第105話 光ちかちか
「了解しました、でも!次から光魔法使う時は言って下さいね!目を覆うので!」
「ごめんね」
だいぶ怒らせてしまった・・・・・
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目の奥がちかちかが収まってきて目を開くと、世界って白黒なんだなって何となく思いつつ、だんだんと自分の視界に色が戻ってきてほっとした。光ってこんなに凶器になるんだなーと、ぼーっとしながら回復を待つ。
魔クマ以外の動物や魔物たちに悪いことをしてしまったと思いつつ、さすが人間より回復が早いのか、あたりには生き物の気配が無い。もしくは気絶してるか虹の橋を・・・
目が回復して魔クマを収納靴下に入れる。みんな無言だ。何か言って欲しい・・・この場合は私か場を盛り上げるべきなのだろうか?
ちょっと考えていると護衛騎士が
「前世の時は魔法ってなかったんですよね?」
「無かった、化学と言う物はあった」
「今の光は科学と言う物ですか?」
「魔法かな?でも前世の時には光で目が見えなくなるとか、よくあった話だから、狩りにも利用できるかなって・・・思って・・・」
「その化学を用いた魔法と言う場合、他にはどんな光魔法の応用があるのでしょう?」
「えっと・・・こんなことできるかも?」
自身は無いけど、クリスマスの時のデコレーションを思い出しながら、1本の木にピカピカと光を無数につけて点滅させてみる、結構大変だったけど、ちょっと頑張ってみた。
口をあんぐり開けて見上げてる侍女様と護衛騎士。びっくりしたかな?と思ってちょっとニヤついてしまった。ピカピカ点滅するとは思うまい!
よぉーしちょっと頑張って、光を青と白にしてみよう、どうだぁ!
二人は口を開いたまま目まで大きく開いている、そんなことできるなんて結構器用だなと思ってしばらく、点滅させてみた、チカチカと順番んに流れるように点滅させてみたり、私の知りうる限りの光の色と点滅具合を披露した。
ふぅ・・・なかなか頑張ったよ。
護衛騎士と侍女様はうつろな目でこちらを見ている。もう目つぶし怒ってないならどんな目で見られても構わないけど、ちょっと怖い。
「ローラ?いいですか?」
「うん?」
「だめですよ?」
「えっ?何が?」
「前世の記憶は封印してください!刺激が強すぎます!」
「えぇぇぇぇぇー?だって綺麗じゃないこれ!光魔法の人達が輝けるよ!」
「そうですねこれは革命かも知れません」
「記念日とかにこおゆう使い方したら王都も華やぐよ?」
「また監禁されたいんですか?」
「遠慮しときます」
「身内だけの時に、外ではなくまずは家の中で、私たちが検証してから外に出すか出さないか決めましょう、いいですね?」
「わかりました」
でも旨いこと行けばかなり儲けられるかもしれないと、なにかブツブツ言っている。そうでしょう?儲かりそうなんだよこれ!自分がやるだけじゃなくてもアイデアを売るとかはありじゃないかな?
自分の発明ではないけど、アイデアは死ぬほど出てきそうだ。ドレ国首都のカレー屋さんのお姉さんもね。はっしまった!前世の記憶持ちですか!?って聞くの忘れてた!うっかりどころじゃないよ!
