、つつくとすぐ泣いてしまうような弱い子だった。ご飯もトイレも一人ではできず、ぜーんぶ親か僕が面倒を見てあげないと死んでしまう弱い子だった。


僕は一生懸命世話をして、それこそトイレのお世話だって積極的にした。


それなのに今・・・・・・・・・・俺が下の心配をされている・・・・・そんなことはあってはならない!断じてそんな兄は許されない!


俺はローラの前ではかっこつけてる、今だからいえるけど、良い兄で居ようと演じ続けてる。妹には優しくてかっこいい兄で居たい!よく見せたい!全国のお兄ちゃんならそう思うだろう?


それなのに・・・兄の威厳が地に落ちた。それと!あいつだ!あいつ!レオンとかいうやつ!ローラにまとわりついてる害虫が居る!


あいつは毎晩なぜかローラが寝たん瞬間に現れる、そしてローラの寝顔を見ようとする不届きものなんだ。兄としては許しがたい、いや絶対に許さない。


女子の部屋に突然現れて寝顔をみるなんて、とんでもない奴だろう?いつもローラが寝たあと俺は阻止していたんだ、寝顔をみれないように。毛布を顔にかぶせたりいろいろしていた。


それなのに!!!


今身体が動かないから害虫のやりたい放題になっている。あのかわいいローラの寝顔を見たいだけ見て満足そうにしているあいつの顔を踏みつけてやりたい!


今まで寝不足になりながらも阻止してきたというのに!絶対許さないぞ。俺のかわいい妹お寝顔見やがって!ローラの寝顔を見れるのは家族だけの特権だ!


ローラが害虫を選ぶとは思えないけど、兄は心配だ・・・それと本当はお兄ちゃんって呼んでほしい、それなのにいつの間にか、兄さんなんて呼ぶようになってしまって、兄ちゃんは悲しい!


そして一番屈辱的だったのが・・・トイレだ・・・おれは明け方目を覚まし、正直言えばトイレに行きたいという感覚があった。


しかし身体は動かない、俺は妹の前でムムして伝説の兄となるのか・・・と絶望感に打ちひしがれていたら、あの害虫が


「トイレ連れていきましょうか?義兄さん」


と言ってくるじゃないか!認めないぞお前を義弟だなんて認めない!けど妹が起きた時に俺がムムしてるわけにはいかない!


俺は仕方なく害虫の手を借りてトイレを済ませた・・・屈辱だ。しかし妹に蔑んだ目で見れるとどっちがいいのか天秤に乗せてみても、どちらにも傾かないぐらいに、難しい問題だった。


ローラが起きるころにレオンが居なくなり、可愛いローラが目を覚まして真っ先に兄の俺のことを心配してくれる。天使が、俺の天使!。そして下の心配をしてくれる。


切ないしなんだか情けない。つまらないウソまでついて俺は自分が兄としての威厳を保った・・・ただの自己満足だ、わかってるローラはいつか嫁に行く、でもそれまでは俺たち家族の可愛い妹で居て欲しい。


次は絶対にこんなことが起きないように、狩で油断をしてはいけない、もっと自分を鍛えなくてはいけない。本気を出さなければいけない。おれは反省している。ものすごく反省してる。


次こそはお兄ちゃん素敵!って言ってもらえるように頑張るぞ。


その前にトイレには一人で早く行けるようにしなくては。

本日もお読みいただきありがとうございます


面白いな、続きが気になって思った方は

イイネ ☆☆☆☆☆ ブックマークいただけるとうれしいです

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