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だらだら生きるテイマーのお話  作者: めぇー
第5章
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第117話 この味を待っていた

これで全部出してしまったので、この町を出ることを伝えることにした。ギルド職員の人達は少し残念そうにもしているけど、もしまた立ち寄ることがあったら必ずここで売ってくださいねと何度も念を押された。


ーーーーーーーー


もう来ることは無いと思うけど、いや?次の国の相場次第で、売りに来る時だけここに来るのもありだね?旨いことドレ国の相場を活用しないとね?


宿に戻る前に広場に行って今日は久しぶりにカフェでお茶することにした。兄もついてくると言うので、みんなで行くことにした、レオンも居る。


5人でカフェに入り、いろいろ頼むことにした。ドレ国に来てから何もかも高すぎてお店でご飯を食べようと言う気にはならなかったからね。今日は流石にいいだろう!という気持ちでいっぱいだ。


メニューを見ていたら、コーヒーと言う物があり。絶対にこれ!この世界に生まれてからコーヒーの文字を見たのは初めて!読めないけど侍女様が訳してくれた。


コーヒーとくれば!甘い物を食べないといけない!!!このお店で一番甘い物を探す。侍女様が読み上げてくれる中にドーナツと言う物があった。震える声でドーナツの種類を聞くと、他の種類は書かれてないと言う、ドーナツだけだと。


ドーナツとコーヒー。最強の組み合わせがここにある。私はこれにする!と鼻息も荒く侍女様にお願いした。侍女様が興味津々に美味しいのですか?と聞いてくるので。前世では最強の組み合わだったというと、兄以外の3人は私と同じものを注文してみると言う。みんな好奇心旺盛だね。


兄は”前世?”とつぶやいていたけど、気にしないことにしたようだ。そのうち話すことがあるかもしれないし、今は食べることを楽しむことにしよう。


侍女様がコーヒーとドーナツを4個づつ頼み、兄はフルーツの盛り合わせを頼んでいた。この世界のスイーツってフルーツばかりなんだよね。贅沢品と言うか。クッキーもあるけど、生クリームとか無い。前世と比べるとものすごくシンプルなお菓子しかない。オーブンで焼く系ばかり。


しかしドーナツは油で揚げるもの。この店は革命的な店なのかもしれない。油で揚げると言う概念がこの世界には無い気がしている。油は少量使う物と。


コーヒーを頼まれた店員さんはとても驚いたように早口で侍女様に何かを言っている。


「あまり進められたものではないと言っています、苦いしって」


「そうだよ、コーヒーは甘くないし苦い飲み物だよ。初めての人は好きではないかもしれない、変えるなら今のうちだよ?」


「「「いえ、食べてみたいです」」」


3人の声が綺麗にハモる。店員さんに言うと渋々と言った感じにオーダーを取ってくれた。そんなに渋々ならメニューに載せなくていいのでは・・・


お店の奥から老齢のおじい様が出てきて静かに豆を挽き始めた。ごりごりごりと音を立てて豆を挽き始める。かすかにコーヒーの良い匂いがしてくる。最高ではないでしょうか?


コーヒーを頼んだ3人も、匂いを嗅いで何やらわくわくしてそうな顔になってきている。


それにしても、レオンも光魔法もっていて私がしたい狩りの仕方をしているのにはびっくりしたなー頭を狙ってたね、たしかに頭の方が的も大きくていいかもしれない、私は目を狙おうとしていたから難しかった。真似しよう


コーヒーの良い匂いがしてきた、お湯を入れてドリップしているようだ。あまりのなつかしさに思わず涙が出そうになる。グッっとこらえる、泣くのはドーナツとコーヒーのコラボレーションをキメてからだ。泣くにはまだ早い。


しばらくして、ドーナツとコーヒーが同時に出てきた。すでにフルーツの盛り合わせを食べていた兄が”げぇ”っと声を出す。兄をにらみつける、黙っておけと。大人しくまたフルーツの盛り合わせを食べ始めた。


侍女様と護衛騎士とレオンの顔を見ると、真っ黒な飲み物が出てくるとは思わなかったのだろう、眉間にしわが寄らない程度に三者三様複雑な顔をしている。


ドーナツは茶色いいたって普通のドーナツだ。チョコがついてたりしない。普通のシンプルなドーナツ。ただ一言いうなら、輪っかじゃなくて塊みたいな感じになってる、サーターアンダギーだこれは!という形をしている。それも嬉しいけどね。