でも、前前世だからちょっとだいぶ感覚が薄れてたんだよね。仕方なし。
とにかく、むやみやたらに思い付きで魔法もスキルも使わない様にと厳重注意をされてしまった。
それと前世がらみで試してみたスキルがあるなら、今すぐ試してと言われたので。まずは魔法から試してみることに。
水魔法も使えるかと試してみたけど、水はどんなに頑張っても出てこなかった。
スキルは戦闘に使えそうな成長をその辺に種が落ちてないかな?と思って適当にスキル成長を使ったら、なんかとても美しい木が生えてきて、侍女様が一刀両断していた・・・
えっ!?なんで!?と思ったら今まさに成長させた木はもっと大きくなると女性の形になって、あらゆる生き物を誘惑して食べしまう魔物の木だったらしい。えぇ・・・そんな木があったんだ?しかも種からなんだ・・・
キッっと侍女様ににらまれる。
わたしのせいじゃないもん・・・そこに種が落ちてただけだもん・・・
「いいですか?」
「はい・・・」
「ローラあなたは無自覚に問題を引き寄せる体質のようです」
「それは・・・」
「シッ!」
言い訳したら次は私が一刀両断されそうな勢いだ・・・
「何も考え無しに初めてのことをするのは辞めて下さい、ただそれだけです。何か思いついて実験したいと思ったら、まずは ”ほうれんそう” からお願いしますね?」
「わかった・・・」
自分からほうれんそうを提案した手前、めんどくさいから嫌だと言える状況ではなくなってしまったな・・・でもこれだけやらかし体質なら、仕方ない。侍女様の言ってる意味も理解できるし。
来た道を戻りながら永遠説教をされ、魔物たちが可哀そうになるぐらいに、瞬殺されていたのを見て、この人たちは私に狩りを見せてくれていたのかな・・・お勉強させるために今までゆっくり狩っていたのかな?って考えが改められた。
それぐらい二人の本気が怖かったし、説教が長かった・・・
冒険者ギルドについて、さっそく獲物をどっさりと出す。少ししか狩りが出来なかったけど、この短時間でこれだけ狩れれば大収穫ではないだろうか?
空間から沢山の魔物がドサドサ出てきて、買取カウンターの人が大きい部屋に通すので一度仕舞ってください!と言われてしまった。
解体する部屋に直接通されて、もう一度獲物を出してくださいと言われて、ドサドサ出したら。
「空間収納って便利ですね、俺も欲しかったな」
と言っていた、でしょ?空間収納便利だよね。忘れてたけど、自分自身が持ってる事もすっかり忘れてたけど・・・
あれ?収納靴下作らなくても自分の空間収納でよかったのでは!?と今更気が付くももう遅い・・・あーーー!私はなんてポンコツなんだ!と思わずその場に崩れ落ちてしまった。
突然崩れ落ちたものだから護衛騎士がびっくりして抱き起してくれた。力なくふらふらしていると、先に宿に戻ってるから素材の買取まで頼むなと侍女様に告げて宿に連れ帰られる。
机に突っ伏してめそめそしていると、侍女様が帰ってきた。結構な笑顔だ。良い稼ぎになったのだろう。
3人そろったので、何があったのか教えてくださいと言われたので。なんで空間魔法があるのに収納靴下しかないと思って居たんだろう。なにも収納靴下作らなくても自分のスキル使えばよかったじゃないって、今さっき気が付いたら気が抜けた。
と伝えたら、二人ともものすごい深いため息をついて呆れた顔をしてこちらを見ている・・・もしかして・・・二人は・・・気づいていた?
「収納靴下持ち歩いてるから、靴下好きなんだなって思いました。とても思入れのある靴下なんだなと・・・・・まさかねぇ?忘れてるとはねぇ?」
「俺もなんで収納靴下?って思ってたけど、家族からプレゼントされた唯一の靴下かなと・・・まさか忘れてるとは」
侍女様には呆れられ、護衛騎士には失笑された。うっ・・・何も言えない!楽して儲けて生きていくことばかりを考えていて、収納巾着に固執しすぎたようだ。まさか自分のスキルを忘れるなんて・・・笑われてもしょうがない。
でも二人だって収納巾着もってたから獲物を持って行くときに空間魔法があるってことを忘れてたじゃない!と非難を込めて反撃したら、何もなかったことにされた。
この頃私の扱いが酷い!
みんなどこかしらポンコツだと言うことがわかり、ほっとしたようなしないような。何かに特化してるということは、どこかがポンコツなんだよ、前世でそういうのあったよね?
そしてお待ちかねの本日の狩りの成果報告。
魔ネズミ 7匹
魔ウサギ 8匹
魔シカ 12匹
魔オオカミ 8匹
魔クマ 3匹
討伐 102金貨
素材 160金貨
トータル 262金貨
お1人様 87枚 あまり1金貨となった!
えっ!?この宿にもう住んじゃう?ご飯食べに行こうか!半日以下でこの成果はすごいよね?私と護衛騎士は少し浮足立ってしまう。これなら馬のお値段なんて一瞬で無しに出来るし。
しかし侍女様は意外と冷静で、ご飯食べてからにしましょうと言われて、みんなでご飯を食べに行くことにした。
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