そしてお上品なことにフォークとナイフが揃えてあるので、手づかみでかぶりつくことは無く、お上品に食べ始める。私の食べ方を見よう見まねで真似をした3人もドーナツを一口口に含む。


残念ながら私は目を閉じて噛み締めているので、みんなの顔は見れない。


はぁ・・・美味しい。このもっちりした感じ、味は素朴でほんの少しの甘味、そして程よくパサパサしている触感に、ほのかに香るこれぞドーナツ!という香り。私が求めていたものがここにある。さっきドーナツの存在を思い出したとは言ってはいけない。


二口目も噛み締めながら、まずはコーヒーの香りを嗅ぐ。そして一口口に含む。もちろんブラックだ。砂糖やミルクは置かれていない。この苦み。前世で飲んでいた味と一緒だ。ドーナツの甘味とコーヒーの苦みのコラボがここまで最強だなんて短い人生達の中で、こんなことを思って感動する日が来るとは思わなかった。


ここでようやく3人の顔を見てみる。3人とも何ともない顔をしているようだけど、とても美味しいと思ってるような顔ではない。みんながパクパクドーナツを食べ始めた。口の中が苦いのだろう。


私はゆっくりとドーナツを食べて、コーヒーをゆっくりと飲んでを繰り返す。みんなコーヒーを飲み切れないようで苦労をしているから。店員さんが見てないのを確認してから、こっそり砂糖を2個づつ渡してスプーんも渡し、かき混ぜて!と言ってからスプーンを素早く回収する。


この砂糖は王宮で少しづつくすねていたものだ。スプーンも王宮の物を拝借している。売れば相当良い金額になることだろう。


砂糖を入れたらましになったのか、みんなうんうんと言う感じでドーナツをコーヒーを堪能できたようだ。私はもう一杯コーヒーを頼む。侍女様にお願いして、挽いた豆を購入することはできないかと聞いてみた。


風味が落ちるから引いた豆を譲ることはできないと言われた。けどコーヒーミルを購入するのであれば、豆を売ることはできると言われたので、それでお願いすることにした。


これからコーヒーが旅のお供になるのかと思うと胸が震える。コーヒー豆をどの位欲しいのか?と聞かれたので、逆にどれぐらいまでなら売れるのか?と聞いてみると、コーヒーは苦くて頼む人が居なくて全然売れないから在庫のほとんどを売ることがで切ると言われ、一袋なら売れるというので全部買うことにした。


兄は横から私のコーヒーを一口飲み


「なかなか美味しいな?」


と言ってる、良いセンスしてるじゃない?ちなみにコーヒー豆は金貨200枚だった・・・遠い所から取り寄せた貴重な豆らしい。それに1袋と言ってたから小さいのを想像していたけど、大きい袋にはいってて60きろぐらいありそうな量だった・・・収納巾着もあるし、風味は落ちないからこれいいんだと自分に言い聞かせる。


カフェでのコーヒー代も結構良い金額だったよね金貨1枚だったしね。それぐらいするよね、また値段を聞かずに買ってしまった・・・今日の稼ぎが消えていった気がする。


宿にもどってから、今日の稼ぎの分け方は大体でいいよと言ってくれたのでおおざっぱに、一人金貨200枚渡すことにした。レオンはいらないといっていたけど、こおゆことはちゃんとしないとだめだよと言って無理やり渡す。


兄はぼーっと金貨を握りしめながらぷるぷるしている。あっ収納巾着ないんだっけね?実験で使う予定だった収納巾着を渡してあげた、それに入れるんだよ誰にも渡しちゃだめだよ?と何回も念をおす。


そのやり取りを見ていたレオンがとても羨ましそうな顔をしてこちらを見ている。そういえばレオンにもいつか作ってあげようと思ってたの忘れてた今度ちゃんとしたものを作ってあげよう、そして実験用の収納巾着をレオンにも上げたらものすごい嬉しそうに金貨の出し入れをしている。


そうだそうだ、お人よしの兄の為にも、付与魔法をかけて、血を一滴垂らしてもらう。これで誰も荷物を出し入れできなくなった、血を垂らした人しかできないというと、レオンもすぐに血を収納巾着に垂らしていた。意外と素直だね?


夜はまだ長いしもう一度町に行こうかな?嫌メンドクサイな。そうだ兄と一緒に神経衰弱をやろう!兄なら絶対に勝てると思う!


本日もお読みいただきありがとうございます


面白いな、続きが気になって思った方は

イイネ ☆☆☆☆☆ ブックマークいただけるとうれしいです

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